第18話 決断
...目を覚ますとそこは...見覚えがない場所...いや?少しだけ見覚えがある場所だった。
...え?どこ...だっけ?
あったまいったぁ...。と、起き上がると...そこには添田くんがいた。
「あっ、起きた...?識宮さん大丈夫?」
...え?どゆこと?なんで添田くんがいるの?何?私、寝ている間に添田くんと付き合ってる世界線に飛んじゃった的な?
やばい。まじで思い出せないんですけど。
でも、そっか...ここって添田くんの家だよね?
てことは私...お持ち帰りされたってこと!?
いやいや、違う違う落ち着いて私...。
「...ごめんなさい。...その...昨日の記憶が全くないというか...なんというか...」
お酒に酔った勢いで電話したところまではなんとなく覚えている。...うん。
それで声聞いたら段々涙が溢れてきて...それで...。
そうして、添田くんから聞かされたのは最悪の内容であった。
◇事情説明後
...え?何?つまり私は...添田くんの家にいきなり押しかけたってこと?やばいやつじゃん!絶対嫌われたじゃん!てか、すっぴんだし!バカバカ!最悪!まじ最悪!
「...ごめんなさい。もう2度と...近づきません...」
「いや、その...別に俺は嫌ではなかったと言いますか...びっくりはしましたけど。もちろん」
優しいな、添田くんは。
いつだって優しくて...かっこいいな。
ずるい...な。やっぱり、隣にいたい。支えたいし、支えられたい。
でも、分かってる。
それは許されないことだって。
でも、それでも...。
「...これからもたまにでいいから家に来ていい?」
「え?...お、俺は別にいいですけど...。けど、風夏に悪いから...」
「風夏には私から説明するから。だから、それでいいって言ったら...遊びに来ていい?」
「...まぁ、風夏がいいっていうなら」
◇後日
風夏をカフェに呼び出したのだった。
「...てことなんだけど」
「てことなんだけどって言われても...。私とお兄さんはもう付き合ってるし...それはちょっと無理っていうか...」
「それは分かってる。けど、チャンスが欲しいの...」
「...無理。嫌。だって、お姉ちゃんと勝負しても...私に勝ち目ないし」
「...でも...」
「...分かった。お姉ちゃんがそこまで引き下がらないってことはそういうことだよね。気持ちはわかった。けど、すぐには答えは出せないから」
「...うん」
風夏とギクシャクすることはもちろん分かっていた。
それでも、それでも私はあの人の隣に居たいから。
◇
私の中の答えは当然Noだ。
けど、お兄さんがお姉ちゃんを見る時の目は...私に向けられたことのないものなのは分かっていた。
付き合っているなんて言っても、所詮私のゴリ押しでしかないし...、今後もお姉ちゃんのことを忘れられない可能性だってある。
だから、選ぶのは私じゃない。
お兄さんに選んでもらってこそだろう。
「...私を選んでくれるよね」
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