彼女が好きなものはホモであって僕ではない

作者 浅原ナオト

726

253人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

感動しました、と簡単に言っちゃいけない感じがするけど、でも感動しました。
人と人が少しでも分かりあおうと模索する尊さ、みたいなものがすごく刺さりました。
色んな人が出てきますが、それぞれが色んなことを自分なりに考えて行動しているのがよく伝わってきて、皆それぞれ頑張ってる、良い奴だな、という印象です。
終わり方も、全て丁寧に回収されていて読後爽快です。

★★★ Excellent!!!

少し前に書籍を読み終えました。
終盤に出てくる、ホームルームのディスカッションでの小野くんの言葉で価値観が少し変わりました。彼は良くも悪くも本当に正直者です。大切な友達のために動けるし、そのために傷つけることもしてしまいます。それでも彼が大好きで、嫉妬してしまう。あそこまでまっすぐであることは簡単なことではないから。
小野くんの言ったことは同性愛だけでなく、何か隠し事をしている人はみんな共感してしまうのではないでしょうか。自分の秘密を話すことで、周りから見える自分はそのレッテルを貼られてしまう怖さ。そのレッテルでしか自分を見てくれなくなる怖さ。私にもあるのです。今まで無意識に見ないようにしていたことの一つでした。
この小説を読んで、そのことに少しでもそれに気がつけて本当に良かったです。本当にありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

書籍化作品から、タイトルと表紙の絵柄に興味を惹かれ、読ませて頂きました。読みはじめから最後まで飽きずにいっきに読み終えました。とても登場人物が魅力的で頭では納得できる同性愛者への偏見も各登場人物ごとに世間が思ういろんな角度でぶつけていて考えさせられました。道徳的にも広く読まれて欲しいなと思える作品です。

★★★ Excellent!!!

異性愛者にとって同性愛者を「本質的に」理解できるかといわれれば、それは他者を理解しようとすること以上に難しいことなのかもしれない。いつまでも字面でしか追えないような概念だと感じる。ただ今作を読んで何が変わったかと云えば、性的愛(エロス)とは切り離された「家族愛」に代表されるアガペーの類いの存在が同様にあるのだという至極当たり前かもしれないが、見逃されがちなものの存在に気づけたことである。この本は単にLGBTに理解を示そうという内容ではない、もっと心の奥に備わっている性的コンプレックスを醸す内容となっている。
だから、LGBTに対してただ理解しようとするのではなく、まず認めることからはじめよう。では認めるとは具体的にどういうことなのかといわれれば、それはレビューの本質から逸れる上にスペースを多くとってしまうため、あえて言及はしないことにする。

★★★ Excellent!!!

書籍化一覧の中からこの作品を見つけて読破しました。表紙の絵柄とあらすじでどういう話なのか想像つかなかったからです。別に同性愛者について研究しているわけではなく、むしろ自分の周りには同性愛者の方がいるわけじゃないので馴染みがない方々でした。最も、この作品で書かれているとおり、ほっといてくれという結論に基づいて表に出ない人を考慮してます。
そして、この作品を読んで俺は何故か心をかき乱されました。少なくとも俺は馬鹿にするつもりはなくて、創作物として読んだことはあります。でも、なぜか、これは俺のことを書いていると勝手に思ってしまいました。もちろん、同性愛者のことなんてちっともわからってない俺です。そんな子供が分かった気になって送ってると思われても言い返せないです。でも、俺は何故か心に突き刺さって、読み終わったあとの描写がありありと浮かんでいます。心がかき乱され、先程から書いている『なぜか』を説明できません。俺は作品を好きか嫌いで分けて、何が嫌いかを納得するまで理解していました。この作品は嫌いじゃないのは確かですが、何が好きなのかと言われれば書けません。これは俺をさらけ出したと一文だけです。
ありがとうございます

★★★ Excellent!!!

三浦さんのポジティブさが可愛過ぎるのと、亮介がすごく尊いです。重い内容の中にも青春小説らしい展開や、普通読み飛ばしちゃう場面でも読者が飽きないようなテンポの良い語り口調、細部への配慮がちゃんされている小説だと思います。同じく物を書いてる立場から見て語彙の引き出しの多さと、文脈から見える経験値、整頓された伏線回収に才能を感じました!
でも一つだけ、三浦さんみたいに全属性ホモならOK腐女子はなかなかいませんよ。

★★★ Excellent!!!

この本と出会えて良かったです。読み始めると本当に止まらなくなりました。不覚にも出先で読んでいるときにクライマックスを迎えてしまって、涙を必死に堪えました(苦笑。その時の泣きたくなる気持ちは、ただ、悲しいとか感動したという気持ちではなかったと思います。私は、自分を自分として受け入れられる勇気を貰いました。自分は三浦さんと同じように腐女子です。暫くBL好きを隠してきました。冗談にも本気にも「気持ち悪い」と言われたことがあるからです。しかし、この本を読んで、そんな周りの声をあまり気にしなくていいんじゃないかと思えてきました。この世界には、私と『同じ』趣向の仲間がたくさんいるんだから、別に自分は孤独じゃないし、特殊でもない。そんな気持ちが芽生えてきました。この本は、腐女子を勇気づけることはテーマではないかもしれませんが、自分は自分をマイノリティに感じる環境にいるので、主人公の気持ちを自分の気持ちに少し重ねていました。
きっと、時間をおいてこの本を読んだらまた別の気持ちが出てくるんだろうな、とも思える作品です。二度目三度目とも読むのがとっても楽しみです。

★★★ Excellent!!!

