タイトルに肩透かしを食う。もっと真剣で、内省を促す良作。

BL物を初めて読みました。
結婚の観点ではドン詰まり感があって、それが山場となり、自分の日常生活に本の少しの想像力を加えると、何となく物語を創作できちゃうんじゃなかろうか。
最初は舐めて読んでました。
でも、私にゃ無理。繊細で奥深い。登場人物の数は僅かなのに、世界、いや社会を語っているんです。
でも、読み難くはないです。等身大に近い登場人物の織りなす心の機微が眩しい。惹き込まれます。

若い頃、「ホモは良いけど、レズは止めて欲しい」と思ってました。理由は浅はかで、恋愛の競争率に少しでも下がって欲しいからです。そんなの本人の魅力次第であって、何の意味も無いんですが、そう思ってました。

今は、勃たない事の深刻さも分かりますし、最後の味方が家族だとの自覚もあって、主人公には共感する部分が大です。
でも、新宿2丁目は未経験です。ゲイの方は優しいとの先入観が私にあって、隣の歌舞伎町よりも遥かに安全だと思い込んでますが、盛場の浮かれが苦手なのと、金銭的余裕が無い事が理由で、キャバクラにも行った事がありません。
居酒屋止まりの小市民ですが、そんな読者でも十分に満足できる作品です。

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