同性愛者と聞くと変に身構える人がいるけど、基本的にノンケには手を出さないのが普通だとか。ただ身近に同族がいると、とりあえず性欲解消のためのパートナーになりがちなところもあると、同性愛者の知人に聞きました。
それでも彼ら(彼女ら)は相手が誰でもいいわけでなく、異性愛者と同じ価値観の元で恋愛している。
ただその対象が同性なだけ。
(ゲイorビアン)バーで気の合う相手と交流して恋仲になったり、マッチングアプリで慎重に価値観の合う相手探したり、コミュニティの会合や街中でたまたま知り合った同族と仲を深めたり、最初の出会いが友人の紹介だったり。
これらの出会い方とその後の進展は、異性愛者も同様なはず。ただ価値観の合うだけの友人になるのか、仲を深めて恋人同士になるのか、性欲の捌け口として身体だけの関係になるのかも、異性愛者と変わらない関係の築き方なんですよね。
そんなリアルな同性愛者たちの恋愛模様が読める作品がこちら!
あとちょっとした愚痴ですが……僕は日々腐男子としてひっそりと購読活動しているのですけど、『腐男子=ゲイ』だと思い込んでる男性が世の中に多すぎ。僕が腐男子だと言うと、『ゲイの方ですか?』と毎回聞き返されるのにはウンザリです。
僕はね、世間から見て障害の多い恋愛物語を読むのが好きなだけで、決してゲイではありません。
秘密の恋の関係や不倫もの近親もの、寝取られざまぁ作品などを好んで読む読者たちと一緒です。その辺の偏見も少しは解消できる内容でした。
たまたまコミカライズ版を購入してこの作品を知りました。書籍版も買おうか迷っていたら、腐仲間にWeb版もあると教えてもらったんですよ。
こりゃ布教のために書籍版も買わないとね!
ヘテロも、いろんな個性を持った人達が出て来ます。人によっては、「それはちょっと…」と思う展開もありますが、私は主人公が納得しているので良しとしました。
ケイトさんが格好良かったです。
セクシュアルマイノリティも、いろんな人達が描かれているなと思いました。
タイトルに引っ掛かりを覚えた方達も、読んでいくと、何故、ゲイではなく、ホモになっているのか?分かります。
章タイトルが凝ってます。「英語!?洋楽!?分からない!」大丈夫です。QUEENを知らなくても、楽しめると思います。
※書籍版に敬意を表して、評価は★2とさせて頂きます。
BL物を初めて読みました。
結婚の観点ではドン詰まり感があって、それが山場となり、自分の日常生活に本の少しの想像力を加えると、何となく物語を創作できちゃうんじゃなかろうか。
最初は舐めて読んでました。
でも、私にゃ無理。繊細で奥深い。登場人物の数は僅かなのに、世界、いや社会を語っているんです。
でも、読み難くはないです。等身大に近い登場人物の織りなす心の機微が眩しい。惹き込まれます。
若い頃、「ホモは良いけど、レズは止めて欲しい」と思ってました。理由は浅はかで、恋愛の競争率に少しでも下がって欲しいからです。そんなの本人の魅力次第であって、何の意味も無いんですが、そう思ってました。
今は、勃たない事の深刻さも分かりますし、最後の味方が家族だとの自覚もあって、主人公には共感する部分が大です。
でも、新宿2丁目は未経験です。ゲイの方は優しいとの先入観が私にあって、隣の歌舞伎町よりも遥かに安全だと思い込んでますが、盛場の浮かれが苦手なのと、金銭的余裕が無い事が理由で、キャバクラにも行った事がありません。
居酒屋止まりの小市民ですが、そんな読者でも十分に満足できる作品です。
同性愛者と腐女子っていうネットの人からしたら割と(ネタ的な意味で)身近な題材を、ただの1要素やギャグとしてではなくしっかりと描写していて凄く読み応えがある作品。
ネット小説やライトノベル的では無いが、しかしそれでもインパクトや惹きつけられる魅力があって、いわゆる一般文芸を読んだことの無い人がネット小説/ライトノベルからそちらを読み始めよう! としている場合の入門としてお勧めできるレベル。(そういう人がいるかはさておき)
この作品の魅力はその文章やキャラクター、展開、伏線回収全てに至るまで完成されているところにあるけれど、それ以上に、深く考えさせられる作品でありながら面白くサクッと読むこともできる点にあると私は思う。
たしかに同性愛者っていうテーマで、少年の葛藤などを書いているわけだから、ヘテロセクシャルの私にも考えさせらるところはいくつもあるし、実際そういった思考が読んでるうちに溢れてくる。
しかし、啓蒙的なものだったり、薄っぺらい教科書的なものでは無く、ひとつの恋愛小説として、青春小説として完成度が高い事が何よりも魅力的なのだ。
一度読み始めたら自然にスクロールして次話をクリックしているはずなので、十分読み切れる時間を確保してから読むことをオススメする。
あなたにとっての"普通"とは何ですか?