淡々と進んでいく文章。休もうと思っても休めない。
「これは読まされる」そう気付いた時には遅かった。

同性愛に悩む主人公の再生のものがたり。
「ふうん」と、さほど興味のなかったテーマのはずなのに、
胸倉をぐいとつかんで、パソコンの前から放してくれない。
流れと語りの心地良さに引き込まれていく。
冷静な文章なのに、地が熱い。
とても真摯な作品だ。

内容は、とてもうまく表現されている他の方々にお任せする。

セクシャルマイノリティーの苦悩は、
あらゆる悩みに通じている。
悩みに大きいとか小さいとかはない。

あなたがあなたのままでいい世界、
何者かに成らなくてもいい世界。

世界は確実にそういう風に変わっていく、
そう感じさせてくれる小説だ。

★★★ Excellent!!!

するなと言われても、世界ってそもそもメチャクチャ複雑じゃないじゃないですか。BL星はとりあえず脇に置いておくとしても、世界には約175万種類の生物がいて、哺乳類だけでも約6千種いて、そのうちの1種であるホモサピエンスの中でも男と女がいて、色々な国があって、人種がいて、それぞれに信じる神様がいて。言葉が違えば、音楽も違う。育ってきた環境が違うから好き嫌いも否めなくて、夏が駄目だったりセロリが好きだったりするわけですよ。簡単なはずがない。

そんな複雑な世界だからこそ、なのかもしれない。少しでも単純化しようと、ティピカルな枠に押し込めようとしてしまうのは。一つの形質を形質としてカテゴライズしてしまえば、その一つ分だけは複雑な世界がシンプルになる。覚えがないとは言わないし、言えない。

好きな台詞がある。

カフェ(夜はバー)「39」の店長・ケイトさんの言葉だ。

「国や世間が認めている認めていないって、あんまり関係ないわよ。どこに居ても自分を認めている人はHappyだし、自分を認めていない人はStressを溜めている」

中盤くらいまで、正直言ってぼくは本作の主人公である純があまり好きではなかった。世界を簡単にするな。そう考えるあまり、彼自身がある意味では世界を、あるいは自分を簡単に見てしまっているように見えたからだ。しょうがない面もある。彼はまだ高校生だ。ぼくらは所々ギザギザに尖った歪な多角形で、隣り合えば尖った部分が互いに傷つけ合う。(中盤までは)殊更に無神経な言動を取る小野くんも含め、互いに傷つけあわない距離感を体得するにはまだ若すぎる年齢なのだ。

そんな若さが終盤、爆発する。

その爆発が彼に、彼らに、彼女に何をもたらしたのか。それはぜひ読者自身の目で見届けてほしい。

世界を簡単にするな。もちろん世界は簡単ではない。でも、見方を変えればどうだろうか。

誰にも認め… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

嘘ではないです、散りばめられたセンス光るセリフに何度も笑わせられました。
勢いある場面展開にも関わらず読みやすいのも筆力の為せる技なのでしょう。
しかし、タイトルに釣られストーリーにどんどん裏切られながら、彼らの葛藤から絞り出される言葉にガツンガツンと胸を抉られていく。気付けばページを捲る手が止まらない。

同性愛について考え抜かれていることは言うまでもありませんが、それ以上に、誰しもが持つ「愛」の確かさについて胸倉を掴んで問い直してしまう強さを持つ物語です。
それは読者に自己と他者とに向き合う痛みを突き付けるものでもあり、逃れられない登場人物達の痛切な苦しみが共鳴します。
だからこそ、それでもこの小説を読み終えた人が選ぶ好きな人物もセリフもシーンも十人十色で、そのどれもが重みを持つのかもしれません。
主人公の暗澹たる胸の内側からすっと視点が引いて情景が彩られる描写には思わず嘆息しましたし、BGMに流れるQUEENも切なく、美しい。

しかもずるいことにむちゃくちゃおもしろい青春小説でもあります。
これだけ作品世界に引き込んで価値観を揺さぶっておきながら、読後の余韻は爽やかで、前向きにさせてくれる、高校生達の新しい一歩の先に、読者に明日を見させてくれる。
手段誰彼構わず読ませたい、そして「軽い気持ちで読み始めたのに…」と泣かせたい。そんな一作でした。

★★★ Excellent!!!


いろんなことを考えさせられるお話です。

私たちは何かを理解する時、自分にわかるように問題をシンプルにします。シンプルにするためには、余計な部分を削らなければなりません。

これは、わからないからと削った部分を考えるお話。


感受性が強いひとには、少しきついかもしれません。ぐっさりと刺さります。私はちょっと呼吸困難に陥りかけました。でも、最後まで読んで、少し前向きになれました。共感しすぎると呼吸ができなくなる人は、どうぞ1日暇な時間があるときに一気読みしてください。

★★★ Excellent!!!

