第12話 制服デートをしましょう
「...お兄さん!今日は制服デートをしましょう!」
「制服デート?...嫌だよ」
「何でですか!この前言ってたじゃないですか!制服デートしたことないって!」
「いや、したことはないけど、今更する気もないよ...」
「だめです!今日は絶対するんです!じゃないと私も制服デートできずに終わっちゃうじゃないですか!」
「いやいや、風夏だけ着ればいいだろ。制服」
「それじゃあ意味ないんです!てことで買ってきました!制服!」と、カバンから取り出したのは黄色い袋に入った制服...。
見たことあるなー、その袋。そしてだいぶ安っぽい感じの制服...。
すごいよ...、この年でそんなの着て歩くとかもう罰ゲーム以外の何物でもないんだが...。
「てことで、さっそく着替えてきてください!」
「え...俺結構ガチ目に嫌なんだけど...」
「だめです!これは強制ですから!」
「...強制なの?」
「はい!まぁ、どうしてもやりたくないっていうなら...そうですね。うーん。んじゃ、じゃんけんで決めましょう!」
「分かった。じゃあ、俺が勝ったら家でゴロゴロってことで」
「...仕方ないですねー。分かりました...。では行きますよ!じゃんけんぽん!!」
◇
「ふふふ、楽しみですね!」
...制服に着替えた俺...。
いや、これやばいって。別に俺そんなに童顔じゃないから...。まじでおっさんが制服着ているようにしか見えねーよ。やべーよ。知り合いにあったら自殺するレベルなんだが...。
「では、いきまっしょー!」
そのまま手を繋いで家を出る。
◇駅前
キョロキョロしながら駅を歩く...。
やばい、みんなこっちを見て笑っている気がする。いや、多分気のせいなんだが...。
「ちょっと、お兄さん、何キョロキョロしてるんですか?私みたいな可愛い彼女がいて他の女の子でも探してるんじゃないですよね?」
「いや、全然違う。知り合いがいないか...見てるんだよ」
「いやいや、流石に気づかないですって!普通にラブラブな高校生カップルに見えますよー!」と、更にくっついてくる風夏。
「...バレたら社会的に死ぬんだから。もはや制服っていうか俺にとっては喪服みたいなもんだから...」
「喪服wwいいすぎですよーww」と、両手を叩いて笑う。
やめて?大きい音で注目浴びるの困るんだけど?
「とりあえず、高校生デートの王道といえば、まずは...ショッピングですね!そのあとはゲームセンターでプリ撮ってー、最後はカフェでおしゃべり的な!」
「...はい」
「テンションあげましょう。よし、えっと...確かこうだったかな...催眠術で今からお兄さんの精神を高校生に戻します...!はっ!」と、よく分からないことを始める。
もうやめて!これ以上注目浴びることやめて!
「あっ、かかった!俺は今高校生だ!」と、変な動きを強制終了する。
そのまま、手を繋いでショッピングを始める。
あーやばい、近くで見られたら余計におっさんに見えるよ、、、。あっ、いい方法思いついた。グラサンしよ。と、グラサンを手に取ってかけてみるが...制服着て似合わないグラサンすると余計に目立つのであった。
「あははははwww似合わなーい!!www」
「うっさい。これ買うからな」
そのまま買ったグラサンをつけてショッピングを続ける。
「これどうです?似合います?」
「うーん...うん。いや、俺ダサいから...あんまり似合うとかわからないんだが...」
「感覚でいいんですよ!なんとなくの!じゃあ、お兄さんが私に似合いそうなファッションを選んでください!」
「...えぇ?俺が...仕方ないな...」
何となく二つを選んで早速試着してくれる風夏。
そうして、試着したから出てきた風夏はあの可愛さを台無しにするほどダサい風夏であった。
「...っふ」と、思わず笑うと「お兄さんが選んだの笑うの酷くないですか!?」
それから次第と体に制服が馴染んでくるのだった。
そのまま、ゲーセンに向かい2人でUFOキャッチャーをやる。
「もうちょい右です!そこです!」
「え?もうちょい右?」
「それ逆です!」
「ここか!」と、ボタンを押して持ち上がるプリンのぬいぐるみ。
「「おお!!」」と、盛り上がるがすぐにポトンと落ちてしまう。
「くっそー!ゼッテー取るから!」
「ラジャー!」
いつの間にか自分の格好とか気になくなるくらい楽しんでいた。
まさに心だけ高校生に戻ったような...。
あの頃、友達とやっていたことを可愛い女の子と出来ていた。
これが...青春か。
そうして、ガッツリ掴むぬいぐるみ。
そのままゆっくりと運んでくる...。
「取れた!!」
そのまま2人でハイタッチする。
楽しい...!すげー楽しい!
「ね!風夏、次これやろう!」
「いいですよ!」
「...添田くん?」
振り返るとそこにいたのは...識宮さんだった。
高校生の俺の精神は老人くらいまで一気にタイムリープするのだった。
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