第7話 記念配信
もう1話続けて美優紀視点です。
大森美優紀は自分の部屋で、星野ソラとしての配信準備をしていた。登録者数がもうすぐ1000人に達するという知らせは、彼女にとって大きな喜びだった。パソコンの画面に映る自分のアバター、金髪ツインテールの星野ソラは、今や彼女のもう一つの顔だ。
「これで、記念配信ができる…」
美優紀は心の中でつぶやき、配信のスケジュールを確認した。1000人記念配信を特別なものにするため、彼女は何日も前から計画を練っていた。記念配信のテーマは「マシュマロ+歌での耐久配信」。視聴者からのマシュマロに答えつつ、自分の好きな曲を歌う予定だ。
この耐久配信は、前に聞こえてきた陽斗と亮太の会話から着想を得たものだ。二人への感謝の気持ちも込めて、美優紀はこの耐久配信を準備した。
「耐久配信、喜んでくれるかな…」
美優紀は深呼吸をして、自分を落ち着かせた。そして、配信開始のボタンをクリックした。
「みなさん、こんソラ~!星野ソラです。なんと、チャンネル登録者数がもうすぐ1000人に達しそうなんです!」
画面に映るアバターが笑顔で話し始めると、コメント欄が一気に盛り上がった。たくさんの「おめでとう!」や「すごい!」というメッセージが流れ、彼女はそれを見て心が温かくなった。
「まずはみなさんに感謝の気持ちを伝えたいです。いつも応援してくれて、本当にありがとう!今日はその感謝の気持ちを込めて、1000人行くまでマシュマロを読んだり歌を歌ったりしながらの耐久配信でお届けします!」
美優紀はコメント欄を見ながら、事前に集めた視聴者からのマシュマロを選び始める。
「ソラちゃん単推しさんからのマシュマロです。ソラちゃん、どうしてVtuberになったの?」
「単推しありがとー。私はもともと歌が大好きで、それを多くの人に聞いてもらいたいと思ったのがきっかけです。それと、私自身がVtuberを見るのが好きで、自分もやってみたいと思ったんです!」
たくさんのマシュマロに答えながら、美優紀は自分の思いを伝えていった。時折、コメント欄で見覚えのある名前が目に入り、彼女は微笑む。
「次のマシュマロは腹ペコペンギンさんから。ソラちゃんの好きな食べ物は何ですか?」
「ペンギンさんは腹ペコだから食べ物の質問かな?実は甘いものが大好きで、特にたい焼きが大好物です!クリームチーズとつぶあんの入ったたい焼きが一番好き!」
視聴者からのリアクションが続き、彼女はどんどん話を進めた。そして見つけたマシュマロが…
「次のマシュマロは…、ソラちゃん切り抜きチャンネルさんからです。もうすぐ1000人ですね!これからもどんどん切り抜いていきます!応援してます!」
「わー、切り抜きチャンネルさん!ありがとうございます!これからも私のこと、たくさん切り抜いてくださいね!」
美優紀はマシュマロを見た瞬間、陽斗の顔が浮かんだ。きっとこの配信も見てくれているだろうクラスメイトに、そしていつも自分を応援してくれている切り抜き師への感謝の言葉を伝えた。
「さて、ここからは歌っていきたいと思います!まずは、私が大好きなこの曲からいきますね。」
美優紀はお気に入りの曲を選び、歌い始めた。画面には彼女のアバターが楽しそうに歌う姿が映し出され、コメント欄も一層盛り上がった。
「素敵な声!」「感動しました!」というコメントが次々と流れ、美優紀の心には感謝の気持ちが溢る。
「次の曲を歌いますね。これは私がVtuberとして初めて歌ってみたを出した曲なんです。」
彼女はその曲に思い入れが深く、心を込めて歌い上げた。歌い終わると、コメント欄には感動の声が溢れていた。
「ソラちゃん、本当にありがとう!」「最高だった!」という言葉が飛び交い、美優紀は涙を堪えた。
「みなさん、ありがとうございます。こんなにたくさんの方に応援してもらえて、本当に幸せです。これからももっと頑張りますので、よろしくお願いします!」
その時、画面の隅に「チャンネル登録者数1000人」の表示が出た。美優紀は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。
「1000人達成しました!みなさん、本当にありがとう!」
コメント欄は祝福のメッセージで埋め尽くされ、美優紀は感謝の気持ちを込めて深くお辞儀をした。
「これからも星野ソラとして、もっともっと成長していきたいと思います。次の目標は2000人ですね!一緒に頑張りましょう!」
配信は大成功だった。美優紀は配信を終了すると、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「やった…本当にやった…」
彼女は喜びの涙を拭いながら、パソコンを閉じた。そして、次の配信に向けてさらに努力することを心に誓った。
「もっと頑張らなくちゃ…」
次からは陽斗視点に戻ります。
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