寄生蛇VS寄生虫②

小さな目がついている紐のように細く長い体に、びっしりと牙の生えた円状の口。

それで奴は奴らにしかできないような独特の動きでうねうねグネグネ蠢いている。

前世で言うならばワー厶にそっくりの姿だ。


今更にして気づいた奴の姿に俺は一瞬思考停止する。


いや、ね。人の嗜好をどうのこうの言うつもりはないけど、

こいつの姿を見たときには誰だって悪寒が背筋を駆け上るだろうよ。

少なくとも俺は思考が一瞬停止した。



「ギ、ギチギチギチギチ、ギギーッッッ!」


奴―白いパラダイスみたいな名前だった気がする―は大きく鳴き声を上げ、俺に向かってうねうね突っ込んでくる。


俺はその声で意識を戻し、慌ててその攻撃を後ろに飛んで避ける。

突っ込んできていたいた白いパラダイス?は方向転換できずにそのまま壁にぶつかった。



俺は少し安心して…、


「「「「「ギチギチギチギチギチギチ、ギギーッッッ!!」」」」」


後ろからおぞましい声が聞こえた。

嫌な予感を感じながら、鳴き声がした方を振り返る。



……もうこれは地獄だったとしか言いようがないだろう。


だって白いパラダイス?たちがうねうね押し合いへし合い、

円状の口からよだれを垂らしながら俺を見つけているんだよ?


気持ちの面か、俺は一歩後退する。

それに従って、白いパラダイス?たちは一歩踏み出す。


「ギギ…!」

「ギー、ヒュー。」


ごくんとつばを飲み込む音を聞きながら、俺は素早く左右に視線を走らせる。

いつの間にか、俺を逃さないように奴らは俺を円状に囲んでいた。


正直言ってかなりやばいな。

さっき一瞬思考が停止したのが良くなかったか。でもあれは仕方ないし。

だがどちらにしろ囲まれしまったのは事実。


とりあえず白いパラダイス?たちの動向を良く見ながら、目の前のやつに対し『鑑定』する。




"ホワイトミストパラサイドLv.19


<HP> 62/63

<MP> 59/68

<物攻アタック> 51

<物防ディフェンス>34

<魔攻マジック>56

<魔防レジスト>12

<体力> 33

<瞬発力>34 "



あ、ホワイトミストパラサイドか。まあでも大体の特徴は掴んでたね。ホワイトいパラダイスだから。


少し名前をしれて気が抜けてしまったけど、気を取り直して素早くステータスに目を走らせる。


だがそれを見て俺は首を傾げる。

俺より全然レベルは上回っているけど、ステータスは別にそんなでもなかったからだ。

それに魔防レジストが結構低い。


それなら、前に入手した魔法がいいかもしれない。

というか魔ダメージを与えられるものがそれしかない。

でも、この土壇場で使えるかわからない。レベル1はあまり効果がないことが多いし。


「ギー、ギチギチギチギチギチ!!」


一匹のホワイトミストパラサイドがしびれを切らしたように動き出したので、俺は思考を途切れさせ、慌てて身構える。


ステータスを確認していた間に奴らはすぐ近くまで迫ってきていた。もう悠長に考えている暇はない。


レベル1でもそれなりに近くなら当たるかもしれないし、と俺は思いながら一番殺傷力が高そうな『火魔法』を念じる。

念じるとすぐに頭に浮かんだ呪文を想う。


火矢ファイヤーアロー





――――――――――――――

更新が遅くなり申し訳ありません。


本当に今更ですが、ステータスの表記が少しわかりにくいと思いまして、大幅に変更させていただきました。

話の展開にはあまりかわりはありません。


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