七人目:拗ねていた少年は、別方向から打ちのめされる
「はい、お弁当」
「サンキュ」
梓たちと出会った翌朝、優は学校へ行く支度をてきぱきと整えていた。
休んでしまった昨日はもとより、一昨日と比べても、はっきりと自分の心境が変化したことがわかる。闘志が湧いてきたのを自分でも感じていた。
「あーあ。なんか、妬けちゃう」
と、鞄に弁当箱を入れる優を眺めていた猛が、不意にこぼした。
「え?」
「入れ替わってからの猛ちゃん、あたしが何言ってもどこか元気なかったのに、野球ができるって決まったらとたんに生き生きしちゃってるんだもん」
ぷいとそっぽを向いて流しで洗い物を始める猛を見て、優は入れ替わる以前にもこんなやり取りがあったことを思い出す。
ちょうど一年くらい前だろうか。正捕手の座を獲得した上キャプテンにも選ばれて、それまで以上に無我夢中で野球に取り組んでいた、そんな時期のある日の晩。自室でその日最後のトレーニングを終えた猛のもとへ、タイミングを見計らうように優が遊びに来た。
遊びと言っても、特に何をするでもない。飲み物を飲みながらおしゃべりする程度のひと時。それまではいつもつきあってきたことだけど、その日は疲れがひどくて断った。
その時の、猛に対してはめったに不平不満を言わない優の漏らした言葉。
――野球の練習は十時間できても、あたしと十分間話すのはできないんだ。
表面的にはそれきり後を引かなかったが、猛にとっては、ずっと小骨のように心の中に引っかかっている言葉だった。
あれからしばらく考えて、でも改めて言う機会のなかった返事を、今の優は口にした。
「その、食べることと寝ることみたいにさ、どっちが欠けても駄目なことって、あると思うんだ。寝られないと、どんなうまいご飯食べていてもそのうちまずくなるし、まともなものを食べられなければ、ふかふかの布団で気が済むまで寝ても、やっぱり苦しい」
口にすると想像していた以上に恥ずかしくなる。やや早口気味に、優は続ける。
「だから、俺にとっちゃ、野球も……野球以外のことも、両方なくちゃ駄目で、つまり、その、野球さえできればいいってわけじゃなくて!」
猛が振り向きそうだったので、先に優は猛の背中にしがみついた。熱くなった顔を猛の背中に押し当てて言った。
「……いつも、ありがとな。あんまり口に出して言ってこなかったけど、優がずっとそばにいてくれるから、俺、ずっとがんばってこれたんだ」
リトルリーグの頃から、試合のたびに猛の親と一緒に応援に来てくれた優。勝っても負けても猛以上に感情を顕わにし、励ましてくれる優。大きな大会の前には手製のお守りを作ってくれる優。
「……あたしこそ、ありがと。はっきり言葉にしてもらえると、やっぱりうれしいもん」
背中越しに、猛の声で本来の優が答える。その真面目な受け答えに、ますます気恥ずかしくなって、優は現状維持を続けてしまう。
Tシャツ一枚越しに感じる猛の体温。それを上回って火照る優の顔。相手も感じ取っているに違いないという確信が、その火照りをさらに強める。
――『俺』の背中って大きいんだな……。
「ところで」
「な、何だ?」
おかしなことを考えそうになっていたところへ声をかけられて、優は慌てて応じた。
「昨夜、猛ちゃん、あたしのこと『猛お兄ちゃん』って呼んでたわよね。どうしてあたしが呼ぶように『猛ちゃん』じゃないの?」
優に向き直って、猛が問う。
「え、その……だって、『猛ちゃん』じゃ、ただの幼なじみじゃなくて、まるで恋人同士みたいで、恥ずかしくって……」
しどろもどろにそう答えると、猛は小さい子供をからかうような笑みを浮かべる。
「あたしは入れ替わる前、『猛ちゃん』って呼び方で周りのみんなに猛ちゃんのことを話してたけど?」
「そ、それは別に、優がそう話すのはいいけど、でも、俺は……」
「ふむ。つまり猛ちゃんは、あたしたちが恋人同士であることは認めても、自分がそれを公言するのが照れ臭いってこと?」
「え……えっと、その……」
猛の『恋人同士』という言葉に、優はひどく取り乱す。さっきの猛の背中の感触を思い出し、なぜだか頬がどんどん熱くなる。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、あの、きっと、宇野さんか森さんが迎えに来たから。行って来る!」
鞄やバッグをひっつかむと、優は猛の追及から逃れるように部屋の外へ飛び出した。
「おはようございます。……って、小笠原さん、熱でもありますの?」
迎えに来た弥生は、優の顔を見ると形の良い眉を心配そうにひそめた。日の光の下で改めて見る彼女の顔は実に整っていて、深窓の令嬢という言葉などが似合いそうだった。
「だ、大丈夫です。早く下に降りましょ」
ごまかそうとしたが、弥生には感づかれたらしい。唇が軽く笑っていた。
部屋のある二階から降りて、マンションのエントランスを抜ける。門の手前のやや広いスペースで、二人は梓たちを待つ。
「昨夜家で一年生の名簿をチェックしたのですけれど、小笠原さんと梓さんのクラスに、ぜひとも獲得したい人材がいましたわ」
そう切り出して、弥生は田口雪絵という名を口にした。
「すごい子、なんですか?」
三歳下の女子まではさすがに知らないのでそう応じるしかなかったが、その鈍い反応は弥生のお気に召さなかったようだ。
「リトルリーグ時代、最高のプレーヤーとして鳴らした子ですわ。……大西義塾へ野球留学した稲葉はご存知でしょう?」
今度は辛うじて知っていた。高校入学以前から超高校級と騒がれていた、打って良し投げて良しの大物だ。
現在入院中のキヨミズの前監督が、去年の秋から部活指導の合間を縫ってスカウトに取り組んでいた姿を覚えている。その甲斐もなく、甲子園での優勝が一番狙いやすいからという理由で、少年ははるばる関西の高校を選んでしまったのだが。
「その稲葉がリトルリーグにおいて、ピッチャーとしてもバッターとしても一度たりとて勝てなかったのが、田口雪絵ですの」
それはすごいと言えばすごい、が。
「……三年前の力がどれほど参考になるかしら。男女の体格差はどんどん大きくなるし」
「わたくしも、今、彼女が稲葉に勝てるとまでは思いませんけれど。でも猫の手でも借りたいこの状況では、願ってもない戦力には違いありませんわ」
「それは、そうですね」
優は同意の相槌を打つ。考えてみればまだ試合もできない部員数なのだ。
「じゃあ、私と宇野さんで誘ってみますね。放課後、森さんが合流する前に仲間にできていればいいんですけど……」
そう言って弥生を見ると、お嬢様は少し唇を尖らせていた。
「どうしたんですか? 森さん」
「……どうも口調が硬いですわね」
優は一瞬、入れ替わりがばれでもしたかと焦ったが、そんなわけはないと思い直す。
「同学年に敬語を使うのはやめてくださいません? 聞いていて背中の辺りがむずむずしますの」
「……いや、あの、お嬢言葉全開の森さんにそういうことを言われても」
思わず素に近い口の利き方をしたが、弥生はむしろうれしそうな顔になった。
「わたくしのこれは、まあ、習い性みたいなものですわ。お気になさらないで」
優の突っ込みを平然と受け流す。
「弥生と呼んでくださいません? わたくしも、あなたのことを名前で呼びたいですし」
「う、うん。……弥生、さん」
女の子を名前で呼ぶことなど優以外に経験がなかった。緊張したが、弥生はにっこりと微笑んでくれた。
「梓さんと美紀さんが来ましたわ、優さん」
「三人でスタートした部が一晩経ったら六人か。これなら明日には九人以上揃うかね」
