美少女への告白
「白石さんが学校で男との距離感があったのは、そういう理由だったんだね」
「うん……。中1の頃かな。一度だけ男の人に殴られたことがあって、そこから一切抵抗出来なくなちゃったんだ。相手の行為に応えるように演技し、満たしてあげることに専念していたの」
俺は好きな人の過去を知って、悲しみ・悔しさ等の様々な感情がグチャグチャになっていた。
俺が苦痛を堪えるような表情を浮かべていたのが、気になったのだろうか。
俯いていた俺の目の前に白石さんが来て耳元で囁いた。
「慰めてあげようか?」
吐息交じりで囁かれたその言葉。
顔を上げると正面に美少女である白石さんの顔が視界いっぱいに広がる。
瞼には長い睫毛が並んでいて、整った鼻、少し薄い唇、なんて綺麗な顔なのだろう。
そして、彼女から香る男を誘うような匂いに俺はクラクラしてきて、このままヤってしまおうかと考え彼女の肩に手を置いた。
その時、彼女の身体はビクンとするのが分かり、目を見てみると辛いのを堪えるような瞳であった。
それを見た瞬間に俺は、白石さんの身体を押しのけた。
(白石さんはずっと不安だったのだ。恐らく過去の悲惨な経験から無償の愛や善意などを信用出来なかったのだ……。そんな彼女を一瞬でもヤろうと考えた俺は、なんてバカ野郎なんだ!!)
「萩原君は私を犯さないんだね……。私って顔もスタイルもいいし普通にヤられると思ってたよ」
「しないよ。エッチは好きな人同士でするものだから。俺に一ミリの好意を寄せてない白石さんとはヤらない」
「だけど私は何をもって萩原君に恩を返せばいいの?この身体しか価値のあるものなんて持ってないよ」
白石さんはぐいと胸を張って大きな胸を主張した。
「他の男はそれで十分かもしれないけどな。俺は強欲だからな、白石さんの心が欲しいんだよ」
「こころ?」
「俺は白石さんが入学式の頃からずっと好きだった。正直に言うと一目惚れだ!だから、白石さんと関わる権利を俺にくれ!そして、俺を好きで堪らなくしてやるよ!」
白石さんは、まばたきを数回して、くすくすと笑った。
「何それ!初めてそんな告白されたよ」
先程の悲しさ溢れる表情から変わり、もっと素直な笑い顔になっていた。
俺はこういう表情をこれから増やしていくんだと決意を固めた。
それにしても本当に、可愛い顔をしているな。
だからモデルやインスタでも人気が出てくるのも当然か。
「それで……さっきの返答欲しいんだけど」
ずっと笑っている白石さんに俺は返答を催促した。
「あ~ごめんね。こんなに笑ったの初めてかもしれない……。うん、私は萩原君のことが確かに好きじゃないよ。別に嫌いってこともないけどね、よくいる普通のクラスの男子。関わる権利って……クラスでってこと?仕事に影響出るから止めて欲しいかな」
確かに白石さんは人気急上昇中のモデルであり、実際にCMにも出ていたのだから売れっ子なのだ。
当たり前の話ではあったが、諦めきれないのが恋心ってものだ。
「なら、この家だけの関係ってのはどうかな?」
「私が仕事ない時だけ一緒に過ごすってこと?それくらいなら……」
「期間は一カ月でどうだ?もし、その時好きだったら俺と付き合ってくれ!」
白石さんはにこりと笑って答えた。
「分かったよ。それと私は今年の夏休み前で転校することになってるから、タイムリミットとしてもいいかもね」
現在六月上旬だから確かに一月程度のリミットではあるが、そんな話を聞いた覚えもなかった。
白石さんが俺の驚いた表情の理由に気づいたからか、転校の理由を説明をした。
「あ~まだ先生達しか知らないからね。これから私も女優として活動していくから、通信制の高校に行くことになったんだ」
噂で聞いていたがモデル活動だけでなく女優もすることになるのか。
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