転生蛇は遠距離無双したい



「「「くう、くー、」」」



安らかな寝息に思考が戻る。いつの間にかちょっと大きな空間に出ていた。


その瞬間地面を跳んで、天井に着地する。敵は上からたたかうのが一番だ。空中戦が得意なやつじゃなければね。


上からじっと寝息の正体―何匹かのネズミを見つめる。まとまって寝ているみたいだ。


前もこういうネズミたちは、初めは単独行動してるネズミを見つけたけど、結局仲間がいた。

ネズミって前世だと集団行動してるイメージはないんだけど、まあコイツラは俺が勝手ににてるから名付けてるだけだしね。違うところがあっても全くおかしくはないけど。


ネズミたちの生態を推測しながら、『鑑定』する。使い物にならないんだけど、まあレベル上げのためだ。


『鑑定』は、別のものじゃないと、経験値―レベルが上がるためのエネルギーみたいなもの、があんまり入んないみたいなんだよね。


レベルと違ってゲージとかは見れないけど、何かの容器に溜まってるっぽいのがわかるから、そう言えるんだけど。



"ネズミっぽい生物"


"ネズミっぽい生物"



ネズミたちを『鑑定』していると、一匹が俺の音に気づいたのか、眠たげにうっすら目を開けて周りを見渡す。


俺はすっと顔を引き締める。

よしっ、今が『毒射』の使いどころだ。


『毒射』


そう念じながら、口元からせり上がる何か―多分毒を意識する。

俺はすう、と大きく息を吸い込むと、喉の下まで来ていた、毒を吐き出す。


毒は鋭く飛んでいき、立ち上がったネズミに直撃、とはいかなかった。


ひょろひょろと弱々しく飛ぶと、30センチくらいのところでボトリと落ちた。



「しゃあ…」


うん、レベル1に期待した俺が悪かったよ。『鑑定』さんもあんなだったしね。



そんなこんなしていると、一匹のネズミは俺の子が姿に気づいたようだった。

その瞬間俺は天井を蹴って飛び、その無防備な喉元に噛みつく。



「キーっっ…」



叫ぼうとしていたので、口元に巻きついて、ぐるぐる巻きにする。今思ったけど、蛇って暗殺向きだよね。



ネズミは苦しげに暴れるが、噛みつく力を強くし、『毒液注入』を行っていると、だんだんと弱ってきた。


前と同じくらいの大きさなのに前より時間が短くなっているし、力も負けていない。

まあ、不意を打てたってのが大きいから、単純な力比べでは負けるかもだけど。


やっぱり『進化』して強くなったんだろう。

『毒液注入』とか『毒射』とか諸々。

…うん、『毒射』は使ってないけどね。いずれ戦力になるはずだ。


「ッッッー、」


自分の力を試せて少し嬉しくなっていると、ネズミが断末魔を上げて倒れる。


しかし今の騒動に他のネズミたちは気づいていないようだった。

やっぱ蛇は暗殺向きだね。このネズミたちが鈍感ってこともあるかもしれないから、油断はできないけど。


他のネズミたちも噛みつき&『毒液注入』でさっさと倒す。

最後のステータスを確認してみたけど、4しか増えてなかった。ということは4匹いたので、一匹1経験値ということだ。

それならはじめ3匹のネズミを倒して、『進化』できたのも納得だ。


でも大きい一匹が他のネズミより強かった。それぐらいなら誤差のようなものだというのだろうか。


まあ色々経験値の入り方には疑問は湧くが、とりあえずネズミたちを持って帰ろうと起き上がる。


―――――――

これからはこのぐらいの量になることが多いかと思います。申し訳ありません。

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