ロストバゲージ

　人が扱う特殊な力を《魔法術》として管理され、免許さえ取得すれば、誰でも合法的に魔法が使える魔法術士になる事が定着した現代社会。
　防衛省の官僚を父に持つ陽羽里晴翔（ヒバリハルト）は高校入学から父から一人暮らしをするように言われ、渋々受け入れた。母親は早くに亡くし、文字通り一人で生活し、他者との関わりを避ける晴翔はクラスメイトとも、担任の先生とも距離をとって過ごしていた。
　二年生のある冬の日。晴翔は高校の最寄り駅で父の不知火が通過する列車に飛び込み自殺を行うのを目撃し、自分を放ったらかしあまつさえ自ら命を絶った父に失望した。
　そして晴翔は父の事を何も知らない事に気付き、不知火がなぜ死んだのかを探り始めた……。