〇歳までに誰かと付き合い、〇歳までに社会に出て、〇歳になったら結婚して、〇歳になったら子供を作る。
上記はただの一例ですが、あなたにとって無意識にそう思っている事があるのではないでしょうか。
ではその"普通"に乗れない人達は何ですか?
もし自分が、その"普通"に乗れなかったらどうしますか?
本作の主人公は男性が好きな男子高校生です。
彼は自分がマイノリティであると思っている故に、周りに本当の自分を隠しています。
あなたなら、自分の「個」の部分とどう向き合いますか?
時間をかけて、考えてみて欲しいです。
セクマイ関連への理解や啓蒙が進み、性的マイノリティ当事者にとって昔よりは生きやすい世の中になった……と思いきや、そうした運動があらぬ方向に進み、却って生きづらさを深める当事者もいる。
そんな現状の中で、マイノリティ当事者から放たれた、叫びと祈りを込めたエンタメ小説。マイノリティだと自覚する人を、あるいは自分を「普通、マジョリティ」だと思い込んでる人を、つまりあらゆる人の「性と愛の在り方」を見つめなおす上での一つのテキストとしても素晴らしいと思いますし。
同時に、出会いを通して自身の世界が変わる青春小説としても非常に面白い、異色の「ボーイ・ミーツ・ガール」物語でもあると思います。
主人公の安藤くんの、「女を愛したい」という理想と、「愛せるのは男」という現実の間であがく姿は胸を刺しますし。「彼女」である三浦さんの、好きな人と結ばれたはずなのに……という苦悩もまた切なく。
ゲイと女子という、本来は「合わない」組み合わせではありますが、僕はこのふたりの関係性をとても尊いものだと感じました。
彼女に興奮できない、彼氏が興奮する人は自分じゃない。それは努力や思いやりでどうにかなるもんじゃない。
しかしそれでも、たとえ相手とずれていても、相手を「好きだ」と思い合い、取り囲む世界を変えようと、それに応えようとする真摯な姿に、嘘はないでしょう。
大切な人のために。それは異性愛男女でなくとも、互いのSOGIがどんなだろうと、性的興奮が絡まなかろうと、変わらず普遍的に眩しい感情だと思います。だからこそ二人の間の絆は、かけがえのないものに思えました。
この、別に高校生男女でなくとも描ける感情を、高校生男女という、恐らくトップクラスに「カップルとして結ばせがち」な属性の二人で描くことに、大きな意味と面白さがあるのでしょう。
彼ら二人だけでなく、取り巻く人々もそれぞれに癖と魅力があり、マイノリティに関わる多様な視点が描かれていました。なかでも、主人公にアドバイスを送るミスター・ファーレンハイトの台詞は名言箴言の宝庫です。セクマイ関連はよく知らないという人は勿論、ある程度は理解できてるという人も、きっと新たな気づきがあるでしょう。
蓋をされてきたダイバーシティが顕在化してきた、そんな2010年代に生きるあらゆる人に、新たな発見と瑞々しい面白さを、「出会えて良かった」もたらす物語だと、自信を持って掲げたいです。