気付けば、最後まで読んでました。


何故か、涙が出ました。泣くべきは私じゃないだろうに……。


読んでいる途中、様々な感情や言葉が頭の中を埋め尽くしていた筈なのに、読み終えた時には全部無くなってました。すっからかん、と。

出てきたのは、溜め込んだ息だけでした。溜息、というか、なんとも言えない、もどかしい感情を吐いた感じ。

正直、自分でも分かってないです……。何なんだろう、このわだかまりは……。


私自身、恋愛は『男だから』『女だから』ではなく『好きだから』で良いんじゃないの、と軽く考えてしまう人間なのですが、彼の考え・思いは心に深く来ました。簡単ではないのだなぁ、と。



中々に濃い時間を過ごせました、ありがとうございます。



長文・乱文、失礼しました。

★★★ Excellent!!!

日本という国は『同性愛者』というだけで殺されるような国ではない。だけど意識的、無意識的に行われた言動によって命を絶ってしまう人たちは大勢いる。無関心を装いながら、いざ渦中に巻き込まれたら差別する。全てのマイノリティにとって日本は生きにくい国だ。主人公の安藤は、男性が好きという一点を除いては極々どこにでもいる若者だ。だが彼もいうように『同性愛者』というだけで全てが集約され、独り歩きした想像の産物に堕とされる。直接言われていい気分ではないが「気持ち悪い」という感覚は誰にでもある。同じ境遇のマイノリティの中でさえあるのだから。これは拭えない感情だろう。この物語は、二人の同性愛者の若者を通して、生と死を見つめる。主人公が踏み止まれた幸運。友人という宝物がいたことの大きさ。羨ましい。羨ましいことこの上ない。

★★★ Excellent!!!

これだけのレビューがありますから、簡潔に述べます。

読まないと損です。ただし、読む前と後で見える
世界がまったく同じであると、保証はできません。

読めば考えざるを得ませんし、考えれば見える
世界は変わってしまいます。

明らかにそういう意図の下に書かれた作品です。

しかし、読書の醍醐味とはそういうものですから、
そういうつもりで読んで頂くのがよいと思います。

★★★ Excellent!!!

「ありのままに」「ありのままでいい」
ちょっと前に、そんな言葉をよく耳にした。
無邪気に口ずさむ子供たちや大人たちをたくさん目にした。
自分だって、幾度となく口にしたと思う。その言葉の重さなんて、欠片も考えずに。

周りから肯定されないと知っている、否定されるか、なかったことにすらされる自分を、どうやって、そのままでいいなんて思えるものか。
一体どれほどの人たちが、自分を隠し、偽り、自分自身や周りを欺いて、どうにかこうにか過ごしていることか。
ありのままの姿を見せることの、難しさ。自分が自分であることの、壮絶な苦しみと痛み。
何もかもを欲しがっているわけではない。ただ、みんなと「同じ普通」が欲しかった。けれど、どうしても手に入らない。そんな彼らを、身の程知らずの欲張りだなんて思えない。
もがき苦しむ主人公の姿が痛々しくて胸がヒリヒリした。
スタイリッシュ(と言っていいのかわかりませんが)でウィットに富んだ文章を読みながら、自分の中に去来するどうしようもない憤りというか、説明しがたい悔しさでグラグラとする頭の中には常にフレディの歌声が響いていた。

主人公の母親、三浦さん、幼馴染、他にも強くて優しい人たちの存在に救われた。
最後まで読み切って、主人公の強さが眩しかった。
世界はまだまだ、ありのままでいようとする人たちに優しくはない。けれどいつか、このお話に出てきた「BL星」とまでは行かないまでも、多種多様な「普通」が「普通」になればいい。
あぁ、違うな。なればいい、じゃなくて意識的に、そうしていかないといけないな、と強く思わせてくれた。とても素敵な小説だった。

想像や空想で物語を描くことはできる。
行ったことがなくても、宇宙の果てや見知らぬ異世界の物語をリアリティをもって描くことはできる。
けれどこういった心の内を描いた物語は、筆者様の経験無くして綴ることの出来るものでは… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

カクヨムをはじめてよかった。
読み終わった後、そう思いました。
この作品に出会えて嬉しいです。


この作品を読み終わったのはだいぶ前のことでした。
何がどうよかったか、書きたいけれども私の文章力ではどうにもなりません。
時間をおいて考えてもどうにもなりません。
とにかく、たくさんの人に読んでほしい作品です。

レビューになっていませんが、本当に良かった。泣きました。ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

読了後の高ぶりがいつまでもおさまらず、感情的なレビューになってしまうことをお許しください。
これほどまでに琴線に触れる物語に出会えたことを、心から幸福に思います。そしてこの物語を生み出した作者様を、心の底から尊敬いたします。

大きな苦悩を抱える主人公純くんの、声に出せない心の叫びが切実で、序盤からずっと、込み上げてくるものを飲み込むことができず苦しかったです。
この苦しさも、胸に突き刺さる強烈な痛みも、この世界に現実として確実に存在している痛み。もしかしたら、知らないうちに自分が誰かに与えてしまっているかもしれない痛み。
そう思うと、辛くても目をそらすことができませんでした。

