切り抜き師の俺、同じクラスに推しのVtuberがいる

第26話 公開翌日

コラボ動画公開の翌日、冴木陽斗はクラスの端で中村亮太とコラボ動画の感想会を開いていた。

「カレンさんとの歌ってみた、すごかったね。」陽斗が興奮気味に言うと、亮太も頷いた。

「本当に。再生回数もまだ1日経ってないのに1万再生って、めちゃくちゃ凄いよな。ソラちゃんのチャンネルも少しずつ登録者が増えてるし。」

「うん。ソラちゃんの知名度が上がってるのが実感できて嬉しいよ。」

「歌動画も本当に良かったよね。ソラちゃんの歌声が曲にぴったりで、ソロパートなんか一番上手だったんじゃない？」

「うん、確かに。他のライバーも上手だったけど、ソラちゃんのパートは特に印象的だった。」

「やっぱ歌うまいよな。歌ってみた他にももっと出してほしいよ。」

二人はその話題で盛り上がり、笑顔が絶えなかった。

その様子を見ていた美優紀、真由、夏美の三人は、教室の一角で会話をしていた。

「あの二人、またVtuberの話で盛り上がってるね。」真由が少し呆れた様子で言った。

「まあ、好きなものに夢中になるのはいいことじゃない？」夏美が微笑んでフォローした。

「そうだよね。趣味はそれぞれだし。」美優紀も同意しながら、内心では陽斗と亮太の話題に心が温かくなるのを感じていた。

「でも、現実の女の子と付き合う方が楽しいと思うんだけどなぁ。」真由が軽くため息をつくと、夏美が優しく言った。

「それも一理あるけど、今は二人にとってVtuberが大切な存在なんだよ。だから、尊重してあげようよ。」

「そうそう。私もアニメとか見るから、それの延長線上だと思うよ。」美優紀がフォローに入ると、真由はまだ納得できずに、

「えー、でもでも絶対リアルの方がいいって！」

「別に真由があの二人と付き合うわけじゃないんだし、ほっときなよ。」

「まあ、確かに。私には関係ないか。」

「そうそう、二次元でも三次元でも楽しくだよ。」

二人で真由をなだめつつ、美優紀は内心で、自分が星野ソラであることを明かせないことがもどかしかったが、陽斗と亮太が自分の活動を楽しんでくれていることが嬉しかった。

夜に、美優紀の元へ複数のチャットが届いた。

「星野さん、コラボありがとうございました。公開した動画は順調に再生数を伸ばしており、周りからも非常に良い評価をいただけてます。」とカレンからのチャットへ

「こちらこそありがとうございました。チャンネル登録が少しずつ増えてるのはカレンさんの動画のおかげです。すごく楽しかったですし、素敵な動画ありがとうございました。」

とお礼のチャットを返し、

「美優紀、天音カレンの歌みた見たよ！めっちゃよかった。虹ライブとコラボなんてすごいじゃん！」と玲愛からの感想には

「ありがとう、玲愛。配信でも言ったけどホントびっくりだったよ。再生数が伸びてるおかげで知ってくれた人も増えてるみたい。チャンネル登録も少しずつ増えてるんだよ。」

「よかったよかった。例のクラスメイトはどう？」

「ちょうど教室で話してるの聞こえてきたけど、すごく喜んでくれてた。他の歌ってみたも上げてほしいって言ってたからまた何か歌ってみようかな。」

「おぉ、クラスメイトの為に1曲歌っちゃいますかｗ」

「違う違う、一ファンの意見として取り入れただけで・・・。」

「冗談冗談。この前カラオケで歌ってた『可愛すぎてゴメン』とかいいじゃん。」

「私も歌うならそれかなって思ってた。今度時間あるときに録ってみようかな。」

「うんうん、期待してるよ。」

と陽斗たちの意見を取り入れつつ、陽斗たちの応援に感謝し、次の目標に向かって頑張ろうと心に誓った。彼女の心には、これからもたくさんの人に星野ソラとしての姿を届けたいという強い思いが宿っていた。