グラシエクリスティアル
何かの液体のようなものに流されながら、意識が遠のいていく。
その液体に飲まれるに連れ、チリチリと焦げるような痛さがする。
このドロリとした液体は何なんだろうな、と思い、
「シャアーッッッ!」
あまりの気持ち悪さに意識が冴えた。
だってそれは他魔物の体液なわけであって、それに飲まれて溺れそうになっている状況なのだ。今は。
しかも少し消化されてるのか、めちゃくちゃ痛いし。
意識が冴えると、周りの様子がだんだん見えてくる。壁は魔晶石でできていて、だんだんと細い穴を下に流されてる状況っぽい。多分これは消化管かな。
ということは地球にいる生物ともし同じ構造なら、次は胃。別の構造だったとしても、いつかは消化されるところにたどり着くだろう。
そこまで考えると、俺は慌てて壁に生えている魔晶石に掴まる。
だってこのまま流されていけば、多分俺は消化されるんだとおもうからね。
液体は俺を下に引き込もうとするけど、魔晶石に一生懸命巻きついて耐える。
数秒掴まり続けると、液体の濁流は止まり、代わりに美しい魔晶石の洞窟が残った。
俺が誘われて来たときと全く変わらない洞窟だ。
俺は近くの魔晶石に少しずつ近寄り、
『
とつぶやいた。
"グラシエクリスティアルの魔晶石"
高品質の魔晶石。その魔晶石の美しさは誰もを魅了する。
はい、魅了されて食われた人ですね。やっぱこれは普通の魔晶石ではないらしい。
"『酸性耐性』を獲得しました"
グラシエクリスティアルというのが俺を食ったやつの名前かな。
『
多分さっきはこれだけを『鑑定』とやったから、この魔晶石の説明が出てきたのであって、
全体的なイメージでやれば、俺を食ったやつのステータスもわかるはず。
なんせめっちゃ近く、というか腹の中だしね。
"グラシエクリスティアル<宝王>
"<HP> 6950/7000
<MP> 6002/6000
<
<
<
<
<体力> 560
<瞬発力>1 "
やっぱ俺はこのグラシエクリスティアルに食われたんだね。
"『酸性耐性』のレベルが上がりました"
こいつはグラシエ族?の特徴の魔力関係とHPが異常に尖ってるステータスをしている。
でもグラシエジュエルスライムと違うところはその尖り具合かな。
どっちも四桁かあといった感じ。普通に俺とは次元が違うステータスだ。
とりあえず、状況確認は大切なので、周りのも『鑑定』してみる。
"グラシエクリスティアルの消化管の壁"
…低品質の魔宝石でできている壁。
"グラシエクリスティアルの消化液"
…飲み込んだ獲物を消化するための液体。
他にはこのくらいかな。近くにはそこまでたくさんのものはなかった。
ちなみにこの2つは魔晶石が生えていない隙間に『鑑定』したときにどちらもでてきた。
魔宝石っていうのがなんなのかわからないけど、今のところ『鑑定』さんは重ねがけができないんだよね。
できるだけ『鑑定』するようにしてるから、そろそろレベルは上がると思うんだけど。
まあ低品質らしいことから、魔晶石の上の段階のものかな。
そして、ね。
とりあえず周囲の状況を確認するためにあえて無視してたけど、今一番気になってることがある。
消化液に飲まれてたので、体に消化液がべったりついているのだ。
綺麗好きの日本人だから気になるとかそういうこともあるかもしれないんだけどね、
いくら汚れに無頓着な人だったとしても、チリチリ痛んでくるとかだったら気になると思う。
さっきから『酸性耐性』なんて獲得してるし。
というわけで俺はこの消化液を取りたい。
幸い当てはあるにはある。
『毒生成』
"生成候補 <普通の毒><粘着性の毒><水性の毒>"
魔晶石&『毒生成』&『毒操作』の練習で、『毒生成』と『毒操作』のレベルは3にまで上がった。
その結果、『毒生成』は3つまでレパートリが増え、『毒操作』はまあ操作がそれなりにできるようになった。
今回は水性の毒を『毒生成』する。
一回出してみたけど、水と見た目はあまり変わらない。水に混ぜて、暗殺とかに使えそうな感じだ。
ちなみに俺には『毒耐性』があるので、この毒は効かないから大丈夫だ。
『毒操作』で作られた毒をふわふわと浮かせ、俺の頭上にまで越させると、『毒操作』を切ってボトリと落とさせる
ビチャッという音ともに、体にあった不快感が消え去る。
これ見たときは暗殺以外の使い道がわからなかったけど、意外と使い道はあるかもしれない。
――――――――――
少し忙しく、更新が遅くなり申し訳ありません。
今日の分も19時00分に投稿するので、どうぞよろしくお願いします。
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