第2話 再開
始業式が終わり、新しいクラスでの生活が本日より始まった。流石に、2年生のため、クラス内にも1年生からの知り合いがいないわけではないため、すでに仲が良い人たちで話している風景をみることができる。
ただ、大輔はまだ周囲に溶け込めていない。
そう。転校組はきついのだ。決してコミュ力不足ではない。断じてないのだ。って自分でそう考えているだけでもダメダメなんだけどね。そうしているうちに、担任の先生が教室へ入ってきたため、全員席へ戻った
「私は、2年3組担任の笠井直美だ。受け持つ教科は数学。新しい学年で進路も決定してく大切な時期だから勉強に運動に頑張ってほしい。1限目はLHRでクラス役員決めと自己紹介をする。では、出席番号順で自席で立って名前と今年頑張っていきたいことを話していってくれ。あと、パソコンを持ってきていると思うが、今リンクを送付するので、そちらにも記載して「提出」ボタンを推して欲しい。では、浅見さんからよろしく」
「はい。私は浅見結衣です。よろしくお願いします。2年生では、勉強に力を入れていきたいと思っています。特に数学が得意なので、しっかり成績をキープしつつ、他の教科にもバランスよく取り組んでいきたいです。今年もみんなと仲良く楽しく過ごせたら嬉しいです!」
クラスが少しざわついた。浅見結衣――その声を聞いた瞬間、大輔の心臓が一瞬止まったように感じた。大輔がちらりと前の方を見ると、結衣は落ち着いた様子で立っていた。美しい顔立ちと、冷静な雰囲気が彼女をさらに引き立てている。
あれ?あの神社で話した子のような…。美少女だけど、ジロジロ見たわけではないから記憶が曖昧だし、ゆうほど話したわけではないしな。気になるな。って僕の番になるからそっちに集中しよう。
大輔は自分の番が来ると、少し緊張しながら立ち上がった。
「城山大輔です。えっと、転校してきました。趣味は読書です。2年生では勉強に特に力を入れて頑張りたいと思います。よろしくお願いします」
簡潔に自己紹介を終え、ほっと胸をなで下ろしながら席に戻った。ふ〜。やっと自分の順番が終わった。パソコンから提出しておくか。ってパソコンを見ると一番前の席である浅見さんと目があった。
えっ?
少しお辞儀をしたら、相手もニコッと笑い前を向き直す。や・やっぱり昨日の子だったんだ。なんという偶然なんだ。自己紹介で言えなかったけど、これでボッチ卒業か!!
ふふふ。ちょっと楽しくなってきたな。休み時間になったら話に行ってみようかな。
・・・
って考えた時期もありました。そう。ちょっと考えればわかるんだよ。休み時間になると浅見さんの周りにクラスメイトたちが集まってきた。彼女は、クラスの中心にいる存在で、周囲から一目置かれているようだった。
まあ、前の学校でもあったけど、イケメンや美少女でボッチはいないか。普通は、同じようなクラスでイケてる人たちで集まるわな。ちょっと勘違いしちゃったぜ。まあ、某バスケ漫画で有名な安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ」の名言を教訓に自分を変えて行こうとしているから、少しくらい頑張ってみますか。
歩かなければ進めない。僕は、今のままで良いわけないわな。勉強はまあできる方かもしれないけど、こんな性格で良いわけないから、初日の幸運をトリガーにコミュニケーションもちょっとだけ進めてみますか。
・・・
「ってやっぱり、簡単には話せないか…」
というより、浅見さんは自然とクラスメイトたちと笑顔で会話を交わし、その輪の中に引き寄せられている。彼女は、どんな相手に対しても親しみやすく接していた。そのため、大輔がその輪に入り込む余地など、まったくなかった。
うん。あれは無理。相当な陽キャ出ないと無理。しかし、コミュニケーション化け物だな。神社の時はもう少し僕に近い感じがしたはずなのに、今はまるで別世界の住人のように遠く感じる。そんな思いを抱えたまま、大輔は教室の片隅で一人、窓の外を見つめる時間が多くなっていた。
僕は、数学の教科委員として決定し、委員長やら文化祭実行委員やら決まっていった。ただ、これもビックリするのだが、運が良いというのか、浅見さんも数学の教科委員として決定した。てっきり、委員長とか文化祭実行委員みたいな前線に立つような役割をするのかと勝手に思っていた。
放課後、大輔は一人で教室を出ようとしていた。しかし、ふと振り返ると、教室の端で一人静かに座っている結衣の姿が目に入った。いつもは彼女の周りに人が集まっているのに、今日は誰もいない。今こそ話しかけるチャンスだと思った大輔は、勇気を振り絞って彼女の元へ歩み寄った。
「えっと、浅見さん…」
「ん?あっ!城山くん。どうしたの?そうそう。数学の教科委員一緒だね。よろしくね。」
「こ・こちらこそよろしくね。あ・あの浅見さんって昨日、八坂稲荷神社で階段の段数の話を僕としたかな?もし、違っていたらごめんね」
「ふふ、さすがに覚えているよ。まさか同じ学校で同じクラスなんて驚いちゃた。」
大輔の胸の中に、少しの安心感が広がった。彼女が自分を覚えてくれていたことが嬉しかった。そして、ようやく彼女と再び話すことができた喜びがこみ上げてきた。
ガラガラとクラスのドアが開き友人の咲希から声がかけられる
「結衣ちゃーん。一緒に帰ろ〜。ってごめん。何か話しているところだった?」
「そうそう。教科委員の話を城山くんと少し話してた。じゃあ、そろそろ行くね。これからよろしくね!」
「あぁ。こちらこそよろしく! さよなら。」
やっぱり、神社で話をしたのは浅見さんだったのか。話しかけて良かった。あぁ〜緊張した。自分を変えるための第一歩を踏み出せて新しい学校での1日目としては上出来たな。
ふふふ。妹の葵にも少し話してやるか。頑張って友達作っていこ。神社で出会って、次の日同じクラスでってまさにラノベの主人公だな。ってことは、頑張れ自分!!
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