第15話 帰宅後のやりとり
帰宅して食事を終え、食器を片付けると、葵がソファに座って待ち構えていた。大輔がいつも通りに部屋に戻ろうとすると、葵が声を上げた。
「おにい、ちょっとこっちに来て!」
「えっ、何かあった?」
大輔は少し戸惑いながらも、葵の元へ近づく。すると、葵は鋭い目つきで大輔を見つめた。
「何かあったじゃないよ!浅見先輩まで名前呼びになるってどういうこと?本当にクラスで教科係の話しかしてないの?」
「えっ?結衣さんの話?」
「そう、浅見先輩の話!」
「そうだよ。課題の回収やらプロジェクタの準備やらを協力してやってるんだ。どうだ葵、少しずつボッチ脱却中だよ。」
大輔は少し照れながら言った。
「へ?本当に?そんなことあるかな〜。他になんか心当たりないの?」
大輔は頭をかきながら苦笑いを浮かべた。
「あっ、そうだ。以前、葵に告白を断ったって話をしたの覚えてる?」
「あぁ〜。数日前に食事の時に話したやつね。」
「そうそう。あれが結衣さんだったんだ。なんか話を聞いたらだいぶスッキリした顔つきになったから、こっちも嬉しくなって覚えてるんだ。」
「はいはいはい。なるほどね。」
浅見先輩が辛い時にそばで話を聞いたことか、妹だと思ってた梨香ちゃんが先に名前呼び?対抗意識なのかな。ん〜、よくわかんないけど…。
「まあ、名前で呼ぶのは梨香さんの希望だし、結衣さんだってそう言ってくれただけなんだよ。」
(それが違うんだよな…「ボッチオブザボッチ」おにいは、そこがわかってないんだから。普通は、親しくないと名前なんて呼ばせないって。気持ち悪いもん)
「まあ、でもさ、おにいも成長してるってことだよね。美少女と話せるようになったし、名前で呼び合うくらいまで行くなんて、私もちょっと誇らしいよ!」
「いや、そこまで褒められるようなことじゃないと思うけど…」
「いいのいいの。おにいが成長してるなら、私も嬉しいし!でも、ちゃんと気をつけてね。名前呼びは大事だから!」
「はいはい、わかりました。」
葵の説教は続いたが、どこか楽しげな調子だった。兄妹の会話はその後も続き、大輔は少し照れながらも、葵の笑顔を見て安心していた。
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