ボスネズミ戦①


まずは周りのネズミたちからだ。

3匹だけにしないと、圧倒的なレベル差とかがあるわけでもないので、普通に数の暴力でボコボコにされる。


まあ、これは案外簡単だ。『ネズミ殺し』の効果で勝手に逃げてくれるから。


でもまずは先制攻撃だ。敵にはダメージは少しでも多く与えたほうがいいし、すぐに攻撃しなかった一つの理由でもあるからね。



岩から出るとまず俺は『毒射』と念じながら、金色鼠に狙いをつけ、撃つ。

少し距離があるので、まだあちらは気づいていないようだ。そこまで遠いってわけでもないから、時間の問題ではあるけれど。


ちなみに『ネズミ殺し』の効果は範囲外だから発動しない。まあそれを狙ってここくらいにいるんだけど。


効果を再確認している間に、毒液は金色鼠に直撃し、こちらに気づいたようだった。


俺はよし、と思うと同時に地面を力強く蹴って、ネズミ群との距離を縮める。


その一飛で『ネズミ殺し』の効果圏内に入り、瞬間、怯えたような表情を浮かべて、群がっていたネズミたちは逃げ出した。


その距離から連続で『毒射』を撃ちながら、崩れていく群れを凝視する。

すると、その混乱の真ん中くらいで金色鼠はこちらを睨みつけていた。


俺はそれを見てちょっと落胆する。

この『ネズミ殺し』の効果が効いて逃げまとえば儲け話と思っていたけど、少しも自分とレベルが近いの相手には通じないらしい。強者の威圧みたいなもんなのかな。


その証拠に弱いネズミたちがいなくなって、スッキリとした視界には、金色鼠の他にざっと強そうだと結論付けた、マジカルマウス、レッドマウスが残っていた。


落胆した面持ちだったが、まあ当初の目的は果たせてからいいやと思い直して、再度『毒射』を射とうと狙いを定める。


しかし、その攻撃を撃つことができなかった。地面から土の棘?が飛び出してきたからだ。

俺は攻撃を中断し、慌てて右に避ける。



その一撃を境に何回も地面が盛り上がり、土の棘が現れる。俺は柔らかい体を駆使してなんとか上下左右に飛び回って避けたながら発生源を見る。


「キッッー、キー!!!」


マジカルマウスが尻尾を地面ににつけて、何やらキーキー言っている。


キーキーって。ネズミ言語的な何か?


どうやらマジカルマウスが尻尾の光?をキーキー何かを唱えることで、地面に流しながら、この土棘を使っているようだった。


まあ、予想はできてたけどマジカルマウスか。名前からして魔法使いそうだしね。

多分あいつを倒さなきゃこの魔法攻撃は止まらない。

だが、今あいつ等に近づくのは悪手だ。金色鼠の馬鹿高い攻撃を食らってしまうからね。


ということで作戦といこうか。


「しゃあ、しゃあ、しーっ。」


だんだん弱ってきた風を演じて、少し後退する。ネズミたちは勝機だと思って大きく前進したようだ。


そしてそのまま回れ右をして逃げる。当然ネズミたちは追ってくる。


「キッッーーーーー!」


一生懸命に入り組んだ壁を駆使して逃げながら、作戦の概要について思い出す。


そう、作戦とは、弱ってる風を演じてネズミたちを引き付けて、一匹ずつバラバラにしようてことだ。

つまり自分の巻く能力に信を置いただけの行き当たりばったりの作戦。


いや、でも言い訳させてもらうと 、普通の大学生にすごい作戦考えてって言っても、さすがに無理があるからね?



思い返してから、ここからが重要だと気合を入れる。まあというかここが成功しないとそもそも作戦が成功しないんだけど。


でも事前に逃げるルートを決めていたこともあり、そこまで距離は詰められていない。

逆に一匹、マジカルマウスは引き離せているくらいだ。

息があがっているし、インドア系なのかな?


マジカルマウスを最後の引き離す仕上げに、入り組んだ小さな隙間に入る。初めははついてきているようだったが、数分走ると姿が全く見えなくなった。


他のネズミたちは俺をどうやって仕留めようか、と思ってるっぽいから、仲間が途中でいなくなったことにも気づいていなかった。

お腹が空いていたのか、何なのか知らないが、こちらにとっては好都合だ。


そう思ってから、ちらりと後ろを確認する。距離を縮めれているわけではないが、普通に2匹ともついてきていた。


――――――――


公開時間が遅くなり申し訳ありません。

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