7月24日
馬鹿みたいに暑い日になぜ俺たちが炎天下にブルーシートを敷いているのかというと、もちろんスイカ割りをするためである。ついさっきトモキか゚スイカ割りをやろうと連絡してきたので、早速俺たち3人はトモキの家に集まり準備を始めている。
「1つ疑問なんだが、スイカ割りなんてやっていいのか?家族で食べようとして買ってきたものなんじゃないか?」
「いやいや、うちの母親がお前たち呼んで一緒に食べればって買ってきてくれたスイカだから」
子どもの友達のためにスイカを買ってきてくれたのか、なんて気が利く親なんだ。
「僕スイカ割りやったことないから結構楽しみ」
ユウキはやったことないのか。そういう俺もやったことがあるのは一度だけで見事にスカして終わった記憶がある。
「なんでこうやって割って遊ぶのはスイカ限定なんだろうな。かぼちゃとかでもできそうじゃないか?」
トモキか゚また意味のわからないことを聞いてきた。
「かぼちゃなんて硬くて割れないだろ。それに比べてスイカはきれいに割れるしぐちゃぐちゃになっても食べれるから」
そう思うとスイカは割るものとしてちょうどいいんだな。トモキのせいで変なことに感心してしまった。
「それでどういうルールでやる?すぐ割れちゃったらもったいなくないか?」
「それなら指示役なしでやろうぜ。その場で10回まわってあとは気配で振り下ろす。それを誰かが成功するまで交代で続ける」
「いいね」
トモキの案はすぐに終わらずに楽しめそうなルールだ。俺たちはそれに同意した。
「ちょうどいい棒か゚これしかなかったけどまあ大丈夫でしょ」
そう言ってトモキが見せたのは金属バットだ。気をつけないとな、ちょっと力を入れ過ぎたらスイカが粉々になってしまいそうだ。
「それじゃあスイカ持ってくるからちょっと待っとけ」
トモキはスイカを取りに空いている窓から家の奥の方へ走っていった。
「1発目で成功しちゃったらごめんね」
ユウキはそう言うがスイカ割りというのは指示役がいても案外難しいものだ。向きが合っていても振り下ろした棒がちゃんとスイカに当たらないと割れない。だからまあ指示役なしでやる今回は何周かはするだろう。
「トモキまだかな」
そういえば少し遅い気がする。冷蔵庫からスイカを取ってくるだけなのに5分くらい経っている。やっと戻ってきたと思ったトモキの顔は少し暗い。
「どうした?」
聞いたところでちょうどトモキの持っているものに目がいき、その理由がわかった。
「親が買ってきてくれたスイカ、一玉じゃなくて8分の1にカットされたやつだった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます