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概要
「僕はどうやら、あまり長くは生きられないようなので」
「あの日助けて頂いたナカツルと申します」
助けたなんてとんでもない。二〇一九年のある日、都内屈指のゲイ・タウン宿木橋にてノンケながらバー『緑の兎』で雇われ店主を務める上之原承は、店の前で嘔吐寸前に見えた少年に飲み物をくれてやっただけである。
それなのに数日後、少年こと中寉了は謝礼を携えてやってきた。
幼い頃より元宰相の「書生紛い」すなわち男娼としてその身体と引き換えに金を得て来た男は、『緑の兎』のアルバイトとして承の側で働き始める。見目の麗しさと働きぶりの真面目さは天下一品、とはいえノンケの自分が心動かすはずはないと思っていた。
それなのに休日の出先に待ち構えられた承は、趣味のボートレースを共にやり、うっかり足を踏み入れてしまった発展場のトイレでは窮地を救われ、心の籠った食事を振る舞
助けたなんてとんでもない。二〇一九年のある日、都内屈指のゲイ・タウン宿木橋にてノンケながらバー『緑の兎』で雇われ店主を務める上之原承は、店の前で嘔吐寸前に見えた少年に飲み物をくれてやっただけである。
それなのに数日後、少年こと中寉了は謝礼を携えてやってきた。
幼い頃より元宰相の「書生紛い」すなわち男娼としてその身体と引き換えに金を得て来た男は、『緑の兎』のアルバイトとして承の側で働き始める。見目の麗しさと働きぶりの真面目さは天下一品、とはいえノンケの自分が心動かすはずはないと思っていた。
それなのに休日の出先に待ち構えられた承は、趣味のボートレースを共にやり、うっかり足を踏み入れてしまった発展場のトイレでは窮地を救われ、心の籠った食事を振る舞
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