だけど、ただ苦しいだけじゃないところが、この物語の素敵なところなのです。
各所に散りばめられたユーモアが、読み手の緊張を和らげてくれます。
ケイトさんが語るシンプルな言葉は、純くんを通り越してどんな悩みにも直撃しそうなほど、スケールの大きな愛に満ちています。
そんな風に、壮絶な物語の根底に、莫大なあたたかいものが宿っている気配を感じるのです。

頑張っても普通に生きることができないもどかしさ、もがくほどに深刻さを増す生きづらさ、そこから生まれるどうすることもできない自己否定感。
純くんが抱える苦悩に共感するのは、きっと私だけではないはずです。
年齢も性別も関係なく、現代を生きる人の心を揺さぶり、抱きしめ、背中を押してくれるような力強い優しさが、この物語には溢れているのです。

題材に関心があるなしに関わらず、ひとりでも多くの人に読んでいただきたい。
この物語が世界中に響き渡れば、世に蔓延る痛みは確実に減らすことができる!人間の心が動けば世界も変わる!!と、物語が生み出す可能性を信じずにはいられなくなる、素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!

昨今流行りのLGBTという言葉ですが、主にG、男性同性愛への説明を促しながら、「LGBT」と一括りにされがちな存在が実はかけがえのない個人たちであることを、この物語は伝えてくれます。
百人のLGBTがいたら、百通りのLGBTがおり、皆、個性も人格も違うのです。

運動や政治活動はもちろん大切で、その部分がLGBTに限らずあらゆるマイノリティが生きやすい世の中を作るのかもしれませんが、前述の、マイノリティもかけがえのない人間・個人であることを世に伝えるのは漫画や映画や小説、表現の得意分野。

この物語を読んで今までためらわずにネットに「ホモ」って馬鹿にする感じで書いていた方が、ちょっと、考えてくれたらいいし、本作には、そうさせる力が充分にあると思います。
★みっつでお願いします。

★★★ Excellent!!!

 どれくらいつまらないかというと、ワードに貼り付けてプリントアウトして常に手元に置いてダメな箇所を指摘せざるを得ないくらいです。

 まず、本作はジュブナイル小説として驚くほどありきたりです。性的マイノリティとして周囲に溶け込めない実存を抱えた少年が友人たちと絆を確かめ合い、そして時に傷つけ合い、社会で生きていく力を養っていくというテンプレ。うっかり女の子の秘密を知ってしまった主人公だとか、親友との三角関係だとか、決して壊れない友情だとか、更に物語を彩る遊園地デートに水族館デート、イヤホンを女の子と二人で共有だとか読者の好みが盛りだくさんです。描き方も少女との初々しくも甘酸っぱい恋愛という紋きりと、大人との激しくも苦い情愛というド定番をコントラストにして、読者の胸にいちいち迫ります。要するにみんなが興味がそそるものを盛り込んでいるわけですよ、面白くなって当然。こんな作品は書こうと思えば誰だって書けるんですよね。ただ、発想が出て来ないだけであって。

 また、登場人物が都合よく優しいのも指摘しなければなりません。素敵過ぎて聖人かとツッコミたくなる腐女子の三浦さんに、だれでも親友になりたくなるだろう幼馴染の亮平、さらに大人として主人公を導く知性と色気の溢れるケイトさん、そして最初は一癖もあるけれど打ち解けていくうちに内面にある人の善さが見えてくるその他の登場人物たち。誰ひとり単純な悪はおらず、それぞれが苦しみを抱えそれを主人公に示唆することで成長させていくわけです。まぁ、作者が人間の可能性を信じてらっしゃるんでしょうね。なので読後感はかなり前向きにはなります。自分も人間を信じてみようと思う程度には。

 あと主人公の主張が耳障りなまでにくどいです。性的マイノリティをマジョリティが意図せずに傷つけてしまう振る舞いがいちいち指摘されるし、マジョリティが当然のごとく生活している社会… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

この小説を本にしたい。
無地の、まっさらな、でも少しざらりとした触り心地の表紙で。

世界は複雑すぎて、だからこそ、この小説は面白い。
読み終わった後でもやっぱり表紙は白だと思ったのだから、私の第一印象は間違っていなかったのだろう。

大人に変わっていく強い三浦ちゃんと、
和紙に滲む水滴みたいなマコトさんが印象的でした。
二人とも主人公の「恋人」でありながら、全てが真逆で。

きっと私はこの小説が本になっても、何冊も買ってサイン会にも行くような熱狂的なファンにはなれないと思う。本当はしたくても出来ないと思うから。
だけど、その一冊を買って、自宅の本棚のお気に入りの棚に置いて、時々読み返しては「あぁ、これでいいんだ」って考える。同性愛者かどうか、という話ではなく、彼の進む道に、考え方に共感した、というか。
自分の背中を後押ししてくれるような、そういう本として、売ったりあげたりすることなくずっと手元に置いておくんだと思う。そういうファンにはなれる。大事にできる。
これは、私にとってそういう物語だ。

★★★ Excellent!!!

小説には、人間を変える力があるし、社会を変える力がある。この小説を読むと、そう思わされてしまう。少なくとも、私を変えた。

とにかく、読んでほしい。第1話から惹きこまれた。本当にすごかった。内容紹介は別にしませんよ。読めば分かるし。とにかく読め。

★を30個ぐらいつけたいところだが、三個しか入れられないのが悩ましい。運営に改善を求む。

★★★ Excellent!!!

この作品は私には大きなチャレンジでした。私は男性で、ホモでもなく当然腐女子でもない。いわゆる多数派ということになります。またそういう特徴を持つ方もあまり身近ではありません。そのため、きっと一部の人には面白いんだろうけど私にはわからないだろうな、と漠然と思っていました。

しかし読んでみると、主人公とヒロインの描写が丁寧で、すんなり話についていけました。なるほど私にこういう性質があればこういう悩みが出てくるだろうな、と納得感もありました。そして、この作品は1つの大きな社会への問題提起なのだと思うに至りました。

多数派の少数派に対する蔑視というのは基本的には生来の性分に根ざしたものであり、同性愛者であっても例外ではないと思います。だからこそ人間は発達した大脳新皮質を活かして動物的な部分を律するべきだ、という倫理を持つべきであるとなります。

しかし社会に十分なルールが確立されていない場合、どう律するのが良いのか、は個人の裁量に任されます。法律には抽象的なことしか書いてないですし、学校ではあまり教えてくれないし。

この作品はそうした問題が顕在化するとどうなるのか、という思考実験であり、かつドラマとしての起伏もかなりはっきり用意されています。この両立はかなり難しかったのではないでしょうか。

同性愛というテーマに対して経験的に全くなじみがない私にとって、本作は単にドラマとして感動できただけでなく、同性愛という世界に対する非常に良い入門書でもありました。古いキャッチですが、面白くて為になる、と感じました。

単に同性愛をテーマにした作品は色々目にはしましたが、そうした世界を異性愛者の目線にまで降りて説明してくれたなと感じたのは初めてでした。
作者様へ深く感謝します。また、異性愛者を含むより多くの方へ読んでいただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

セクシャルマイノリティーという言葉がいくらか浸透してきたにせよ、日本社会においては同性愛者に向けられる視線はまだまだ冷ややかなものであると思います。
この作品ではその生きづらさ・息づらさが、主人公の現実問題として赤裸々に語られます。
流行りのラノベ的なタイトルとは裏腹に、その内容は非常に真摯かつヘビー。
主人公の純が直面する懊悩と葛藤に、何回も何回も心がずたずたになりました。

前半は淡々とした語り口の中に、時おり切れ味鋭い一文が現れてハッとさせられます。
綺麗な海の映像を観ていたら、急にザザッとノイズが走るような(例えが悪いかもしれない…)。
後半は主人公のある行動により、取り巻く事情が大きく動きます。

ネタバレになるのであまり多くは書けませんが、題材も洒落た文体も伏線も構成も素晴らしかったです。
あと個人的な好き嫌いで言うと、自分は三浦さんが一番好き。明るくて大胆で可愛いです。

とにかくこの作品を読めて良かった、の一言です。
同性愛についてどんな思いを持っている人でも、最後まで読んでほしい。
そして、考えてほしいです。

★★★ Excellent!!!

——言葉にすることができない。
どうしても。
どこがよかった、ここがよかった——そう、シンプルに説明できる作品ではありません。

ただ——ものすごい威力を持ったボールを全身で受け止めた時の、あの感覚が残っています。
胸も、腕も、足の指先まで。全身が痺れるような、あの感覚。

そして——何も説明ができないまま、涙が溢れます。

ひとを愛するとは、何か。
この作品には、そんなこの上なく難しい問いかけと、私達が目を逸らしてはいけないメッセージが、ぎっしりと詰まっています。

一人でも多くの人に、読んでほしい。
LGBTについて、知っている人、知らない人。
苦しい思いを抱える人たちを応援したい人、敬遠してしまう人。
全ての人に、読んでほしい。そして、読まれなければいけない作品だと思います。

この作品が、本になって、全国の書店に並んで。
社会の現状を多くの人が知り、深く見つめるきっかけになったら——
この国が、少しずつでも、多様な愛に寛容な国に生まれ変わっていくならば。
これ以上、私にとって嬉しいことはない。

そんなことを、ひたすら思い、願います。

★★★ Excellent!!!

 タイトルに釣られてページを開き、あらすじに誘導されて一話を開き、そこからは胸ぐらを掴まれるようでした。
 淡々とした主人公の性格と、それにマッチした文体。
 ホモが好きな彼女との関係。

 誰でも一度は思い悩む、少年期ならではの恋の悩みをしっかりと丁寧に描いた一作。
 正しく、青春小説です。

★★★ Excellent!!!

この『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』という作品は、同性愛に対して、不平等な世界に対して、人間に対して、ものすごく真剣です。

そして、まさに真剣の如く、読者の心をズタズタに切り刻んでいきます。
主人公の純が抱く、普通という言葉に対する疑問、男が好きだけど幸せな家庭を築きたいという矛盾に対する苛立ち、自分自身に対する嫌悪。

