ボクサーになるためには
俺は白石さんの料理が美味しすぎるため、今更惣菜に戻った瞬間を想像し毎日味気
のない生活になると思い少し絶望した。
というか好きな人が作ってくれてるんだから、どんな飯より上手いという確信があった。
俺は元々上手い飯とかいうのに興味もなく、外食もすることが少なかったしな。
白石さんの部屋から戻った俺は自室で今後の食生活について考えていた。
「白石さんに簡単なメニューについては聞いていたけど……」
聞いていた定番のメニューの一つ卵焼きと目玉焼きである。
目玉焼きの方が簡単そうなので、明日から挑戦してみようと思った。
****
高校入学してから始めたロードワークの日課を終えてから、腹筋をしていた。
「これも白石さんにカッコいい身体を見せるために、始めた日課だったけど、結局見せる
機会なんて来なかったな……」
洗面所に映る俺の引き締まった身体を見ながら呟いた。
せいぜい見せれる相手は、体育とかで更衣室で着替える時で相手はクラスの男子達くらいなものだった。
白石さんにボクシングを始めると言ったため、俺はどこかのジムに行くべきかを調べていた。
あるあるだと思うが、レビュー評価を見ながら飲食店に入るのと同じように俺もレビュー評価を見ながら行く場所を探していた。
有名なボクサーを輩出したところもあれば、不人気な場所もあり様々であった。
俺は一応プロを目指しているため、日本プロボクシング協会に加盟している場所でなければいけなかった。
「あ、ここから近い場所あるけど……有名らしいから相手にされるか不安だけど……。
挑戦してみるしかないよな」
俺は少し不安になりながらも前向きに考えて挑戦してみることにした。
以前の俺ならチャレンジすることを怖がって、小さいジムや行かなかったかもしれない。
だが、白石さんの過去を聞き、モデル・女優業に挑戦して表舞台に立っている姿を魅せられて、こんなところで立ち止まっているわけにはいかないと思った。
緊張しながらも電話したが、門前払いされるように切られてしまった。
俺の経歴である極真空手全中三連覇を言おうとする前にである……。
非常に困ってしまった。
正直に言うと俺はボクシングでも十分にやっていけると確信があった。理由としては中学時代の体格で小さいながらも大人の選手たちにも練習で負けていなかったからだ。
ネットの動画や偶に放送されるテレビで見ても、レベルが高いと感じなかったから、一度対戦させくれさえすれば実力を見せることが出来ると思っていたのに、見せる前に門前払いされるとは……。
俺は少し焦っていた。この一カ月で白石さんを好きにさせることは無理だろうと思っていた。
なら今後、芸能界で少しでも関わるためには俺の特技である格闘技をする必要があった。プロになって注目されれば一緒に関わる機会が少しでも増えると考えていたからだ。
「一カ月白石さんにアピールしてダメだったら諦めつくと思っていたんだが……。たった、二日一緒にいただけで俺が白石さんにメロメロになちゃったじゃん……」
俺は確信していた、白石さん以外の女の子を本気で好きになることが生涯ないだろうと。
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