新しい挑戦
学校に行く前に白石さんからラインが来た。
内容を要約すると、学校に通ってる日は仕事がないから、その日に部屋に来てと
の事だった。
白石さんが仕事で忙しいのは有名であり、休日どころか平日も時々学校を休んでいた。
先ほどの件からも俺は白石さんが経験ない事からアプローチをしてみることにした。
女の子との接点なんて俺にはないので、どう立ち回るかは分からないがやれることをやるしかない。
「今まで無駄な時間を過ごしたし有効な時間を使いたいな。俺が出来るものと言えば……」
だが俺の実家でやってる空手道場で実質破門になってるのだから得意な空手はやれないだろう。
俺は常々思っていた。格闘技ってのは間合いが重要だと。全中三連覇してるし高校生にも負けたことがないのだから概ね正解と言っていいだろう。
白石さんの努力に当てられたからか、勉強以外にももう一つやりたい事と向いてそうな事を考えると一つの答えが見つかった。
「ボクシングか……。俺が最も得意なのは空手でも突きであり、ボクシングのパンチと同様であった。白石さんにも釣り合う男になりたい……」
俺の高校にボクシング部なんてのはないし、どこかに所属する必要があるのかは分からないが、後で調べてみよう。
****
「おはよう!お、お前凄い顔になってるぞ?寝不足か?」
飯田が心配そうに声をかけてくる。
「おはよう。あぁ最近暑くなってきただろ?だから一睡も出来なくてな……」
当たり前だが、昨日の白石さんの件については秘密であるため、俺はよくありそうな嘘をついた。
「最近、空手の全国大会とかチェックしているのか?」
珍しく空手について聞かれた。
「え……全く見てないけど?」
「マジか、一切興味失ってるのな。まぁいいや。これを見ろよ」
飯田は俺にスマホを見せてきた。
そこに書かれていたのは美少女空手家JKっといたタイトルの記事であった。
「なにこれ?美少女詐欺じゃなくて?」
「いやいや、間違いなく美少女だって。実際に俺も見たことがあるけど確かに可愛かったぜ。それに写真もあるぞ、ほら見てみろよ」
その記事の写真には以前に実家の道場で会った女子がいた。
記事を読んでみると現在は同じ県の高校に通っているみたいだった。
「南郷葵か……」
空手は競技人口も少ないため、長くやってるのと全国大会常連の名前は大体覚えてしまうものだ。
「なんだ、やっぱり知り合いか?俺を紹介してくれよ」
「悪いな、連絡先を知らないわ。それに気が凄い強かったような気がする」
俺との組手で負けたからって、その後凄い睨まれるようになったし……怖い女だぜ。
それに重量差や男女差を考えれば、普通のことだと思うんだがなぁ。
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