それら一つひとつが刃であり、私たちの"当たり前"を覆しながら、同性愛について深く考えさせるのです。

世界が孕んでいる偏見と、性的マイノリティの方々(本作ではゲイ)が隠している苦悩が、いっさい偽られることなく書かれています。

その真剣さと切れ味に終始圧倒され、ハッピーで笑える話が好きなはずの私が、断言します。

これは、人類全員が読むべき作品である、と。
男も女も、ホモも腐女子も、全員が。

面白いので読んでみて!と作品をすすめてきたことは何度もありましたが、ここまで『読むべきだ』と言わせる作品はあまり他にないです。

とまあ、偉そうに言いましたが、私の世間に対する影響力など微々たるものです……。
そのことがこんなにも悔しかった瞬間はありません。

そもそも、面白い、楽しいという感想は、この作品には似合わない気がします。
局所的に笑える表現は出てくるものの、全体的にはものすごくシリアス。

シリアスで、ハッピーエンドとは行かないまでも、読後感は最高。
それは、純をはじめとした、リアリティのあるキャラクターたちのおかげでもあります。

純を好きになったのが三浦さんでよかった。
純の親友が亮平でよかった。
純と対立するのが小野でよかった。

そして読み終わったあと、読者は思うのです。
この作品に出会えてよかった、と。

★★★ Excellent!!!

タイトルからは想像もできなくらい、テーマ性の強い骨太な物語。ラノベ的な、いわゆる軽いのノリの作品かと思って読み進めると――ガツンと後頭部を殴られたような感覚に陥ってしまう、そんな物語。

この物語の中で扱っているテーマは『性』と『愛』。『LGBT』という難しいテーマーを軸に据えて、それをじっくりと真正面から描いている。

主人公の安藤純は同性愛者――つまりホモ(ゲイ)であり、付き合っている男性(既婚者)がいる。彼と親密になっていく女の子、三浦さんは腐女子で、二人関係が進展していくに連れてその関係は複雑になっていくのだが、その複雑さを誤魔化すことなく書き切っているところにものすごく好感を覚えた。

また、個人的なことを言わせてもらうと文章がものすごく好みで、最初の数行を読んだだけで「ああ、この文章はおもしろいし上手いなあ」と感じさせてくれる。上手いだけでなく、くすりと笑わせる文章も多く、男性器を『ペニス』と書かずに『ちんぽこ』と書いた点は最高に笑ってしまった。他にBL星やマジックミラー号など、きつい内容を和ませる際どい下ネタの数々が、物語に良い意味での彩りを与えていたように思う。

各章のタイトルには伝説の海外バンド『QUEEN』曲名が引かれているのだが、これがバッチリと決まり過ぎている! 物語の内容ともしっかりとリンクしており、お見事の一言。

テーマ性もあり、文章も巧みで、物語を引き立てる小道具や演出もハマっている素晴らしい一作。ぜひ、多くの人に読んでもらいたいと思う!!

★★★ Excellent!!!

こんな風に物語を書いてみたい。そう思わせる作品でした。
いきなり自分語りになりますが、語らせてください。

『物語の冒頭でインパクトのある話をする』
『主人公にとことん困ったちゃんをぶつける』
『必要ないキャラを出さない』
『主人公が殻をやぶり、未来に目を向ける』

ニール・D・ヒックスのハリウッド脚本術や、浅田直亮のシナリオパラダイス、三宅隆太のスクリプトドクターの脚本教室などなど。小説・シナリオの教本ばかり集めて作品なんか全然作ってない自分にとって、本作品と出会えた事はとてつもない衝撃でした。

主人公・安藤純は作中でよく「思考の先読み」を行います。
読者として読み進めている途中、純の思考の先読みによって要点がまとめられストレスなく読み進められました。思考の先読みをされることで純への共感性が強くなり、純の心境が大きく変化する佳境での彼の振る舞いにとても心を動かされました。

とても丁寧に作ったんだと感じます。
まず作者として書き進め、読者として読み返して場面場面で読者はどう思うだろうかを検証していったのでしょうか。その配慮が思考の先読みとなり、純の物語への読者を引っぱる力がとても強まっています。

物語のアクセントとなる小物を使い方も上手く、インパクトのある題材の世界観を強く広げています。本当に上手い。

文句なしの星3です。

★★★ Excellent!!!

タイトルに騙されて(悪い意味ではありません)巷に溢れるBL小説だと思って読み始めると、怪我をします。

少しネタバレになるかもしれません。
ご容赦ください。

作中で三浦さんが語る「BL星」の甘やかな恋愛劇はここにはありません。
あるのは、普通の高校生の等身大の悩み。
高校生が抱えるには些か重すぎる悩みです。
彼の悩みの根底は、世間に許されないことではなく、自身が許せないことではないかと思います。
そんな彼が、ホモが好きで、彼が好きで、決して逃げない、彼女に出会えた奇跡。
逃げずに向き合うことを選んだ勇気。
彼の未来が温かいものであることを祈ります。

素晴らしい作品です。
タイトルに騙されて若干怪我をしましたが(笑)気持ちの好い痛みです。
ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

普遍性のあるレビューを求められている場でいかにもカクヨム的な表現を用いるのは気が引けますし、大事な冒頭をこのような話からはじめるのもいささか気後れはしますが、私はもともと「この作品は★が3個では足りない」といった言葉から開始された、しかし(超主観的には)中身の薄いレビュー文にあまり良い印象を抱いていませんでした。もちろんその作品への強い想いがこちらまで伝わってくるようなレビューは話が別ではありますが、兎角私は個人的にそのような表現を好いていませんでしたし、従って自分自身が使うことは決してないだろうと半ば約束事のように思っていました。
しかし私は、やはり超主観的に断言します。
この作品を評価するには、★3個などでは到底足りません、と。

