ボスネズミ戦②金色鼠



さらに数分くらい走った。


感覚では数十分が経過したようだが、それはつかれているからであって実際はこの程度だろう。


レッドマウスをようやく曲がり角で巻けて、今は金色鼠と対峙しているところだ。


「きいいっー!!!」


金色鼠はそう叫ぶと、俺を睨めつけながら、舌なめずりをする。

完全に獲物とみなされてる気がするけど、まあ逃げてたんだから当然といっちゃ当然か。


というか、いま言うことじゃない気もしなくもないけど、ネズミ、蛇を食うんだね。


くだらないことを考えている間に、金色鼠は準備が整ったのか、地面を蹴り俺に肉薄する。瞬間、俺は慌てて上に飛んで避ける。


こいつと真正面からやり合うのはまずい。

レベルの差でステータスに差があるのはもちろん、攻撃があたったら終わりだからね。


金色鼠の怒涛の攻撃を紙一重でかわしながら、じっと冷静に観察する。


攻撃は単調。ただステータスに物を言わせた攻撃だ。

俺のような戦闘初心者でさえ、だんだんと攻撃の仕方が見えて来たほどだ。


観察する限り、多分パターンとしては2つある。

1つ目は突進。俺がいるところに向かって思いっきり突っ込んでくる。あたったら重症どころでは済まない気がするけど、隙は多い。攻撃を当てるならここだろう。


2つ目はパンチ。体と釣り合ってない大きなムキムキの腕で殴ろうとしてくる。こっちは1つ目よりは隙は少ない。

まあどっちもただ殴る脳筋プレイだけどね。


さて、大体の特徴は掴めたところで反撃だ。

攻撃手段としては、『毒液注入』がいいかな。

『毒射』は後ろに飛んで遠距離戦を仕掛けようにも、飛んでいるときの隙が多すぎるからね。十中八九攻撃されるだろう。



「キーーっっっっっ!!!!」


パンチ攻撃をひたすら避けながらジリジリと後ろに下がっていると、ネズミは頭を俺の方へ突き出す体制に入った。そのまま地面を蹴って突っ込んでくる。



地面を蹴って左に飛ぶと、すれ違いざまに体に噛みつき『毒液注入』をする。避けられたときのことは考えていなかったのか、ネズミはそのまま壁に激突する。


まあそれが狙いではあったんだけど。

避けられると、そのまま勢い余って突っ込んでいってることを見て思いついた作戦が成功してよかった。


壁にぶつかってクラクラとしている間にも、さらに力を込めて噛みつき、『毒液注入』をする。


「キッイイイ……!!」


"レベルが上がりました"


"『毒液注入』のレベルが上がりました"


"『進化』が可能になりました。"



力を込めたのが決定打になったのか、金色鼠はこちらを睨みつけながら断末魔を上げて倒れる。

その瞬間、続けざまにレベルアップを知らせる声が頭に響いた。


俺は尻尾で金色の体をつんつんつつく。金色鼠はピクリとも動かなかった。


思ったよりも呆気なかった。別にらくして勝てたほうがいいけどね。

そういえば確かに『鑑定』したときも、HPが低かった印象だったけど、だからかな。

なんかレベルが全てじゃないと学んだ気がする。


いや、というか、俺との相性が悪かっただけかもしれないけどね。

パワーイズ全てというような脳筋タイプだったから、自分の攻撃を観察されるとは思いもしなかったのかもしれない。


少しあっけなさに驚いてしまったけど、まだボスネズミの一味?は残っているので、探さなくては。


金色鼠をパクリと飲み込むと、ゆっくりと立ち上がった。


あ、ちなみに金色鼠のお味は美味しかったです。丸呑みしてても味は少しはわかるからね。

やっぱレベルごとに味とか違うのかな?


――――――――


最近少々忙しいので、これくらいに公開することが多くなるか、と思います。

公開時間がだんだん遅くなって申し訳ありません…。

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