8月17日
朝7時に起きるとすでにおじいちゃんは起きていて、机には朝食が並べられていた。せっかく来たからご飯くらいは作ろうと思ってたんだけど…さすがに朝は無理だな。そういえばおじいちゃんは米農家だから朝5時には起きてるんだっけ。おじいちゃんの作るご飯を食べるのは初めてかもしれない。俺が小学生の頃はまだおばあちゃんが生きていたからな。うん、美味しい。和食は子供の頃はあまり好きじゃなかったけど、うちではめったに食べないから今となっては美味しく食べられる。
「ねぇ、昼と夜は俺がご飯作るからね。」
「アキ料理できるのか?」
「味は保証しない」
昼食と夕食のための買い物をしにスーパーに向かっている。昼はそうめんでいいか。楽だし。
スーパーに行くまでの道はなにもかも懐かしい。遠くに広がる田んぼ、河川敷。子供の頃はここをよく走り回った。川に葉っぱを流して競争させたりしてたな。あれが楽しかったんだよ。そういう子供の遊びを理解できなくなってしまったのがちょっと悲しい。
「もしかして、アキくん?私のこと覚えてる?」
すれ違った女の子に後ろからそう話しかけられた。
たしかにアキくんと言われたから俺のことなんだろうけど…誰だっけ。当時は同じくらいの歳の子とよく遊んでいたからその中の誰かなんだろうけど、こんな人いたかな。
「あれ、もしかして覚えてない?」
おっと、今この人明らかに怒った顔したよな。覚えていないのそんなにやばいか?もしかして結構仲良かった?
「そーか、忘れちゃったんだね。たしか東京に住んでるんだったよね。いつ来たの?」
「昨日ですよ」
「いつまでいるの?」
「決めてないですけど、20日には帰ります」
やっぱりこの女の子ずっとツンツンしている気がする。
「せっかくだしまた前みたいに遊ぼうよ。そうだ、明日近くで流しそうめんするみたいだから来なよ。そこで話しよ」
なんだか怖いが、俺は撮影に協力してくれる人を探すっていう任務があるからな。できるだけ多くの人と会っておきたい。
彼女と連絡先を交換してその場は別れた。覚えてなかったくらいでそんなに怒るだろうか。女の子は結構見た目が変わるからな。小学生の頃の写真を見せられたら流石に思い出すと思うのだが。
流しそうめんか…今日の昼食何にしよう。
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