もともと私は本作がカクヨム内で注目を集めだしていた時期に一度手に取り、しかし途中離脱した経緯があります。それは主人公の特性、物語の中でしかるべくして与えられた彼の苦悩が、気軽に読むには重すぎたということが原因でした。といっても本作の文体は変に固く気取らない一人称視点であり、地の文にも心情が適度に染み出している平易な文章です。決して読みにくかったというわけではなく、むしろこれほど読みやすい文章は他にあまり例を見ないほど、私にとっては可読性の高い文章でした。
しかし私は主人公の抱える悩みと物語の伝えんとしていることを、真正面から受け止めるだけの覚悟と心構えを持つことができず、離脱していました。
彼らに、作者に、失礼な行いだと思ったからでした。

時を経て二度目に本作を手に取ったのが今回のことです。この頃になると本作はすでにカクヨム内のビッグコンテンツの仲間入りを十二分に果たしており(それは作者様の当時の近況ノートからも明らかでしょう)、今度は前回とはまったく異なる理由で、手に取ることすら躊躇われる状況でした。
私は必要とされる覚悟のハードルが嫌… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

もどかしくて悔しい。
焼け付くようなこの思いを、これほど強烈に追体験する読書は久しぶりだ。

同性愛者である純は「普通」とは何かを問い、探し続ける。
たどり着く答えは、自己否定。
自分が属さないもの、自分に属さないものが「普通」である、と。
半ば諦めながらも「普通」になろうと試み、何度も事実を突き付けられる。

僕は「普通」になり得ない。

ねえ、待ってよ。
何で君は「普通」でありたい?
何で押しつぶされてるの?
マジョリティがそんなに偉い?

私は同性愛者ではなく、異性愛者であるとも断言できない。
全ての人を憎んだ時期があって、求めてくれるなら誰でもいい時期があった。
確信していることがある。
私も「普通」にはなり得ない。

同性愛者を気持ち悪いと言う風潮が理解できない。
子どもを作りたいという「普通」の願望を持てない。
人前でプレゼンするのは得意なのに、会話ができない。
饒舌な小説を書けても、コミュニケーションの言葉が出てこない。

マイノリティという括り方をするなら、私も純と同じ側にいる。
でも、同性愛者という種類のマイノリティ特有の悩みはないし、
それに基づく偏見に晒された経験も無論ないから、
彼に共感できるところはあっても、彼と同調したとは言えない。

妻子ある男性を彼氏にし、同級生の女子と付き合う。
同性愛者として不倫をし、異性愛者という嘘をつく。
どんどん捻じれて追い詰められていく純を、
「ホモはキモイ」「BLは崇高」、周囲の声が更に混乱させる。
畳みかけるように、信頼するネット越しの友人から悲報が届く。
親に、友達に、世間に、純は全て隠し通さなければならないのに。

もどかしくて悔しい。
「普通」じゃなかったら、生まれてきた意味がないのか。
生きている価値がないのか。
死へと追い立てられねばならないほど、存在すること自体が罪悪なのか。

私も、「普通」にな… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

面白すぎて手が止まらず、夜更かし通り越して日が昇ってしまいました。

みんなみんな、まるっきりいい人じゃなくて、悪い人でもない。ただみんな弱いところがあって、自分を守りたくって、その弱さを認めたくもなくって、苦しむ。逃げる。そして最後は向き合って、理解し合おうと動いていく。その描写が素晴らしかったです。私もこんな文が書きたい。

色々書きましたが私の安い言葉じゃ伝えられないくらいに素晴らしかったです。本当に好き。とても好きです。ここまで心が動いた小説を読んだのは久しぶりです。ありがとうございます、本当にありがとう。

★★★ Excellent!!!

完結する前から読んでいました。完結するまでどきどきして、読み終わるころには思いにならない思いを午後の日差しの中に転がしていました。

とてもすばらしい作品です。性描写は多少ネックになるかもしれないけれど、それでも書籍化、映像化してほしいと思うし、そうなればきっと成功すると思います。お世辞抜きでそう思います。だれにでも、という訳にはいかないかもしれないけれど、物語設計のもたらすドラマツルギーは圧倒的だし、丁寧な描写は、きっとBLのようなフォーマットを嫌うセクシャルマイノリティーの人にも受け入れられるだけの強度を持っていると思います。
けれども、ずっとレビューが書けなかった。読んで感じた事をなかなか文字にすることが出来ませんでした。それでも、少しでも多くの人の目に触れてほしいから、レビューを書きます。

リアリティってなんでしょう?
きっと、それぞれの人が既知の事、そしてそこから演繹される事、との一致度、ではないかと思います。
ですから、人によってどんな描写にリアリティを感じるかは、もちろんかぶさる所もあるけれど、ずれる部分だってあります。つまるところ、リアリティとは受け取り手の経験と想像力に依存します。
一方で、アクチュアリティというものがあります。たとえ本当の事を書いたり訴えかけたりしても、大切ななにかが欠いていたら、それは空虚な空回りに終わるでしょう。たとえ本当ではない事を書いたり訴えたとしても、大切な何かがあれば、人の心を強く揺さぶります。
僕はこの作品に強いアクチュアリティを感じます。それはもちろんこの作品のそこかしこにあらわれる筆致の見事さ、ドラマ設計の巧みさ、にも由来するでしょう。
ですが、ここにおいてそれをもたらした最大のものは、筆者の「まなざし」ではないか、そう思います。そのまなざしは、作品のすべての登場人物、場面、物、音楽、だけではなくて、作品の外側まで、… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

同性愛という難しい題材を、丁寧に描いた良作です。

異性愛者であっても、異性の好みは様々。
同性愛者は、"様々"の枠が性別の垣根を越えて広がっているだけだと思っていました。
けれども、それだけでは捉えきれない面があることを、主人公の少年が教えてくれました。

タイトルや概要で腰が引けた方がいましたら、ぜひ、怯まずにご一読を。
本質的には、まっとうに面白い青春ラブコメです。

★★★ Excellent!!!

再読、再再読を終えてからレビューを書きたいと思った作品は、カクヨム上では初めてでした。

小説の内容についてはあらすじがすべてだと思います。
というより、まずはそれだけに目を通してから読んでいただきたい。
そして作品の感想についても、自分の感じたことを長々とここに書こうとはなかなか思えません。
作品の魅力を伝えるためのレビューで何を言っておるのかとも思えますが、とにかく、まず読んでいただきたい。前情報なしに読んで、それから自分の中でいろいろと考えてみて欲しいです。
「普通」とは何か、現実におけるこうした問題(問題、というのもしっくりはこないのですが)での「当事者」とは誰なのか。
読む前と読み終わった後では、思うものが違うのではないでしょうか。

思い切った題材を、ずしりと重いだけじゃなく、どこかふわりとしたコミカルさを交えて綴られるのは、作者様の真骨頂だと個人的に思っています。
今回の作品もそれに違わず、目と心で真剣に文字を追いつつも、箇所箇所で笑ったり、じんわりと感じたりするものがありました。

★★★ Excellent!!!

文章からは淡々とした感じを受けるものの、そこからの読後感はすごく切ない。
作品の中で扱っているのは、時として深刻な、そして時としてどろどろしたものだが、登場人物達のおかげか、文章のおかげか、読者はどん底まで突き落とされることはない。
とても完成度の高い作品。
QUEENの曲を知っていればもう少し深い理解ができたかもしれないと思った。いや、今からでも聞いてみるべきか。

★★★ Excellent!!!

私の人生に影響を与えた小説は、いままで2冊だった。それが、今日、3冊になった。
1冊目は、J・K・ローリングの「ハリーポッター・シリーズ」だ。これがなければ、今の私は多分小説を読んでいないし、ここにこれを書き込むことも、2冊目の本と出会うこともなかった。このシリーズは全世界で3億冊を超えるベストセラーだ。
2冊目は、ヨースタイン・ゴルデルの「ソフィーの世界」だ。これがなければ、今の私は別の私だったと思う。この小説は、読者を分解し、再構築する力を持っている。こちらも全世界で2500万部を超えるベストセラーだ。
そして、3作目となったこの小説は、書籍にすらなっていない。世に出てもベストセラーになるかは分からない。それでも、私に与えた影響は世界的にどれだけ評価されている小説よりも、大きい物だと思う。
この小説が取り扱っているのは、性的マイノリティと腐女子だ。しかし、この物語は私たち一人一人になる。作者がこの題材を選んだ理由は知らないが、結果的にこの題材のチョイスは、極端な例を読み進めて行くうちに、共感し、身近に考えさせる効果を生み出している。だから、この物語の主人公の属性をゲイではなく、例えばアニオタと呼ばれる人だったり、もっと細かく言えば学校教師、小説家、企業戦士などに変えることもできる。プロットは変わるだろうが、それでもゆくつく先は同じだろう。無論、この物語の主人公を私に置き換えることだって出来てしまう。
それは、綺麗事の代名詞とも考えられている「みんな違って、みんな良い」をこれ以上なく丁寧に表現した作品になっているからだ。そして、その結果、綺麗事は煤汚れてしまったけれど、確かに読者の心を掴むことが出来たのだと思う。道徳の教科書に載っている、綺麗事だけとは違う、だけど綺麗事に染まっていて、読者を綺麗事に染めることができるこの物語は、小説の持つ本来の力を、再確認させてくれた。… 続きを読む

★★ Very Good!!

無料で公開されている文章に、こんなに心を動かされることになるとは思っていなかった。隔たっているのは誰と誰で、それを隔てているのは何なんだろう。

思い返せば中学生だった頃、あんなにも同性同士でくっつき合っていた時代はなかった。男子はこの話にあるように、猫とか子犬みたいにごろごろ転げまわって、女子は女子で、指先を絡め合ったり腕を組んでトイレに立ち会ったり、髪をすきあったり、あんなに他人と距離の近かった時代が他にあっただろうか。
そういう中にも、同性との距離のとり方に悩んでいた誰かはいたのかもしれない。純くんみたいな、あるいはケイトさんみたいな誰かはいたのかもしれない。そういうことに思い至りもしなかった自分の子供時代が嫌になる。
あの頃自分になにができたのか、これから何ができるのか、考えてみたけど、よくわからない。だけど考えるきっかけをこの作品は与えてくれたように思います。