7月31日
7月最後、夏休みのちょうど4分の1か゚過ぎようとしている。今日俺は何をしているかというとユウキと通話を繋げてオンラインゲームをしている。トモキも誘ったのだが忙しいらしいので2人でプレイすることになった。
「このゲームの3人1チームだよね。あともう一人は野良?」
「そうだな。上手い人とチームになれるといいけど」
このゲームはそこまで連携が必要ではないのでひとりの強い人が相手3人に匹敵したりする。味方が強いに越したことはないってことだ。
マッチングを開始してしばらく経つとバイブレーションと一緒にポップな音楽が流れ始めた。準備が完了して、メンバーが選ばれた合図だ。
ゲームスタート!集中はしたほうがいいか゚あまり頭を使うゲームでもないので雑談をする余裕がある。友達とやるにはちょうどいいゲームってわけだ。
「なぁアキ、味方のエビエビさんって人、男だと思う?女の人だと思う?」
味方の性別など一見どうでもいいことのように思えるかもしれないが全然そんなことはなく、女の人だったほうが断然やる気が出て勝率が上がる。俺たち男子高校生にとってはとても重要なことなのだ。
「エビエビさんか…名前は女の人っぽいけどなぁ」
「わかる。2文字を2回繰り返してつけた名前って女の人がよく使ってるイメージあるよね」
しかし、今回の場合はそうとも言い切れない。例えばプレイヤーネームが【あゆあゆ】や【めいめい】など下の名前や単語になっていない文字を繰り返している可愛らしい名前の場合は女の人である可能性が高いが今回はエビという単語を2回繰り返した名前だ。ただエビが好きな男の可能性もある。
「何か周りに比べられる名前ないかと思ったけどアキはプレイヤーネームも【アキ】何もひねってないつまらない名前だしな」
「うるせぇ、そういうユウキは【僕に任せてください】これじゃあ名前とは言えないよ」
そんなこんなでゲームは終盤、だいぶ有利に進んでここからひっくり返ることはないだろう。男だろうが女の人だろうがもう関係ないな。
それでも一応エビエビさんは男だろうという結論を出した。理由はそもそもこのゲームの男女比率は傾いていてほとんどが男、女プレイヤーは滅多にいないからだ。
「でも滅多にいないからこそたまに女の人がいたときにテンション上がるんだよなー」
ゲームはそのまま危なげ無く勝利した。たまにゲームの終わりに挨拶をしてくれるプレイヤーがいるのだがエビエビさんはわざわざボイスチャットをつけて挨拶してくれた。
「ありがとうございます」
声はきれいな女の人の声だった。
「「うおーーー!」」
ただ女の人の声を聞いただけで大喜びしている男子高校生の姿がそこにはあった。
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