第17話 宣戦布告

「よっすぅ...ひっく...」


「...識宮...さん」


 え?なんで?なんでこんな時間に?え?ビール?しかもパジャマ!?何これ!?情報量多すぎるんですが!?


「..,なーんでぇ...でんわぁきったのよぉっ...もしかしてぇ...風夏と...そういうぅことしてぇたのぉかぁ!!ずるいぞぉ!!」と、焦点の定まらないまだそんなことを言ってくる。


「ちょっと落ち着いてください!その...風夏は家にいないですし...てか、さっきの電話識宮さんだったんですか!?」


「だったらぁ、なんだぁ!わるいかぁ!?」


「す、すみません!一旦家に入っていただけますか?その、近所迷惑になっちゃうので...」


「あたりまえだ!はやくぅいえにぃいれろ!」と、そのまま彼女を家の中に入れるが...。


 フラフラとそこら辺にぶつかりながらなんとかたどり着く...。


「...大丈夫ですか?」


「...いたぃい...」と、なんとかソファに座らせる。


「...ど、どうしたんですか...いきなり家に来るなんて...」


「...かおをぉーみたくなったぉ」


「...はい?」


「だから!そえだぁのかおがみたかったのぉ...!」


「...なんでですか?」


「そんなのぉ、きまってんじゃーん...あはははっwてか、なんでぇけいごぉ?うちらぁはぁ、どうきゅうせぃだよーんん」と、体を密着させてくる。


「ちょっ、あの!いや!その...俺と識宮さんはその...別次元の方というか...なんというか...」


「なぁにぃいってんのぉ?同じ次元だからあえてんじゃぁん...。...ふぁ...眠い」


「ちょっと、酔いすぎですよ...?誰かと飲んでいたわけはないですよね?その格好ですし」


「あったりまえじゃん...私、友達とかぁいないし!!あははははww」と、大爆笑。


「...そっすか。それより...その...色々と大丈夫ですか?その...パジャマもはだけてますし...//」


「えぇー...ほんとぅだぁ...あははww」と、大爆笑。


 俺の知っている識宮さんとはまた違う気もするが、最近の識宮さんよりはだいぶ親しみを感じる。


「...あの、大丈夫ですか?本当に...」


「なぁにぃが...?よくわかんなーい...あっ!そえだくんはぁ、私のことえっちぃな目で見てるってことかぁ!!www」


「...いや、そ、そんなことは...」


「あははwwえっちえっちww」


「...本当に大丈夫ですか?」


「だいじょーぶぅだってー。ねー?一緒に寝よー?」


「いやいや、落ち着いてください!ち、ちかいですよ!!」


「...だってぇねぇ?私ねぇ、ずっっとそえだくん好きなんだよー?えへへへww」と、突然告白をされる。


「な、何言ってるんですか...俺となんかほとんど話してないじゃないですか...」


「...好きな人と...そんな簡単に話せるほど...わたしはぁ、コミュ力高くないからぁ...。いっつも無理して、笑って、真面目ぶったり、クールぶったり...けっこうぅ、大変なんだからぁ...」


「...でも、そんな...」と、言いかけた口を彼女の方が閉じる。


 お酒の味と、ほのかにかおるシャンプーの匂い、そして甘い...識宮さんの匂い...。


「...なっ!?//」


「...しちゃったね...キス...//」


「...しちゃったって...」


「...私は...ずっと自分を演じてきた。だからもうそういうのはしない。これからは真っ向勝負で添田くんを奪うから。相手が妹だろうと」と、顔を赤くしながらそう呟いた。


 それははっきりとした目であり、意志を感じる。

とても酔っている人には見えなかった。


「...だから...ね?」と、そのまま俺の身体に重なるように委ねる。


「ちょっ!?//」


「...ぐー...」


「...え?」


 そのまま眠ってしまう識宮さんであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る