8月23日

「夏といえばやっぱりホラーでしょ!」

と、昨日トモキが言い出し、早速今日俺の部屋に集まっている。時刻は午後7時。内容は各々がネットで怖い話を探し、いいものが見つかったらそれっぽい雰囲気を出して話すというもの。2人がどんどん怖い話を見つけて話していく中、俺は喋れないのでチャットで話す必要があり、話を選ぶのに苦労していた。

短いけどちゃんと怖い話ないかなー。お、この話なんかいいじゃないか。夏ではないけどまあいいだろう。

俺は見つけた文章を上手い感じに短くしつつチャットに書き込んでいく。

『ある冬の夜のことです』

『その日は仕事で遅く帰ってきてベッドに入ったのは深夜2時頃でした』

『それから5分後くらい、まだ寝付けていなかったので意識がありました。その時、スタッ…スタッ…という足音が廊下から聞こえたのです』

『パニックになりましたよ。響き方的に家の中からですし、一人暮らしなので足音がするわけありません』

『その音はだんだんと近づいてきて私が眠っている部屋まで来ました』

『怖かったですが勇気を振り絞り、飛び起きるのと同時に出てって!と叫びました』

『うわああ!』

『足音の主は私の声にびっくりしたようでした。視界に入ってきたのは全身真っ赤な服を着てヒゲを生やしているおじさん』

『ああそうか、今日は12月25日か。その時私の頭の中でピースが重なり、悪いことをしたなと思いました』

『その後はすぐに寝ましたよ。私が起きていてはサンタさんが仕事をしにくいでしょうから』

俺が話を終えると2人はすぐに感想を伝えてきた。

「何だよそれ!サンタクロースオチってどこが怖い話なんだ」

2人は満足してくれなかったみたいだ。面白いと思ったのにな。

『でもこの話の怖いところは大人のところにサンタクロースが来ているってところ。つまり本当はサンタクロースではなくて赤い格好をした空き巣なんだよ。主人公は恐怖しすぎてサンタクロースで納得しちゃったんだ』

そんなこんなで2時間くらい飽きずに怖い話を続けた。こういうのやってみたかったから楽しかったな。喋れないのは惜しいけどその分2人が頑張ってくれた。こういう事をもっとやっていこう。宇宙人予言者のことがなくても高2の夏は今しかないんだから。

その日の夜、新しい予言がされた。地球の最後、8月29日に世界が滅ぶと。

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