優たちと挨拶を交わした村上美紀は、ざっくばらんな口調で言うと笑みを浮かべた。不敵と形容したくなる、鋭い笑顔だった。
彼女こそが、梓と弥生を焚きつけて女子野球部を立ち上げた張本人。そして昨夜、自らも部員勧誘に挑んで二人の獲得に成功したとのこと。
「それで……その大量の漫画は?」
美紀の荷物に、優より先に弥生が突っ込んだ。鞄の他に、美紀は漫画の詰まった紙袋を三つほど積んだカートを引きずっている。
「昨日スカウトした片方が、野球のルール知らないなんて言うもんでね。まずはこいつで勉強してもらおうかと」
紙袋を覗き込めば、優もかつて熱心に読んだ野球漫画の古典。
「……まあ、一人はド素人として、もう一人の方は経験者でしょうか?」
「……えーっと、そう呼ぶにはちょいと無理があるかな。野球漫画は各種熟読してるって話だから、ルールは問題なく覚えてるはずなんだけど……」
「…………」
弥生が顔を強張らせる。軽い不信が顔に浮かび、しかめ面一歩手前という感じ。
「で、でもね、弥生ちゃん。二人とも身体能力はかなりのものなんだって」
と、美紀とは幼なじみのお隣さんだという梓がフォローにかかった。
「それに、その……美紀姉ちゃんが目をつけた人なんだから、きっと只者じゃないよ!」
どれほどの信頼関係が成立してるのか、やけにきっぱりと断言する梓。
「……梓さんがそう言うなら、大丈夫ね」
弥生に言い聞かせる意味も込めて、優は口を挟んだ。
美紀はまだ信用できなくても、梓なら信じることが――。
「あたしは信用できなくても、梓のことは信じられるかな?」
優の心を読んだように、美紀が声をかけてきた。
「! その、あの……」
図星を突かれて動揺する優。笑う美紀。
「どうやらいいキャッチャーさんに出会えたようだね、梓」
「うん!」
梓が美紀にこっくり肯く。そんな二人を眺める弥生は、優に顔を向けると苦笑し、それ以上は不満を面に表さなかった。
貸す相手の住処に漫画を置いてくるということで、学校の近くで美紀とは別れた。相手は学校のずいぶん近くに住んでいるらしい。
「予想外に早く着きましたわね」
校門に差し掛かったところで腕時計を見ながら弥生が言う。
「みんな早起きだね」
昨夜のうちに優のマンション前で待ち合わせると三人で決めたわけだが、美紀を加えた四人が集まったのは予定よりも十五分ばかり早かった。
「……何だかわくわくしちゃって、今朝は目覚ましが鳴る前に目が覚めちゃった」
優が二人に言うと、梓も弥生も笑って肯いた。
二人ともまるで屈託がない。二ヶ月後には男子野球部――甲子園優勝を目標に掲げる、実際にその目標を射程に収めている、そんなチームと戦うというのに。
だが優自身、心の昂ぶりは否定のしようもない。
「わたくしもB組に顔を出してよろしいでしょうか? もし田口さんが登校していらしたら、その場で勧誘してしまいたいですし」
「あ、その可能性はあるよね!」
「弥生さんは田口さんの顔を知ってるの?」
新しい高校生活三日目の上に昨日は休んでしまった優は、クラスメートの顔をまだ覚えていない。田口雪絵の存在をなぜか知らなかったらしい梓も同様だ。
「何度か見かけたことはありますわ。ちょっとしたアイドル並に可愛い顔をしてらして、男子の間ではかなり人気があった……らしいですわね」
D組に荷物を手早く置いてきた弥生とともに、優たちはB組に向かった。
田口雪絵は、まだ人の少ない一年B組の教室で、教科書をぼんやり眺めていた。
雪絵の身体になってからも陽介だった時と変わらず、朝は早くに目が覚めた。陽介としての魂に朝練などの記憶が焼きついているからか、雪絵の身体に早起きしてトレーニングに努めていた習慣が身についているからか。純二はその辺を気にしているようだが、雪絵にとってはどうでもいいことだ。
