8月20日

昨日はあれからミトさんと仲良くなった。ツンツンしてないと結構可愛かったな。勢いで撮影に協力してくれないか聞いてみたが断られてしまった。これでわざわざ石川まで来た意味もなくなってしまった。

「東京でも怠けないで頑張るんだぞ」

おじいちゃんの優しい声が届く。

来た意味がなかったって、なわけ無いだろ。俺はおじいちゃんに会いに来たんだ。

「アキにご飯作ってもらって怠けちゃったから明日からまた頑張らないと」

おじいちゃんは昔と変わらず優しい。中3の時におばあちゃんが死んだのを聞いたときは結構悲しんだ記憶がある。ただ死んだのが悲しかったわけじゃなく、しばらく会えていなかったせいで知らないうちにいなくなってしまったのが悲しかったんだ。だからやっぱりこの夏にここへ来て良かった。行けたのに行かなかっただと後悔してたかもしれない。


駅までミトさんと歩くことになった。

「私もいつかは東京で暮らしたいな」

「なんで?石川じゃだめ?」

「だってここなにもないし」

こういう話を聞くとつくづく東京に生まれてよかったと思う。

「ミトさんが東京に来たときはまた会おうよ。連絡してね」

「うん。この3日間楽しかったな。友達がいるってこんな感じなんだって」

ミトさんという不思議な友達もできたしやっぱりここに来て良かった。

「割と奇跡だよな。子供の頃色々あった人と河川敷で再会って。アニメなら恋愛が始まるところだよ」

「恋愛が始まるには時間が少なすぎたけどね」

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