寄生蛇VS寄生虫③
魔力を吸われる感触とともに目の前に燃えた矢が出現する。
「シィっ、」
その矢は見えない弓に引かれるように一度後ろに下がってから、
飛びかかってきていたホワイトミストパラサイドに向かって力強く撃たれた。
「ギー、ギギーッッッ!」
なすすべなく直撃したホワイトミストパラサイドは、勢いよく燃えながら地面に倒れ伏す。
それを見てうまく行ったようだ、と俺は思わず細く息を吐く。
どうなるのかは分からなかったけど、特に練習はなくても普通に操作できた。
もしかしたらこの『火魔法』というスキルがそういうものなのかもしれない。
それでも操作に関しては完全にこっちの腕だったけど、『狙撃』のスキルが役立ってうまく撃てったぽい。
「ギチギチギー…?」
それに飛びかかろうとしていた他の奴らも怯んだようで攻撃するのをためらうように一歩後ろに下がった。
『
『
『
『
……………………………
その一瞬のすきに何回も呪文を唱える。魔力は幸い魔晶石のお陰でそれなりにある。
さっきぐらいの量なら、何十回も使ってもまだ余りあるくらいには。
魔力がガクッと消費される感覚とともに、たくさんの
"『火魔法』のレベルが上がりました"
多くこのスキルを使ったからか、中性的な声が響き、レベルの上昇を教えてくれる。
このスキルの性質だと、レベル2にも『
レベル2の次の魔法はなんだろうか。トクンと心臓が鳴った。
そんなことが一瞬頭をよぎったけど、それを意識外に追いやって目の前の敵に向けて、撃つ。
「シィっ!」
うす暗い中で沢山の燃え盛る赤い矢がぼんやりと燦きながら、白い怪物たちに殺到する。
その光景は幻想的で戦いの最中なのに見惚れてしまった。
でも、それ以上にこの光景を自分が作ったという事実に、どうしようもなく胸が高鳴った。
ずっと憧れていた魔法。
これを異世界に来て自分の手で使えたのならば、最弱の蛇に転生してもよかったかもしれないとさえ思えた。
…まあ、もっと幸運で強い生物に転生させてくれても良かったんだけどね?
「「「ギイいいいいーーーっっっッ!!!」」」
ホワイトミストパラサイドらの凄まじい悲鳴が響く。そこらじゅうで煙が上がっていた。
あいつらの
俺のレベル1の弱い魔法でも倒せたようだ。
奴らの派手な反応と、魔法が使えたことに対する胸のたかなりに、ステータスを見たときに感じた違和感を忘れて、
そして、いつまで経っても倒したことを知らせる声が響かないことに気づかず、
「シュー、」
俺は安心したように息を吐いた。
――――――――――
少し遅くなり申し訳ありません
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