身体を交換されて十日が過ぎ、今の生活は悪い意味で安定してきている。夕食前のひと時、純二にいくつか検査を受け、質問をされる。それ以外は何をしてても咎められない。
こちらに気を遣ってと言うよりは、実験対象に余計な刺激を与えないというコンセプトによるものなのだろう。もし逃げても、帰る家も、助けを求める相手も思いつかないし。一度『陽介』の家へ駆けて行ったこともあったが、道端で鉢合わせした『母親』の見知らぬ少女を見るような目に耐えられなくなり、結局田口家へ引き返した。
それでもだだっ広い家に見知らぬ『父親』と二人だけでいるのはとても居心地が悪く、入学式までの休みの期間、なるべく昼は外出していた。街中を歩いていると男がナンパしてくるので、公園だの河原だのひと気の少ない林の中だのをぶらつき歩いた。
そんな内面的には荒んだ暮らしの中、雪絵は無気力感に囚われつつあった。
純二たちの言葉を信じれば一年後には、大西義塾のレギュラーとして夏と春の甲子園に出場、満足して野球への未練を断ち切った陽介が身体を返してくれるとのこと。その言葉を素直に信じれば、元に戻った後に備えて野球の練習に励むのがベストだろう。
だが、もし向こうが『陽介』の身体と立場に満足したら、そのまましらばっくれてしまえばいい。雪絵には対抗手段がないのだから泣き寝入りするしかない。そして陽介がそうしないという確信が、雪絵にはまったく持てなかった。
そうした不安の根底にあるのは、入れ替わりを賭けた二度の勝負の記憶。入れ替わった状態で惨敗したことはもとより、本来の身体で戦って勝ちきれなかったことが、雪絵の心には傷となって残っていた。
自分に自信が持てない。あの時に言われた「野球のセンス」という言葉が、とてつもない重みを伴って心を押しつぶす。
今教室で教科書を開いているのは、勉強でもする他ないかという意識ゆえ。頭が良くなれば純二の研究を理解して自力で元に戻れるかもという積極性もいくらかはあれど、野球以外にすることが思いつかないための消去法的な発想が何より大きかった。
と、教室に三人の女子が入って来た。
教科書を黙々と読んでいるのが田口雪絵と聞かされて、優は意外な気がした。これまで弥生が話していたイメージとずいぶん食い違っていたからだ。もっともそれは、弥生にしても予想外だったらしい。頭は悪いわけでもないが、勉強家ではないとのこと。
「まあ、まずは当たってみるだけですわね」
弥生はそう言ってずんずん席に近づいていく。後を追う優は、少し嫌な予感がした。
「田口雪絵さん。女子野球部に入ってくださいません?」
何のひねりもないあまりにストレートな勧誘。昨夜の自分も似たような誘われ方だったが、優の場合は野球部に入部しようとしていたという事前情報があったわけで、誰にでも使っていいやり口ではないだろう。
悪い予感は当たりやすいもので、雪絵はツインテールの可愛らしい顔立ちにふさわしからぬ剣呑な目つきで、こちらを睨んできた。
「なんだ? てめえら」
「わたくしは一年D組の森弥生。こちらはこのクラスの宇野梓さんと、小笠原優さんですわ。今度女子野球部を結成して男子野球部と試合をする予定ですの。あなたにも加入していただければ心強いと思いまして」
「俺は野球になんか興味ねーよ」
想像をはるかに超えて蓮っ葉で冷淡な口調に、優のみならず梓も腰が引けそうになっている。それでも弥生は果敢に前へ出続けた。
「そんな見え見えの嘘をつくこともないでしょうに。大西義塾へ野球留学した稲葉陽介がリトルリーグ時代に手も足も出なかった天才少女は、それなりに有名でしてよ」
その時、つまらなそうに相手をしていた雪絵の表情が一変した。
「その名前は口にすんな!!」
