第5話 ねぇ、私のことどう思ってるの?
「へぇ、お兄さんは小説とか読むんですね」
「まぁ...時間あるときはな。最近は仕事忙しくて見れてないけど」
「じゃあ、今日は読めますね」
「いやいや...家のことやらないといけないし」
「おうちのことはこの家政婦JKにお任せください!」と、胸を張る...。
相変わらず、大きい胸だ。
「とりあえず、掃除から始めますね。掃除機はどこですか?」
「こっちだけど...いやでも...やっぱ悪いよ...」
「私がしたいんです。なので気にしないでください」
「でも...」
そうしてなんだかんだお任せしてしまう俺であった。
「...ありがとうね」
「いえいえ。なんかこうしていると...まるでカップルみたいですね?」と、やや強引にそんなことを言ってくる。
「いや...そうかな...?」
どっちかというと世話焼きな妹って感じがするけど...。
それいったら怒りそうだから黙っておこう。
そうして、掃除、洗濯、お昼ご飯まで作ってもらいなんだか申し訳ないなと思いながらも、折角なのでのんびりとした時間を過ごしていると、一通りのことが終わった風夏ちゃんが「ふぅ」と俺の横に座る。
「お疲れ様。ありがとうね...いろいろ」
「いえいえ。もし私と付き合ってくれたらこんな楽しい日々が待ってますよ?」
まぁ...それは確かに魅力的かもしれない。
「それじゃあ、手が空いたところですし、高校生ごっこしましょう」
「...高校生ごっこ?」
「はい。私はリアルJKですが、先輩もDKつまり男子高校生に戻った体で今日1日過ごすという...遊びです。ほら、言ってたじゃないですか。あんまり青春っぽいことできなかったって。というか、今日はそれをするためにわざわざ制服を着てきたんですから」
なんで制服?とは確かに思ったが...そういうことだったのか。
「...なんか恥ずかしいし...それはちょっと遠慮したいんだが」
「だめです。これは命令です。お兄さんは...そうですね。制服はないでしょうし、Yシャツとスーツのパンツに着替えてください。設定はこうです。クラスのマドンナが突然家に押しかけてくるっていう設定です」
自分でクラスのマドンナとか言っちゃうのか。
「まぁ、先輩がどうしてもというなら私がお姉ちゃん役をやるのもやぶさかではありませんが」
「いや...それはなんかすごく恥ずかしくなりそうなので、最初の設定のままでお願いします」
「わかりました。では私は一旦部屋を出ます。あぁ、ちなみに私のキャラはどういう感じがいいですか?明るい系とか、ツンデレ系とか、ダウナー系とか」
ここまで本気でやるつもりなら...確かに俺の希望を伝えたほうがいいかもしれないな...。
「じゃあ...ダウナー系で...お願いします」
「そういうのが好きなんですね...。まぁ、わかりました。それじゃあ同じクラスのあまりしゃべったことのない女子が突然家に来たという体で行きましょう。私が外に出ている間にちゃんと着替えてくださいね」
「...うん」
そうしていわれるがまま着替えて、待っているとインターホンが鳴る。
「...はーい」
扉を開けるとそこには凛とした立ち姿の風夏ちゃんが立っていた。
「...あっ...えっと...識宮さん...どうしたの急に?」
うわあああああ!なんかすげえ死にてえぇぇぇ!!恥ずかしいい!!
こう考えると役者の人ってすげーな!!
「...別に。たまたまここら辺を通ったから...。入れてもらっていい?」と、中々の演技力を見せる風夏ちゃん。
「あっ...うん」
「お邪魔します」
「...どうぞ」
「おうちの人は?」
「今ちょっと...出てて」と、言いながら座布団に座ると、四つん這いで近づいてくる。
そして、そのまま耳元で「ねぇ、私のことどう思ってるの?」とささやきそのまま俺の体を押し倒す。
「いや...あの...」
「...そう。それはちょうどよかった。私ね...千くんのこと...いいなって思ってたの」
「...すとーーーーーぷ!!!」と、両手を伸ばすと...ちょうど彼女の胸に手が伸びてしまうのだった。
「なっ!!??//」と、顔を真っ赤にして胸を押さえてそのまま距離を取る風夏。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079062564937
「ご、ごめん!!//その!!今のは本当に事故というか!!//」
「...別に...//さ、触りたかったら...触りたいって言ってくれれば...//けど、いきなりはその...覚悟ができてなかったというか...//」と、髪の毛をいじりながらそんなことを言う風夏ちゃん...。
「いや!そうじゃないから...!触りたいとかじゃなくて...色々今のはやばいというか...。その...俺はじれったい感じの青春とか...そういうの...がいいんだけど...」
「まぁ...そうですね...。確かに今のは私が突っ走ってしまった感じがします...。ごめんなさい...」
変な空気が流れてしまう...。
「じゃあもう一回やりましょう」と、なぜかやる気スイッチがオンになる風夏ちゃん。
そうして、設定を細かく決めながら何度もリテイクを繰り返していると、いつの間にか夕方になっていた...。
だんだん俺も乗り気になってきていたころ、またしても突然インターホンが鳴るのだった。
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