崩落

瞬間。グランと地面が揺れ、俺は地面に崩れ落ちる。


「シーッッッ、」


地震大国日本に住んでいても、体験したことがないほどの大きな揺れ。

視界が揺れ、地面に倒れ伏して地震にただ揺らされることしかできない。


壁も同じだったのか、揺れに耐えかねるように、いたるところにぴしりと大きくヒビが入る。


コツリと頭に破片が当たり、あれ、これはちょっとヤバいんじゃないかな、

とこの場から一生懸命に離れようとするけど、この揺れでは大して進むこともできない。



グラン。ひときわ強く揺れた時、壁は耐えることができずにボロボロと脆く崩れ落ちる。


地面が壊れ、下に落下しながら、崩れ落ちていく小洞窟と、悲鳴を上げながら落ちていく小さな生物達を見、少し申し訳なくなって心のなかで謝った。


不幸体質でごめんなさい、と。



―――――――――――――



「シー、シィ、」


体の節々が痛い。まああんな高さから落下したから当然だけど。


ここはどこだろうと浅く呼吸しながらあたりを見回す。


通路状の大きな洞窟。

所々から淡い光が漏れていて、それが明かりとなっているのかそこまで暗くない。

まあ別に暗かったって、『熱感知』があるから大丈夫だけどね。


でも別にあの大洞窟に落ちたわけじゃないようだ。

それの一部かもしれないけど、ここは前の小洞窟的な場所のようだ。


ふうと俺は一息つく。この不幸体質ならモンスター蠢く真っ只中に落ちても不思議ではなかったからね。

まあ崩落っていう超不幸があったから、その他にもあったら終わる気がするけど。



「――ッ」


その瞬間、何かの声がし、反射的に天井に飛び移る。

飛び移るとすぐにに小さな影が2つ曲がり角から出てきた。


どちらも前に見たレッドスライムに似ていて、宝石のようなツヤツヤとした丸い体をしている。

というか多分体は宝石だ。そんな光沢を出している。


特徴を観察し終えたところでステータスを見る。


鑑定ステータスオープン


"グラシエジュエルスライム<サファイヤ>


<HP> 960/1260

<MP> 460/500

<物攻アタック> 13

<物防ディフェンス>12

<魔攻マジック>500

<魔防レジスト>600

<体力> 20

<瞬発力>6 "


"グラシエジュエルスライム<ルビー>


<HP> 920/1100

<MP> 496/520

<物攻アタック> 9

<物防ディフェンス>13

<魔攻マジック>439

<魔防レジスト>500

<体力> 21

<瞬発力>4 "



へえー、ぐらしえじゅえるすらいむ。


筋力、体力、瞬発力は俺のステータスを下回ってるけど、HPと魔力関係が化け物だ。

HPに至っては四桁行ってるし。そういう特化型なんだろう。正直勝てる気がしない。


やっぱ普通の小洞窟のわけないよね。不幸だもん。

ここはどうやらこんな奴らがあたりまえのようにウロウロしてるだったらしい。

当たり前だけど、あの小洞窟は崩れ去ったみたいだ。


ダラダラと冷や汗を流しながら、さっきの自分の判断を褒め称える。


少しでも遅れたら、いまやって来たネズミみたいに氷の魔法?バラバラにされるところだった。やっぱMPが高いし、魔法を使うらしい。

あのネズミは俺が住んでたあの小洞窟のネズミかな。だったら申し訳ないことをした。


少し罪悪感を感じながらもじっと見ていると、グラシエジュエルスライムはネズミに覆いかぶさって吸収すると、右の道へ歩いていった。


俺は完全に見えなくなってから、力を抜き、地面に着地する。


さて、本当にこれからどうしようか。

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