第4話 気づき・・・

次の日の朝、冴木陽斗は再びパソコンの前に座り、自分のYouTubeチャンネルの状況を確認した。昨晩アップロードした新しい切り抜き動画も順調に再生回数を伸ばしており、さらにチャンネル登録者数も少しずつ増えていた。


「よし、この調子で頑張ろう!」


学校へ向かう陽斗の足取りは軽かった。家を出ると、いつものように中村亮太に出会った。


「おはよう、陽斗!今日もいい顔してるな!」


「おはよう、亮太。昨日の動画も順調に再生回数が伸びてるんだ。登録者数も増えてるし、これからが楽しみだよ」


「それはいいニュースだな!ソラちゃんのファンをもっと増やそうぜ!」


午前中の授業が終わり、昼休みになると亮太が陽斗の席にやってきた。


「陽斗、次の動画どうする?」


「次はどのシーンを切り抜こうか考えてたんだ」


「ソラちゃんの配信はどれも面白いからなー」


二人は昼食を取りながら、次の切り抜き動画のアイデアを練り始めた。その会話を、少し離れた場所で美優紀が聞き耳を立てていた。


「ソラちゃんって…まさか…」


美優紀は心の中で動揺しながらも、冷静を装って川崎真由と藤田夏美と話を続けていた。しかし、耳は陽斗と亮太の会話に集中していた。


「次の配信では、ソラちゃんが英語で歌ってたシーンがあったから、それを使おうと思ってるんだ」


「それはいいね!ソラちゃんの英語力もアピールできるし、面白さもあるし」


美優紀はその言葉を聞いて、自分の配信が注目されていることに気づいた。自分が星野ソラとして活動していることは誰にも言っていないが、陽斗と亮太がそのファンであり、応援してくれていることに驚いた。


「どうしよう…」


美優紀は内心で焦りを感じながらも、冷静を装って昼食を続けた。陽斗たちの会話をこれ以上聞くことはできず、心の中で葛藤を抱えながら授業に戻った。


午後の授業が終わり、放課後になると陽斗と亮太は再びソラの配信を見ながら、次の切り抜き動画のアイデアを練った。美優紀はその様子を遠くから見つめながら、自分の正体がバレないように気をつけることを心に誓った。


「これで、もっと多くの人にソラちゃんの魅力が伝わりますように…」


陽斗は新しい動画を作るために、再びパソコンの前に座り、編集作業を始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る