魔宝石
さて、体がきれいになったところで、と俺は壁に生えている魔晶石を見る。
『毒生成』
『毒操作』
無色透明の液体がふわふわと浮き、魔晶石に直撃する。
まだ少し付いていた消化液が流されると、俺は魔晶石に噛みつく。
パリンっと小さく音が響いて、金平糖のような甘い味が口の中に広がった。
それをゆっくり味わうと、
「シーー。」
俺は細く息を吐く。一時はどうなることかと思ったけど、なんとかなったというか、なんというか。
流石に魔晶石の洞窟が口だとは思わなかった。そしてそれをピンポイントで食べられるとか。
魔晶石を探していたとはいえ、不幸すぎる。まあ今更だけどね。
まあでも悪いことばかりでもないとは思う。
こいつの体内は魔晶石と魔宝石の宝庫だ。
つまり、俺のMPをたくさん上げれる、ということでもあるのだ。
魔宝石の使い道はまだわからないけど、多分魔晶石の上位変換だし。悪いようにはならないはずだ。
この時々流れてくる消化液にさえ気をつければ、ここは最適の場所だと言えるだろう。
そういや、前食べてた魔晶石は低品質だった気もするしね。高品質ってことは多分より魔力の上昇量は多いんだろう。
その上位変換らしき魔宝石も上に同じ。
ということで『毒生成』&『毒操作』&魔晶石と魔宝石の特別訓練だ。
まあ特別っていっても、ただ魔晶石と魔宝石をひたすら食いまくりながら、『毒生成』と『毒操作』をするだけなんだけどね。
あ、はじめにとりあえず、魔宝石を食べてみよう。効果がどんなのかわからないし。
『毒生成』&『毒操作』でクリーンにした後でカプリと噛みついてみる。
上位変換だから勝手に魔晶石より硬いと思っていたけど、パリンと涼やかな音を立てて簡単に割れる。
硬さは魔晶石と同じか、それよりも柔らかいくらいだった。
俺は全て噛み砕くとそれをゆっくり飲み込む。コクリと飲みこんだ瞬間に、ウインドウが表示される。
"どのスキルを入手しますか
入手可能 |『火魔法』『水魔法』『土魔法』『風魔法』『闇魔法』『光魔法』『空間魔法』"
…………ええっと?
魔宝石は魔力の増える量が魔晶石より多い上位変換だと思ったけど、違うっぽい?
なんか入手可能スキルみたいなのがたくさん表示されている。
試しに最初にあった『火魔法』を入手と念じて選択してみると、ウインドウ画面が、
"『火魔法』を入手しますか"
はい いいえ
というのに変化した。俺ははいと念じてみる。瞬間、お腹に入った?感じのあった魔法石がなくなる感じがし、中性的な声が響く。
"『火魔法』を獲得しました"
え?魔晶石も大概だけど、魔宝石もめちゃくちゃチートじゃない?
慌ててバリバリとそこら中にあった魔宝石を食べまくる。
全てをコンプリートするように食べ続けると…、
<種族>ポワゾンスモールレッサースネーク
<HP> 41/41
<MP> 60/60
<
<
<
<
<体力> 30
<瞬発力>51
:レベル11 <2/50>
スキル『逃走Lv.2』『熱感知Lv.3』『毒耐性Lv.4』『毒操作Lv.3』『
称号『異端者』『ネズミ殺し』
その結果、ずいぶんと魔法オールマイティー蛇になった。
魔宝石も大概だけど、それをこんなに保有してるグラシエクリスティアルも大概だよね。
俺はどんなやつに飲み込まれたんだ、って感じだ。
まあでもそんなやつでも体内が弱点ではあるみたいだけど。真正面から遭遇してたら、抵抗する暇なくやられていただろう。
じゃあだから不幸体質に感謝、というわけでもないんだよね。
だって俺は食べられてるわけだし。命運は他魔物に任されてるわけだからだ。
今はなんとかしぶとく生き残れてるようだけど、多分小さいから相手にされてないか、気づかれていないだけだ。
いつこいつが本気になるかわからない。
本気になったら、俺は一瞬で消し飛ぶ存在だと思っているのだろう。まあ実際そうなんだけれどね。
でもそれまでには俺はこいつを利用して強くなる。
やってることが寄生だろうとなんだろうと、それじゃないときっと
―――――――――――
少し更新が遅れました。重ね重ね申し訳ありません。
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