概要
そこの兄さん。あたしを買わないかい?
薬屋りんの物語です。
りんに、己をやとってくれと交渉をする盲目の娘、あきむし。彼女の目的はなんなのでしょう。
りんに、己をやとってくれと交渉をする盲目の娘、あきむし。彼女の目的はなんなのでしょう。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ご照覧あれ、あきむしという名の娘の来し方と焦点揺らがぬ意志の行く末を。
薬屋りんさんシリーズ、今回は行く手に不思議な女性が現れます。
彼女の名前は、あきむし。
りんさんと組み合わせると、なんだか響き交わすようなイメージが生まれて素敵ね、なんて読み進めると彼女とりんさんと丁々発止のやり取りが楽しめます。
いつもは本人には自覚がなくても煙に巻かれるような、なんとも掴み難いイメージのりんさんですが、今回は彼女と対等な感じがして少し身近に感じられます。
あきむしさんが強くて見事なせいです。
覚悟して、行く末を確り見定めて、しかも自分を助けた人への恩義を忘れない。
あまりにも見事で、神々も見そなわしませと訴えたくなるくらいなのです。
なんというか、彼女の人生に枯…続きを読む - ★★★ Excellent!!!観える者が歩く。背中を常人の読者が追いかける。
本作は「薬屋りん」シリーズの一作で、評者は本作が初見です。
いきなりですが「見える」とは何なのでしょう。その問いをぶつけられる冒頭に読者は頭をやられます。
題名に「観」の字を含む本作は、主人公二人が、直接的な視界と、心理的な見通しと、双方において、探り合い、かつ、互いの視界を信頼し身を委ねる、稀な展開を見せます。
主人公二人は察している同士で行動を積み重ねるところを、何も知らぬ読者はしずしず追いかけることになります。
ですが、どこかで、読者も二人に身を委ねるのです。
作中世界は、日本といえども人権意識が浸透した現代とは比べものにならぬ、人の心も命も軽んじられる場所。物語でよかった、…続きを読む