転生したら蛇でした
何分経っただろう。何分あの怪物から逃げ続
けただろう。
小さな穴に入り、そこからも走り続け、やっとたどり着いた小さな隙間の中で俺はうずくまっていた。体が無意識にブルリと震えた。
「シャア、シーー。シャー、シーー。」
――――――――――――
数分息を整えると、だんだん落ち着いてきた。まあだからといってここから出ようとも思わないけどね。
とりあえず今の自分の状況を確認したい。
だって走っているとき茶色っぽい尾みたいなのが見えたし、足ないんだもん。多分人間じゃない。
そう思いとりあえずじっと自分な体を見る。夜目が効くのか意外とよく見ることができる。
自分の体を目に近づけると、鱗が生えた黒っぽい茶色の尾みたいなものが目に映った。俺が走っているときに見たやつだ。くるくると動かす事が出来るので、多分自分のだ。
でも、これだけ見ても爬虫類?ってことしかわからない。
少し考えてみてから、
『
異世界ってこれが定番だよねと思い、そう念じてみる。今の俺は喋れないからね。
まあ効果ないだろうけど、誰もみてないし、自由にさせてほしい。
ネット小説も嗜んでたから、少しはこういうことにも憧れたりするのだ。
すると突然目の前にウインドウのようなものが目の前に現れた。水泳のときにつけているゴーグルに文字が浮かんでるような感じでだ。
*ステータスを鑑定しますか*
はい or いいえ
一瞬意味がわからない文字の羅列が続いていたが、次の瞬間には日本語に変化した。
自動◯ーグル翻訳みたいな感じだ。
現代日本に生まれてきた身としては、不思議なことだ。というか、ありえない。
そう思うと、心臓が少しドキリと鳴った。
俺はこの世界で生きていく。どんな関係か知らないが、この世界に転生したんだ。この世界を生きて楽しまなきゃ損だ。
そう、だからこの未知の世界を知らなければならない。何か俺にも関係あるかもしれないから。
そう決意すると、しばし考え、俺は2つの可能性を思った。
1つ目は、これが世界の規則だということ。どういう原理か知らないが、この世界はこういうふうにできている、と、それだけの話。まあ、地球でも解明できてなかったことは多かったしな。
そして2つ目は、ここはもともと地球のような星で、何者かによって都合のいいように作り変えられた可能性。何者かっていうのは多分神だ。それくらいの力のあるものなら変えられるだろう。
そこまで考えると、ふー、とひと息はいた。
それから今まで目を通していなかった、ウインドウに浮かぶ文字に目を向ける。
まあ、さっきたいそうに言ってたけど、結局は可能性は確認しても、今の俺には何もできない。
それよりも今使える手段を使って、ここで生きるののほうが大事だ。
あとは、ゲームのような展開にちょっとテンションが上ってたりするからこれが気になってたってのもあるんだけどね。
*<種族>スモールレッサースネーク
<HP> 2/2
<MP> 0/0
<
<
<
<
<体力> 1
<瞬発力>1
:Lv.1 <0/3>
スキル『毒液注入(微弱)Lv.1』『逃走Lv.1』『熱感知Lv.1』『
称号『異端者』
種族名は"スモール《小さい》、レッサー《劣った》、スネーク《蛇》"か。まさに最弱の要素を詰め込みまくった種族だ。
思ったより衝撃は少ない。まあ、俺の周りに生まれたてっぽいヘビがたくさんいたことから察しはついてたけどね。
他の能力値は…全部1で魔関係に至ってはゼロだな。
生まれたばかりだからと思いたい。
多分レベルの横にあるのは経験値だろう。いま何もしていないから0、次のレベルまで経験値が3必要といったところか。
スキルは『毒液注入(微弱)Lv.1』『逃走Lv.1』『熱感知Lv.1』か。毒液注入と熱感知はは蛇だから元から、逃走はあのブラックドラゴンから逃げ回っていたときに、得られたんだろう。
『熱感知』はドラゴンから逃げているときに感じられたが結構便利だ。暗くて目は見えないのに周りがぼんやりと見える。
前世では蛇には人間にはない感覚器官があると聞いたことがあるから、そういうのかもしれない。
今はレベル1だがもっとレベルを上げれば、よく見えるようになるだろう。
この真っ暗な洞窟では必須スキルになりそうだ。
そして『鑑定』。俺が思うに、これは結構便利、というかチートスキルだと思う。異世界転生系のやつの鑑定ならだけど。
でも、まあ自分がこれで鑑定できた点で及第点だ。自分がどれだけ強いかを数値でわかるのは結構強い。
そして次の称号の欄。『異端者』ってことは多分この世界からしたら、異世界から来たからだろう。
俺はこういうふうに推理したが実際はどうだろう。説明が出てきてくれたらいいんだけど。
そう思い、そう念じてみていると、突然画面が変わった。
『毒液注入(微弱)』…スモールレッサースネークが生まれたときから保有しているスキル。噛みついた対象に毒液を注ぎ込むが、ほとんどダメージは与えられない。
『逃走』…敵から逃げているときに瞬発力に補正。
『熱感知』…スモールレッサースネークが生まれたときから保有しているスキル。暗いところでも熱を感知し目が見える。
『鑑定』…すべてを鑑定することができる。レベルが上がるごとに詳しくなる。
『異端者』…この世界とは非なる者。『白』
…毒液注入(微弱)か。その文字を見ていたときから嫌な予感はしてたけど、やっぱ効果はあまりないんだね。
でも、ま、まあ、もしかしたらレベルを上げってたら強くなるのは定番じゃん?
うん、言葉がおかしくなったが、スモールレッサースネークはめちゃくちゃ弱いっぽい。まあ、名前から最弱をアピールしてる蛇だし。
『鑑定』は解釈どおりっぽい。まあレベルが低い時は使い物にならないのが定番だけど、何もわからないよりかはいい。
目の前にある石を鑑定してみる。
『
"石"
横にあった壁を鑑定してみる。
"壁"
下に落ちていた何かの抜け殻みたいなものを鑑定してみる。
"何かの抜け殻みたいなもの"
ばんっと尻尾で地面を叩く。上の2つはまだしも一番下のはふざけてるよね?
「シーーー、」
ふうと息を吐いて心を落ち着かせる。思った以上に使い物にならなかった。まさか自分で認識したものしか鑑定ででないとはね。
まあ、自分は例外みたいなのは不幸中の幸いだけど。
うん、『鑑定』のレベル上げは即刻行なおう。
そう決意してから、最後に『異端者』の欄を見る。
『異端者』はこの世界とは非なる者か。結構ざっくりしてる説明だね。ところで最後についている『白』ってなんだろう。
『鑑定』しようと念じてみるが、これ以上説明は出てこなかった。自分のことではなく、別のことからかもしれない。
まあいまわからないものは仕方ないので、『鑑定』のレベルを上げていけばいいと思い、気を取り直す。
とりあえず俺は強くならなくては。
さっきは運良く生き延びられたが―まあ、運悪く追いかけられたのだけれども―、次に生き延びられる保証はないからだ。不幸体質だからすぐ危険にあうし。
俺はここで生き延びて、強くなろう。戦闘狂ってわけじゃないけど、強くなっていくのはテンションが上がるってのもあるけどね。
―――――――――――
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