8月24日

朝起きるとこの時間には滅多に揃わない両親が朝食をとっていた。俺は『2人とも仕事今日休み?』と紙に書いて見せる。

「いや、休みではなかったんだがな」

「行かなくていいでしょ」

ああそうか、もうすぐ世界が終わるのに仕事なんて行ってる場合じゃないか。俺も今日バイトあるけど…サボるか。でも大丈夫だろうか、同じように皆が仕事にいかなければ社会は回らないんじゃないか。残り少ない期間ではあるが電気が止まったりしたら困る。それにスーパーがやっていなかったらご飯も食べれないかもしれない。そんな事を考えているうちに俺はあることに気がついた。テレビはやっているんだな。それは毎日やっている朝のニュース番組、若干人数が少ない気はするがよく顔を見る人気アナウンサーはしっかりいた。もうすぐ世界が終わるっていうのによく仕事するなぁ。

宇宙人予言者は29日に世界が滅ぶと言っているが何時にどうやって滅ぶかは教えてくれてない。 例えばものすごく大きい隕石が落ちてくるとか、宇宙人の大群が地球に攻めてくるとかだろうか、贅沢は言わないが痛いのや苦しいのはやめてほしいな。それとも宇宙人予言者の超人的な能力なら28日の23時59分59秒まではなんともなくて29日になった瞬間に世界が無になるっていうのもあるんじゃないか。あ、でもそれなら世界が滅ぶのは0時じゃないだろうな。世界を股にかけて活躍している宇宙人予言者が日本時間を基準にしているわけがない。本初子午線を基準にするなら世界が滅ぶのは時差的に日本時間29日の朝9時か。

どうであれあと5日しかないんだよな。昨日まではこの夏休み中に何をしようかとワクワクしていたのに今はまったくやる気が出ない。俺にとって何かをしたいっていうのは未来あっての事なんだな。

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