第31話 テストが終わり…
翌日、佐藤和也が陽斗と亮太の元へやってきた。彼の顔には少し不満げな表情が浮かんでいる。
「冴木、中村。クラスの奴から聞いたんだけど、昨日ファミレスであの三人組と一緒に飯食ってたってホントか?」
陽斗と亮太は顔を見合わせ、少し困ったように笑った。
「その話か。まあ、いろいろあったんだよ。」亮太が肩をすくめて答える。
「いろいろってなんだよ。」和也は少し怒った表情で聞いた。
「最初は、俺たち二人でファミレスで勉強してたんだ。中間テスト前に毎日通っててさ。」陽斗が説明を始める。
「そうそう。勉強してたら、大森さんたち三人も毎日来てて、ドリンクバーで会うたびに少し話すようになったんだ。」亮太も続けた。
「はぁ、何それ、めっちゃうらやましいじゃん!」和也は少しテンションが上がっている。
「それで、ある日、大森さんが英語の問題を教えてくれてさ。そこから少しずつ話すようになったんだ。」陽斗が続けた。
「俺たちが困ってる時に、大森さんや藤田さんが色々教えてくれたんだよ。藤田さんは数学が得意だから、難しい問題も分かりやすく説明してくれたし。」亮太が補足する。
和也は納得したように頷いたが、少し寂しそうな表情を浮かべた。「まじかよ。そんなの俺も行きたかったし!誘ってくれよ。」
「ごめんよ、和也。部活のメンツで勉強してるって聞いてたからさ、なかなか声をかけられなかったんだ。」陽斗が申し訳なさそうに言った。
「まあ、確かに部活の仲間と一緒に勉強してたけどさ。でも、それだったら断ってでも…。」和也は少し残念そうに答えた。
「それは悪かったな。次はちゃんと声をかけるからさ。」亮太がフォローする。
「次のテストの時は一緒に勉強しよう。ファミレスでやると集中できるよ。」陽斗が提案すると、和也は少し明るい表情で頷いた。
「そうだな。次は誘ってくれよ。あの三人と話するきっかけ欲しいんだよ。」和也は少し真面目な顔で答える。
「佐藤、そんな彼女欲しいの?」亮太が言うと
「そりゃ欲しいに決まってんじゃん。あの三人組の誰かと付き合えたら学園生活勝ち組確定だぜ。」
「まぁそりゃそうだけど。クラス違うしあんまり知らないんでしょ?」陽斗が聞くと、
「だからこそきっかけが欲しいわけよ。ルックスは間違いないしな。」
「まぁ次一緒に勉強するなら誘うようにするよ。」陽斗は何とも言えない表情で答えた。
「まじで、絶対頼むわ!」と言い残し和也は去っていく。
その後、和也と別れた陽斗と亮太は、二人で話を始めた。
「和也、本気であの三人と関わりたいみたいだな。」亮太が少し真剣な表情で言った。
「うん、そうだね。部活仲間断ってまでってよっぽどだよね。」陽斗も同意する。
「次のテストの時は、どうやって佐藤も誘えるようにするか考えないと。」
亮太が言うと、陽斗は心の中で少し複雑な気持ちが芽生えていた。美優紀を紹介することで、和也が彼女に近づくのではないかという不安があったのだ。
「でも、大森さんを紹介するのか…。なんか嫌だな。」陽斗は自分の気持ちに気付き、少し戸惑った。
亮太は陽斗の様子に気付いて、「陽斗、お前もしかして美優紀さんに気があるのか?」と冗談交じりに尋ねた。
「いや、そんなことないよ。ただ、なんかさ…。あの三人と話すのが楽しかったから。」陽斗は照れながら答えた。
「そっか。でも、お前がそう思うなら無理に誘わなくてもいいんじゃないか?適当に理由付けて断る?」亮太が言うと、陽斗は少し考えた後に答えた。
「いや、佐藤と約束もしたし、まぁ次も一緒に勉強できるとは限らないけどね。」
「確かにな。またファミレスで勉強してて一緒に勉強する機会があれば誘ってやろうぜ。」
「そうだね。」陽斗は頷きながらも複雑な気持ちだった。
その日の夜、陽斗は星野ソラの配信があることを楽しみに待っていた。和也の件で少し気持ちが落ち込んでいたが、配信が始まる頃には星野ソラの配信に気持ちが持っていかれていた。
星野ソラは学生であることを明かしており、テスト期間中は学校を特定されないように長めに配信を休むことにしていた。そのため、2週間ぶりの配信となる。
「みんな、こんソラ~!星野ソラです。2週間ぶりの配信、みんな待っててくれてありがとう!」
星野ソラが配信を始めると、コメント欄は一気に盛り上がりを見せた。「待ってたよ!」「おかえり!」「テストお疲れさま!」といったコメントが次々に流れた。
「私もみんなに会いたかったよ~!今日は久しぶりの配信だから、ゆっくりお話ししようね。」
ソラは画面に向かって微笑みながら、ファンたちと会話を楽しんだ。彼女の明るい声と笑顔に、陽斗も自然と顔がほころんだ。
「学生のみんな、テスト終わった?私は今回、なかなかいい結果だったよ!」
「おめでとう!」「さすがソラちゃん!」「僕もテスト終わったよ!」と、コメント欄は再び賑わった。
「ありがとう!今回は結構頑張ったから、いい結果が出て本当に嬉しいんだ。みんなも頑張ったよね。まだのみんなは頑張るよね。」
陽斗はコメント欄に「テストお疲れさま!俺も頑張ったよ!」と書き込み、ソラの配信を楽しみ続けた。彼はファミレスでの勉強の成果を思い出しながら、ソラの励ましの言葉に感謝の気持ちを抱いた。
「この2週間、みんなに会えなくて寂しかったけど、ちゃんと勉強してたんだ。学生のみんなはこれからもお互いに頑張ろうね!そして社会人のみんなはお仕事お疲れさま。」
「ソラちゃん、応援してるよ!」「次の配信も楽しみにしてる!」といったファンたちの応援の声が続いた。
陽斗はソラの配信を見ながら、改めて彼女のことを応援し続けたいと思った。彼女の明るさと努力する姿勢は、彼にとって大きな励みとなっていた。
「みんなのおかげで、また頑張れるよ。これからもよろしくね!」
ソラの言葉に、陽斗は心からの応援の気持ちを込めて「こちらこそ、これからも応援するよ!」とコメントを送った。
その夜、星野ソラの配信はファンたちとの温かい交流で満たされた。陽斗はソラの配信を見ながら、彼女とのつながりを感じ、テストの疲れを癒した。
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