8月6日

負けられない戦いが今始まる。

覚悟を決めた俺たち3人の前には真っ赤に染まるラーメン。誰が言い出したのか激辛ラーメンを食べても平気そうにできるかチャレンジをすることになった俺たち。最下位には罰ゲームで今日食べる激辛カップラーメン『旨さを捨てた激辛ラーメンBAKA』3つ分の800円を払うことになる。800円は痛手だがそれよりもこれで負けたら辛さに負けた男という汚名が一生残ってしまう。負けるわけにはいかない。ここで1つ問題がある。俺は辛いものが苦手だ。対して2人はどうだろうか。トモキは運動するわけじゃないのに手首をくるくる回しているし、ユウキに関しては早く食べたそうにラーメンを見つめている。これで辛いのが苦手ということはないだろう。つまりその面では俺は不利。我慢強さで勝つしかない。

「よし3分経ったね、それじゃあ始めようか。お互い顔が見えやすいように向き合って食べよう。トモキはそこで、アキはそっち」

ウキウキだな。この様子だとユウキが負けることはないだろうな。てことはトモキとの勝負か。

「スタート!」

蓋を開けた瞬間熱気とともに唐辛子の匂いが上がってきた。鼻がおかしくなりそうだ。顔を上げると2人は勢いよく麺をすすっており、俺に早く食べないのかと言わんばかりの目を向けてきた。ためらってちゃだめだ、いくぞ。俺はふたりにバレないように深呼吸をすると一気に麺をすすった。

アアッ!口の中が痛い!勢いよく胃まで運んだ麺は針でも飲んでいるんじゃないかというくらいの痛さで通り道の口や喉をズキズキさせる。なにが『旨さを捨てた激辛ラーメンBAKA』だよ。お前がバカだふざけんな。もう1度2人を見てみると、ユウキ相変わらず平気そうにしているがトモキはどうだ、少し涙目じゃないか?せめてトモキより先に食べ終わって余裕さを見せよう。最下位だけは回避しなくてはならない。

あーやっと食べ終わった。長い5分だったな。

「さあ、最下位決めようぜ。俺とトモキの勝負だろうからユウキに決めてもらおう」

俺の発言にユウキは苦笑いをして言った。

「全然勝負になってないよ。アキ、だいぶきつそうだったよ」

「一緒にされたくないな」

うん、どうやら俺は自分で思っているよりつらさが顔に出ていたらしい。

「まさかこれを提案した本人が負けるとはな」

トモキの発言に俺の脳が一瞬固まったが、そうだ思い出した。この戦いを思い付いて提案したの俺だった。

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