第45話 玲愛の奮闘

玲愛は不安を抑えきれず、陽斗のチャンネルを確認していた。ソラとカナデの切り抜きが複数本アップロードされているのを見て、彼女の心配は確信に変わった。


「やっぱり…偶然じゃない。」


玲愛は深いため息をつき、妹の夕陽の部屋のドアをノックした。


「夕陽、ちょっといい?」


「うん、どうしたの?」夕陽は少し不思議そうな顔で姉を見た。


玲愛は部屋に入り、緊張した面持ちで話し始めた。「ねえ、覚えてる?私が昔描いてあげたVtuberのキャラクター。」


「うん、覚えてるよ。私の友達にあげたやつでしょ?」


「そう。このキャラクター、覚えてる?」玲愛はスマホの画面を見せる。


夕陽は少し考え込んでから答えた。「ああ、たぶん湊がやってたんじゃなかったっけ?もしかしたら茜かも」


「湊?茜?今も連絡取ってるの?」玲愛は尋ねた。


「ううん、全然。転校してすぐは連絡取り合ってたけどもう連絡取ってないよ。」


玲愛は更に詳しく聞いた。「湊って子、今どうしてるか知ってる?」


「何も聞いてないから三重にまだ住んでるんじゃないかな。」


玲愛はこの情報に少し安堵しながらも、まだ不安は消えなかった。「そっか…。他に何か知ってる?」


夕陽は不思議そうな顔で姉を見つめた。「姉ちゃん、どうしたの?急にそんなこと聞いて。」


玲愛は言葉を選びながら答えた。「ちょっと気になることがあって…。このキャラクターを最近見かけてね、まだVtuberやってる友達いるのかなって」


「さあ…。最初は結構熱心にやってたよ。みんなお姉ちゃんの描いたキャラクターを使って配信してたし。」


玲愛は何か手がかりはないかと必死だったが、陽斗につながるような情報は全く得られなかった。彼女は諦めかけながらも、最後にもう一度尋ねた。


「東京に来た友達いない?」


夕陽は首を振った。「知らないなあ。みんな地元に残ってるんじゃないかな。」


玲愛は深いため息をついた。「そっか…ありがとう。」


夕陽は姉の様子を心配そうに見つめた。「姉ちゃん、本当にどうしたの?なんでそんなにそのキャラクターを気にしてるの?」


玲愛は一瞬言葉に詰まった。美優紀のことを守りたい気持ちと、妹に嘘をつきたくない気持ちの間で葛藤した。


「実は…」玲愛は言葉を選びながら続けた。「私の友達が、このキャラクターの配信を見つけたみたいで。私が描いたキャラクターだって気づいて。」


「へえ、そうなんだ。でも、それがどうかしたの?」


玲愛は苦笑いを浮かべた。「ただ、昔に描いてあげた子がまだVtuberやってるのかなって気になったんだよ。」


夕陽は少し不満そうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。「わかった。でも、何か困ったことがあったら言ってね。」


「ありがとう。」玲愛は微笑んで答えた。


部屋を出た後、玲愛は再び不安に襲われた。湊と陽斗のつながりは見つからなかったが、それでも状況は変わらない。美優紀の秘密を守るためには、もっと慎重に行動しなければならない。


玲愛はスマートフォンを取り出し、美優紀にメッセージを送った。


「美優紀、ちょっと話があるんだけど…。今度会えない?」


送信ボタンを押した後、玲愛は深呼吸をした。これからどうすべきか、美優紀と真剣に話し合う必要がある。状況は予想以上に複雑になっていた。玲愛は窓の外を見つめながら、友人の秘密を守るための最善の方法を考え続けた。






【あとがき】

ちょっと間が空いてしまいすみません。


この作品のテーマとして「ご都合主義ではあるけれどギリギリありそう」がコンセプトになってまして、次々と話が浮かばず間が空いてしまいました。

人から見たら「ありえない」かもしれないですが、いきなりバズってチャンネル登録が増えたり、クラスに何人もVtuberいるような話に比べるとまだありそうなレベルという感じで書いてます。

別の作品のご都合主義が極まってるようなのだとどんどん先の展開が書けるんですが、こちらは1作目でもあるので大事に書いてしまい進展しない状態です。


今後もあまりペースは上がらないかもしれませんがお付き合いよろしくお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る