寄生蛇VS寄生虫④

「「…ギチ、ギチギチギチ。」」


特有の耳障りな声が小さく響く。


「シィ…!」


その声に俺は力を抜いていた体に慌てて力を込める。瞬間、棘のようなものが体の横を通り過ぎる。

それを境に沢山の棘が飛んでくる。それらは全てさっきまでホワイトミストパラサイドがいたところからだった。


俺は何個か当たりつつも、痛みを堪えて後ろの壁を経由し魔晶石の影を目指す。

その間にも沢山の棘が俺に飛来してきていた。


「ッ…。」


痛みに押し殺していた声が漏れる。体に棘がグッサリと刺さったようだった。


俺は痛みは何度体験してもなれないな、と苦笑する。

ネズミのときも、落ちたときも何度もこれ以上の痛みを味わったはずなのに、

「痛み」というのはそう単純なものではないらしい。


俺は痛みなんて無縁に、不幸体質をものともせずはねのけられるくらい強くなりたいなんて思うけど、それは我儘なのかな。現に今、痛みを感じているし。


どくどくと流れる血から意識をそらし、俺はそれなりに分厚い魔晶石の影に隠れる。

これなら魔晶石がそんなに硬くないにしても、時間は稼げそうだ。


魔晶石に隠れると俺は、


「しゃ(あ)」


あることに気がついた。


同じ名前の魔法だったからといって、魔法の効果が俺の知っているものとは限らないけど、

『火魔法』だって似たようなものだったし、やってみるだけやってみよう。


そう少し思考を巡らせてから、『光魔法』と念じると、浮かんだ呪文に俺は顔を緩ませる。

俺は棘に噛みついて器用に抜き取ると、


回復ヒール


とつぶやいた。ふわりと黄色の柔らかい光が傷口にかかる。


そこまで威力はないのか、治りはしないけれ

ど、ダクダクと大量に流れていた血がパタリと止まった。

それに加えて痛みも少しひく。


俺はくるくると尻尾を一通り動かすと、ヒビが入っていた魔晶石から外に出る。

ホワイトミストパラサイド。敵は想像以上に厄介なようだ。


いや、ステータスを見たときからもっと敵を警戒しておくべきだったと俺は反省する。

俺の知らない厄介なスキルがある可能性は高いとあの時気づいたはずだ。



でもとりあえずそれは置いておいて、今は目の前の敵に集中する。倒すことだけを考える。


炎霧フレイムミスト

石槍ストーンスピア

水射ウォーターミサイル


炎が薄く霧状に広がる。石から鋭いトゲが突き出る。ふわりと透明な水が浮く。


どうやって倒すかはまだわからないけど、アイツラには確かに俺の攻撃は一回効いた。

それならそのスキルさえ攻略すれば、なんとかなるはずだ。


―――――――――――――――――


「人外転生」と「魔物転生」タグで週間ランキング調べてきて、1ページ目の何番目かに乗ってました!


小説の掲載が遅れたり、誤字脱字も多く不甲斐ない作者ですが、

たくさん小説を読んでいただき、本当にありがとうございます!!!

フォロー、応援、レビューなどもたくさんいただき本当に嬉しいです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る