第39話 伊勢参りとおはらい町

陽斗と凛奈はおじさんの車で伊勢神宮へ向かい、まずは神社でお参りをした。神社は夏休みということもあり、たくさんの人で賑わっていた。陽斗は手を合わせて祈りを捧げる。


「家族が健康でありますように。そして、ソラちゃんがもっと有名になりますように。」


お参りを終えた後、家族はおはらい町に向かった。おはらい町も観光客で賑わっており、活気に満ちていた。様々な店舗が並び、美味しそうな食べ物やお土産が目に飛び込んでくる。


「すごい人だね。おはらい町ってこんなに賑わってるんだ。」陽斗は周りを見渡しながら言った。


「うん。いつもはこんなに人が多くないけど、夏休みだからね。お父さんとは別行動で湊の働いてるカフェに行こうよ。」


「うん、そうしよう!」陽斗も同意し、二人はカフェに向かった。


カフェに入ると、店内は涼しくて落ち着いた雰囲気だった。


「いらっしゃいませ!」湊は元気よく声をかけて近づいてきた。


「やっほー、湊!」凛奈が手を振ると、湊も嬉しそうに微笑んだ。


「凛奈、久しぶり!え、彼氏連れてきたの?」湊はからかうように言いながら、陽斗を見てニヤリと笑った。


「やめてよ、湊。彼氏じゃないよ。従兄のお兄ちゃんだって。」凛奈は笑いながら否定した。


「え、そうなんだ。ごめんなさい、お兄さん。初めまして、湊です。」湊は急に真面目な表情になり、陽斗に軽くお辞儀をした。


「初めまして、陽斗です。よろしくね。」陽斗は笑顔で返事をした。


「二人でカフェに来るなんて、仲良しなんですね。席はお二人様でよろしいですか?」湊はまだ少しからかうように言った。


「うん、二人だよ。湊、後でちょっと話したいことがあるんだけど、時間とかとれる?」凛奈が尋ねると、


「あと10分くらいしたら休憩だから、その時に話できるよ。」湊は時計を見て答え、二人を席に案内した。


凛奈と陽斗は席について、飲み物を注文した。カフェの中は静かで、外の喧騒から離れてリラックスできる空間だった。


「タイミングが良かったね。湊ちゃんが休憩に入るところなんて。」


「うん、本当だね。店の中で話できるのかな。」凛奈はにっこり微笑んで言った。


しばらくすると、湊が休憩に入り、二人のテーブルにやってきた。


「お待たせ。話って何?」


「実は陽兄ちゃんがVtuberの切り抜き動画を作っててさ、湊のカナデの動画も切り抜きしてくれるって!」凛奈が興奮気味に説明した。


「本当に?それは嬉しいな!ありがとう、陽斗さん。」湊は感謝の気持ちを込めて言った。


「いえいえ、凛奈に頼まれたんで、少しでも力になれればと思って。」陽斗は照れくさそうに答えた。


「じゃあ、お礼に何か奢らせてください。私の働いてるカフェだから、お飲み物でも何でも。」湊は笑顔で提案した。


「それは嬉しいけど、あまり気を使わなくていいよ。楽しくやろう。」陽斗は遠慮しながらも、湊の好意を受け入れた。


三人はしばらくの間、Vtuberの話やカフェのこと、学校のことなどを話して過ごした。湊の明るい笑顔と元気な声に、陽斗と凛奈は楽しい時間を過ごした。


「そろそろ仕事に戻らないと。今日は本当にありがとうございました。よければ陽斗さんの連絡先を教えてもらってもいいですか?」


「もちろんだよ。」


「ありがとうございます。」二人は連絡先を交換し、湊は再び仕事に戻っていった。


「楽しかったね。湊ちゃんバイトも頑張ってるしいい子だね。陽斗は満足そうに言った。


「そりゃ私の友達だもん!」凛奈も同意し、二人はカフェを後にした



湊と楽しい時間を過ごした後、陽斗は両親と合流し、お土産を買いに行くことにした。おはらい町には様々なお土産が並んでおり、どれを選ぶか迷ってしまうほどだった。


「友達へのお土産を選びたいんだけど、何がいいかな?」


「伊勢志摩の海女萌えキャラクターのお土産が人気みたいよ。かわいいし、喜ばれると思うわ。」母が笑顔で答えた。


「それいいね。」陽斗は興味津々にそのキャラクターのお土産を探し始めた。


店の中には、海女萌えキャラクターが描かれたお菓子やキーホルダー、ステッカーなどがたくさん並んでいた。陽斗は亮太と和也にぴったりなお土産を見つけるためにいくつか手に取ってみた。


「このキーホルダー、かわいいね。オタク友達が喜びそう。」


「うん、あとこのステッカーセットもいいかも。カバンとかノートに貼れそうだし。」


「いいね。それにしよう。」陽斗は満足そうにうなずいた。


「他に何かいる?」母が尋ねると、


「いや、これで十分だよ。ありがとう。」陽斗は笑顔で答えた。


お土産を購入し、家族と一緒におはらい町を散策しながら帰る準備を始めた。陽斗は友達へのお土産を手に、今日一日の出来事を振り返っていた。


「暑かったけど来てよかった。湊ちゃんにも会えたし、いいお土産も買えた。」


「うん、湊が時間取れてよかったよ。また来れたらいいね」凛奈も同意し、陽斗と一緒に車に戻った。

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