第20話 新しい仲間候補

冴木陽斗と中村亮太は、週末に虹ライブとコラボしているレストラン、ココゼリアへ行くことにした。二人は星野ソラだけでなくVtuberのファンであり、当然コラボメニューは食べたいと思っていた。


二人は店に入ると、虹ライブのキャラクターたちが描かれたポスターや装飾が目に入り、テンションが一気に上がった。店内は多くのファンで賑わっており、特にサクラの人気が高いことが伺える。


ココゼリアでは、虹ライブのキャラクターとコラボした特別メニューが期間限定で提供されており、それを注文するとランダムでクリアファイルがもらえる仕様となっていた。


二人は当然コラボメニューを頼む。少し高いコラボメニューだが、二人はためらうことなく注文することにした。


テーブルに備え付けてあるタブレットからスペシャルコラボセットを注文するとタブレットから、


「スペシャルコラボセットを頼んでくれてありがとう!これからも虹ライブをよろしくね!」とサクラの声が流れた。


「うわ、声まで流れるのか!」


「すげぇ」と二人は驚きながら料理を待つ。


しばらくして、料理が運ばれてきた。少し高めのメニューだけあって見た目は豪勢で二人は写真を撮り、料理を楽しんだ。


食べ終わった後は、楽しみにしていた開封タイム。クリアファイルを少しずつ取り出し誰が出るかとドキドキワクワクの二人だったが、欲しかったサクラのクリアファイルは出なかった。


「まあ、また来ればいいよ。次回に期待しよう!」陽斗が明るく言った。


「そうだな。次は絶対サクラを当てよう!」亮太も気を取り直した。


そんな時、ふと陽斗の視線が入り口の方に向いた。そして、隣のクラスの男子生徒、佐藤和也がレストランから出ていくのが見えた。


「え、さっきのって…佐藤じゃないか?」陽斗が驚いて言った。


「本当だ。あいつも虹ライブのファンなのか?」亮太も驚いた様子だった。


二人は目を見合わせ、もしかしてという考えが頭をよぎった。


「あまり話したことないけどVtuber好きには見えないけどな。」亮太が呟いた。


「まぁ人は見た目じゃないし、もしかしたら虹ライブのファンなのかも。」陽斗が言った。


「学校で話す機会があったら、虹ライブのこと話してみるか。」と亮太、

「そうだね。意外な共通点が見つかるかもしれないし。」陽斗も同意した。


その後も陽斗と亮太は虹ライブや星野ソラの話で盛り上がりながらココゼリアを後にした。陽斗は新しい仲間ができるかもと期待を膨らませながら家に帰った。





次の日、陽斗は学校に到着すると、亮太と一緒に教室に向かう途中で、廊下の端にいる佐藤和也を見つけた。


「佐藤、ちょっといい?」亮太が声をかけると、和也は振り返った。。


「おはよう、えっと冴木と中村?」


「そうそう、名前知っててくれてよかったよ。」


陽斗は少し緊張しながらも、和也に尋ねた。「昨日、ココゼリアにいなかった?」


和也は驚きながらも頷いた。「ああ、中学の友達と久しぶりに会って、一緒にココゼリアでご飯を食べたんだ。」


亮太が興味津々に続けた。「俺たちも昨日そこで食べててさ。もしかして、虹ライブが好きだったり?」


「たまに見たりはしてる。ちゃんと知ってるのはサクラくらいだけどね。」


「そうなんだ。この前のライブ、見た?」


「見た見た。すごかった。人すげー集まってたし同接もすごかったよな。」


三人はその場でサクラのライブについて軽く語り合った。


「ところで、佐藤は星野ソラって知ってる?」陽斗が尋ねると、和也は首をかしげた。


「星野ソラ?聞いたことないな。Vtuber?」


陽斗は早口で答えた。「個人勢のVtuberなんだけど、すごく可愛くて面白いんだ。歌も上手だし、リスナーとの掛け合いも楽しいんだよ。」


亮太も続けて言った。「そうそう、最近新しい衣装をお披露目したんだけど、それもまた可愛いんだ。」


和也は少し興味を示し、「そうなんだ。見た目どんなの?」と尋ねた。


陽斗はすぐにスマホを取り出し、壁紙に設定してある星野ソラの画像を見せた。


「こんな感じなんだけど、YouTubeで配信してて、もしよかったら俺がやってる切り抜きチャンネルも見てみてよ。ソラちゃんの面白いシーンや感動的なシーンをまとめてるんだ。」切り抜きチャンネルのリンクを和也に見せた。


「え?切り抜きを冴木がやってるの?」と驚く和也


「うん、布教活動の一環でね。ソラちゃんを有名にしたいんだ。」


「へえ、そんなことしてるんだ。時間があったら見てみるよ。」和也はリンクを受け取り、スマホをしまった。


「じゃあ、また話そう。教室に戻らないと。」陽斗が言うと、三人はそれぞれ教室に向かった。


陽斗は教室に戻りながら、和也に星野ソラを布教できたことに満足感を感じていた。クラスメイトとVtuberの話で盛り上がれるのは、彼にとって何よりも楽しいことだった。


「これで、また一人ソラちゃんのファンが増えるかもな。」陽斗は心の中でそう思い、次の授業に備えて席に着いた。


彼の心には、星野ソラをもっと多くの人に知ってもらいたいという強い思いが宿っていた。和也との新しい交流が、その目標に一歩近づく大切な機会となった。



読んでいただきありがとうございます。

また☆評価いただけましたので今日も0時に1本上がります。

その後はまたお昼の12時に毎日投稿予定です。

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