小太りおじさんの末路
「萩原君!!」
下着姿の白石さんが俺の方へと走ってきた。
男は急な事で思考が追いつかないのか、ボーッと俺達を見ていた。
「あん?沙羅と俺との神聖な行為の邪魔するなよ」
ナイフを手にしてジリジリと俺達に迫ってきた。
「本当にいいのか?このままじゃあんた強姦未遂と殺人未遂になるぞ?」
「強姦?僕が強姦するわけないじゃないか!最初は痛い思いさせるかもしれないけど、大丈夫。すぐに気持ちよくなれるよ!」
ん~話が通じないようだ。
しかも白石さんが嫌がってるのが全く理解出来ていないようだ。
話し合いは無駄かな……。
「お前、この流れでそれが認められるとか本気で思ってんの…?」
「当たり前じゃないか……。あ、でも殺人未遂は間違いかな。僕はお前を殺すからさ!
僕の沙羅に近寄るなんて万死に値する」
そう言って男がナイフを俺に向けて走ってきた。
「キャッ!!!」
白石さんが可愛らしく声をあげた。
こんな状況だと演技でもないし本心なのだろう。
少し怯えた君もなんていうか美しいなと感じてしまった。
だがそれ以上に、白石さんを怯えさせたこの肥満体の男を許せない気持ちが大きかった。
俺に刺そうとしたナイフ目掛けて素早く蹴りで、叩き落した。
カランと音と共にナイフが落ちた。
男が何が起きたのかわからず茫然としている隙を逃すわけがなかった。
俺は拳を顎に向けてアッパーのようにして振り上げた。
「うぐっ!」
男がよろめきながらも俺に拳を当てようと腕を振り上げるが、躱す必要性もないほどに的外れな方向を殴った。
「無理だよ。下あごに入ってるから、お前は真面に動くことが出来ない。だから、俺の次の攻撃を回避することも無理だな。白石さんを怯えさせた罰だから、ちゃんと苦しんでくれると嬉しいな」
俺は再び顔面を狙おうと拳を振り上げ顔面目掛けて拳を振り下ろした。
「ふぎぃっ!」
歯が数本飛び散った。
「まだ意識を失ったらダメだから頑張れよ。まぁ意識を失っても起こしてあげるけどね」
また俺は手加減しながら男に拳を振り下ろした。
「ひぃっ!」
男からジョロジョロと黄色い液体が漏れ出していた。
「うわっ!汚いなぁ」
俺は液体に濡れたくないから男から離れた。
「私の部屋が……」
白石さんが男から溢れてくる液体を見て絶望した表情をしていた。
「はぁそろそろ飽きたし、もういいよ。寝ろ!」
そう言って俺は男を気絶させてから、部屋にあったガムテープで縛り上げた。
「終わったよ。白石さん……」
「うん。また助けられちゃったね。ありがとう!」
白石さんは安堵した顔になっているし、この程度の経験は何度もあると言っていたから慣れてるのか切替が早かった。
「流石に警察に連絡するよ?」
「うん、そうだね。私もマネージャーに連絡するよ」
警察への事情聴取などはあるだろうから学校へは戻れないなと思った。
俺は警察に電話をかけた。
「事件ですか?」と質問されたので、「殺人未遂です」と言った。
詳細な事情を伝えると十分ほどで現場に向かうと言っていた。
俺が警察との電話を終えると白石さんは、いつの間にかマネージャーとの電話を終わらして、簡単な服を着ていた。
上がパーカーと下がジーンズといった簡素な服であった。
だが、白石さんほどのスタイルだとジーンズであるからか、身体の線がより際立っていた。正直に言うと少し魅惑的であった。
「凄く似合ってる……」
俺は小声で話した。
「え?もう、萩原君はエッチなんだから!」
ニッコリと嬉しそうな表情をしていた。
俺がどこに視線を向けているのか瞬時に理解したのだろう。
白石さんにエロい視線を向けると全て看過されるので一々驚いていられない。
この三週間で分かったことだ。
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