教室中が静まり返るほどの怒声。クラスメート全員の視線がこちらに集中する。
優は、突然怒鳴られて怒りに顔を引きつらせている弥生の腕を引いて、耳打ちした。
「弥生さん、もうすぐ授業が始まるから。とりあえず教室に戻って」
「ですけれど……」
「ひとまずここは、私と梓がやってみるわ」
口にしながらも、梓は今回役に立たないような気がした。一本気な弥生や梓では頑なになっている相手には弱い。正面からぶつかって弾かれるだけだろう。
「てめえら、二度と近寄るなよ」
周囲の視線もものともせずこちらを睥睨する雪絵に、優は小さくため息をついた。
少しばかり骨が折れそうな相手だ。
打者と対戦するに際して重要なのは、相手の能力や性格性向を把握することだ。レベルの低いバッターなら手の出ない苦手なコースを突き止めればおしまい。苦手など克服した強打者なら、逆に好きなコースからボール一個外れるようなところへ投げさせることで、打ち損じを誘える。
まだオリエンテーション中心の授業時間、優は雪絵をこっそり観察した。
どの時間も寝ていた。
だが最初から授業を受ける気もなく寝ているわけではない。まず教師が説明を始める時は起きて話を聞いている。それが終わって雑談めいた話題になると、寝まいといくばくかの努力はするようだが、次第に船を漕ぎ出すのだった。
朝教科書を読んでいたことと考え合わせると、勉強をするつもりはあるが気合を入れるほど強い意志でもないというところか。
そして休み時間や昼休み。男女問わず、友達を作るには至っていないらしく、ぽつんと席についている。昼休みに別のクラスの誰かが食事を誘いに来るということもない。話しかけられればそっけないながらも返事はするが、自分から積極的に人づきあいをしようという雰囲気ではない。
その二つの観察と、朝の弥生とのやり取りから、優は雪絵をどう攻めるかを考えた。
放課後。帰り支度を手早く済ませて席を立とうとした雪絵の前に、優は進み出た。
「てめえ、今朝言っただろ――」
「稲葉陽介を、甲子園で倒したくないですか?」
相手の罵声を遮って、優は推測しうる唯一の決め球を放った。
続けようとした言葉を雪絵が止めた時、優は大きな手応えを感じた。
長年好きで続けてきた何かをやめるのは、主に四つの理由による。夢中になれる別の何かを見つけたか、続けられる環境でなくなったからか、飽きたか、それにまつわる不快な出来事があったからか。
今日一日の学校での暮らしを見るに、一番目の理由はない。二番目の理由も説得力には乏しい。三番目の理由は、朝の激しい態度が否定している。
ゆえに有力候補と推測するのは四番目。きっかけは恐らく稲葉陽介。かつて自分に及ばなかったライバルが夏春夏の甲子園三連覇を狙う有力校にスカウトされ、自分には声がかからない。それはプライドの高い人間にとってはさぞ屈辱的なことだろうと、優は見当をつけた。
だから、それを克服できるとそそのかしてみた。
「……女子野球部なんかで甲子園に行けるかよ」
「あなたが入れば、行けるかもしれません。少なくとも投手は、キヨミズの男子野球部にだって立ち向かえる逸材です」
「……嘘つけ。そんな女いるわけねーだろ」
「なら、今から確かめてみませんか?」
雪絵に応じながら、後ろでおろおろと見守っていた梓を手招きする。
「きっと一球見ればびっくりして、私たちと一緒に戦いたいと思いますよ」
とどめとばかりに一押し。
幸い、雪絵は乗ってきた。
「……びっくりしなかったら承知しねーからな」
「はい。その時はご自由に」
勝利を確信した優は、にこやかに笑いながら、投球練習のできる学校近くの空き地へと梓と雪絵を導いていった。
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