7月26日

起きると俺はすぐにトモキとユウキにチャットした。『映画作ろう』と。こんな端的な文でも言いたいことが伝わったようで少しすると返事が返ってきた。

『俺が監督な』

『それなら僕はカメラマンにしようかな』

それだと登場人物が俺はひとりになってしまうだろ。ノリの良い友達に恵まれて幸せだとは思うが俺の熱意が伝わっているかが心配だ。せっかくやるなら目指すはアカデミー賞。映画界の期待の新人たちとして名を馳せてやろうじゃないか。そんなことを考えながらニヤニヤしているとトモキから少し真面目なチャットが返ってきた。

『で、どういうこと?』

俺は夏休みに何かしらの活動をしたいことと、昨日考えたこと、そしてもし時間があるのなら手伝ってほしいということを伝えた。ユウキからはどのくらい本気で取り組みたいのか聞かれたので改めて考えてみたのだが、アカデミー賞は冗談としてもそのくらい真面目に短い映画でいいから作ってみたい。10年後くらいにいい思い出だと笑うことができるならやる価値は十分にあるのではないだろうか。それを伝えるとユウキたちも納得してくれたみたいで面白そうだからとりあえず作ってみようということになった。

『それで、ストーリーはアキか゚考えるの?』

もちろん提案した俺が考えるべきなのだろうが、冷静になったら俺にセンスのある物語を考えられるわけがない。ということでストーリーは各々考えてきて一番面白かったのを採用するということで決まった。

『じゃあ8月に入ったら制作に取り掛かるからそれまでに各々考えてくるように』

これで夏休みの大きな楽しみができた。2人が協力してくれたおかげで可能性が広がって、これからどうなっていくか本当に楽しみで仕方ない。

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