8月1日

「第1回映画製作作戦会議ー!」

トモキのその言葉に俺とユウキか゚拍手をして始まった。

8月に入り俺たちは約束通り映画製作に取り掛かろうとしていた。場所はトモキの家。6畳の狭い部屋の中で何故かあるホワイトボードの前に司会のトモキか゚立ち、それを俺たちが正座で聞くという構図だ。

トモキは咳払いをして司会を始める。

「アキの名案により俺たちで映画を作ることになった。今日は映画で一番重要なストーリーについて話していこうと思う。皆には今日までに1つ物語を考えてこいと伝えていたはずだ」

皆って2人しかいないだろ。

「順番に考えてきたストーリーを話していこう。まずは司会の俺から」

そう言ってトモキは自信満々に話し始めた。

「主人公は俺が演じる高校生、学業優秀スポーツ万能の普通の高校生だったがある日突然主人公は普通ではなくなる。なんと学年一の美少女めぐみちゃんに告白されたのだ。その時は自分なんかではつり合わないと断ったのだが、それから色々あって最後にはキスで…」

「おい!ちょっと待て、なんだよその話は」

本気で言っているのかツッコミ待ちだったのかわからないが友達として後者だと信じたい。

「なんでトモキの妄想を詰め込んだような話を作らないといけないんだ」

「それにめぐみってトモキと同じクラスの可愛くて人気の子だよね」

おいまじかよ。俺は知らないけどよく同じクラスの人との妄想恋愛を友達に語れるな。

「ああそうだぜ、だからお前たちはめぐみちゃんを説得して映画に出てもらうようにお願いしてくるんだ」

「却下」

「なんだよ、じゃあ次はアキな」

いいだろう。トモキのおかげてハードルはぐっと下がったんだ。それに一応言い出しっぺだから真面目に考えてきた。

「初心者の俺たちじゃ演技もストーリーもなにもかも限界があるだろ。だからストーリーよりも設定で面白くしなきゃいけない。色々考えたよ、ミステリー系とか明日隕石が降ってきて地球が破壊されると知った人たちの話とか」

まあこれは宇宙人予言者から思いついたんだけどな。

「結局1番良いと思うのは、ある日突然目の前に死神が現れて石を渡される。これを物々交換で5回以内に1万円以上の価値があるものに交換しないと殺されるっていう話。面白そうでしょ?」

「うん、いいね。僕も設定で面白くするっていうのに賛成だよ。僕が考えてきたのは主人公が瞬間移動か透明化みたいな特殊能力を手に入れて色々する話、透明化して女子更衣室に入ろうとするけどことごとく失敗するみたいな」

「それもいいな。2人が真面目に考えてきてくれて助かった。いい感じに2つを合わせてストーリーを作ろう」

おい今さらっと自分が真面目に考えてきてないこと自供したよな。

まだ決めるべきことはたくさんあるがとりあえず1歩前に進んだ気がした。

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