第42話 陽斗の早起き

陽斗は三重県から帰宅し、自分の部屋に落ち着いた。旅行の疲れも少し感じていたが、彼は翌日の朝活配信を楽しみにしていた。星野ソラの朝活配信を見るために、陽斗は普段なら絶対に起きないような早朝に目覚ましをセットした。


「こんな機会でもないと、こんなに早起きすることなんてないよな…。」陽斗はベッドから起き上がり、少しテンションが上がっている自分に気付いた。


朝の5時。まだ外は薄暗く、静寂に包まれている。陽斗はパソコンを起動し、星野ソラの配信を待つ。いつもと違う時間帯の配信は、特別な感覚を与えてくれた。


「おはようございます!星野ソラです!今日はどんな素敵な朝を迎えましたか?」


ソラの元気な声がスマホのスピーカーから流れ、陽斗はニヤリと微笑んだ。コメント欄には「おはよう!」「ソラちゃん、おはよう!」といった挨拶が次々と流れている。


「おはよう、ソラちゃん!」陽斗もコメントを送り、ソラの声に耳を傾けた。


「今日はみんなと一緒に、朝のリラックスタイムを楽しみたいと思います。まずは深呼吸から始めましょう。」


ソラの指示に従い、陽斗はゆっくりと深呼吸をした。リラックスした気持ちが広がり、朝の清々しい空気が体に染み渡る。


「さて、みんなの夏休みの計画はどうですか?」


星野ソラの明るい声が続く。陽斗はコメント欄を見ながら、リスナーたちの反応を楽しんでいた。


「おー、みんなそれぞれ楽しい計画があるんですね。海に行くのは最高ですよね!日焼け止めを忘れずに。キャンプも楽しそう!自然の中で過ごすのってリフレッシュできそうですね。」


陽斗はコメントを打ち込む。「キャンプいいなー。俺も友達とキャンプ行きたい!」


星野ソラは、リスナーのコメントに一つ一つ丁寧に答えながら、自分の夏休みについても少し話した。


「私はね、実は最近家族で旅行に行ってきたんです。自然がいっぱいの場所でリフレッシュしてきました。おかげで夏休みの始まりがとっても良い感じです!」


ソラは楽しそうに旅行の思い出を語る。


「場所は内緒だけど、自然がいっぱいで空気も美味しくて、本当に癒されました。みんなも夏休みには、ぜひリフレッシュできる場所に行ってみてくださいね。」


陽斗もコメントを送る。「旅行行ってきたよ。田舎でリフレッシュしてきた!」


配信は順調に進み、星野ソラはリスナーとの対話を楽しんでいた。彼女の明るい声と笑顔が、朝の早い時間にもかかわらず、リスナーたちの心を温めていた。


「さて、みんなの夏休みの計画を聞いていると、本当にワクワクしてきますね。次に、ちょっと質問してもいいですか?みんなが一番楽しみにしている夏休みのイベントは何ですか?」


リスナーからのコメントが再び流れ始める。


「花火大会!いいですねー。夜空に咲く大きな花火、私も大好きです。夏祭りも楽しそう!屋台でお祭りの食べ物を食べたり、浴衣を着たりするのって特別な感じがしますよね。」


陽斗も花火大会のコメントに共感し、「花火大会楽しみ!今年も行けたらいいな。」とコメントした。


星野ソラは、リスナーたちのコメントに対してリアクションを取りながら、自分の夏祭りの思い出を話した。


「実は、私も夏祭りに行ったことがあります。浴衣を着て、屋台でたこ焼きを食べたり、金魚すくいをしたり、とっても楽しかったです。」


普段起きない時間に起きて眠たいはずだが、時間を忘れてソラの配信を見ていた。


「さて、そろそろお別れの時間が近づいてきました。今日は本当にありがとう。朝早くから付き合ってくれて嬉しいです。みんな、これからも素敵な夏休みを過ごしてね!」


星野ソラは、リスナーたちに感謝の気持ちを伝えながら、最後の挨拶をした。


「それじゃあ、行ってらっしゃい!素敵な一日を過ごしてね!」


「ソラちゃんの朝活、最高だったな。やっぱり早起きしてよかった。」


配信が終わると、陽斗は大満足の気持ちでPCの電源を切ろうとして手を止める。




陽斗は、次に取り掛かる作業を思い出した。凛奈と約束した湊のカナデの切り抜き動画を作ることだ。彼はPCを再び立ち上げ、編集ソフトを起動させた。


「よし、湊ちゃんのために頑張るぞ!」


カナデの配信動画を開き、面白いシーンや印象的な瞬間をピックアップしていく。湊の元気な声がスピーカーから流れ、彼女の明るい笑顔が画面に映し出される。


「ここがいいかな。このシーンは絶対に外せないな。」


陽斗は編集ソフトを使い、動画を切り抜いていった。湊の魅力を最大限に引き出すために、彼は細心の注意を払って作業を進めた。


「湊ちゃんもこれを見て喜んでくれるといいな。」


そう思いながら、陽斗はカナデの切り抜き動画を完成させるべく、一生懸命に作業を続けた。湊の応援をすることで、彼自身も新たな楽しみと充実感を感じていた。

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