俺の彼女は本日(他の男と)結婚しました~彼女に捨てられた俺に友人が紹介してきたのは、高校時代に一番可愛いかった女の子...の妹だった~

田中又雄

第1話 私、結婚することになったの

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079023047893


「びっくりした。どうしたの急に。とりあえず入る?」


 首を横に振り「...ここで大丈夫」と言われる。


「なんかあったの?」


 何か喉につっかえているように言いづらそうに話始める。


「ごめん...。私...実は結婚することになったの」と、申し訳なさそうに彼女はそう言った。


「...?結婚することになった...?どういうこと?w」と、意味の分からなさに思わず半分笑いながら質問する。


「私...付き合っている人がいて...」


 ...は?他に付き合ってる人がいてって...。


「...なんだよそれ...。浮気してたってこと?」


「違うの...。せんくんが浮気相手なの」


「...は?」


「...5年前から付き合ってる彼氏がいて...だからごめん」と、言い残すとパタンと扉が閉まる。


 どうやら俺は彼女に捨てられてしまったらしい。

いや、正確には彼女いわく俺はただの浮気相手だったのだが...。



 ◇


 28歳独身の俺には大好きな彼女がいた。

学生時代は何も青春らしいことを送ることもできなかったのだが、社会人6年目に出会ったのが彼女だった。


 友達が開いた合コンで知り合い、そうして半年ほど友達として仲良くしている仲で、なんとなく大人の関係になったのだった。


 それからも2週間に1回程度会うようになり、告白はしていなかったものの「好きだよ」とは言ってたし、俺はてっきり彼女だと思っていた。

けど、思い返してみれば彼女から好きだよとは言われていなかった気がした。


 そんな1年の記念日の数日前のある日のこと。

彼女が突然俺の家に来て「ごめん、私結婚することになった...」と、告げるのだった。


 そうして、理解もできないまま彼女が俺のもとから離れていった。


 もちろん何度も電話をしたがすでにブロックされているのか、電話もつながらず、ずっと未読のRINE。


 家に行こうかとも思ったが、もしその結婚相手が居たらきっと俺の心はいよいよ限界を迎えてしまいそうだと思ったので、ただ悶え続ける日々を送っていた。


 それからは絶望の日々で何のやる気も起きず、ただ働いて、寝て、起きての日々。


 一体自分は何のために生きているのかもわからず、それでも友達や同僚に話すことで少しずつ前向きになりかけたときのことだった。


玉田『久しぶりー。来週の土曜暇?』21:50


 数年ぶりに高校時代の親友からの突然の連絡だった。



 ◇2024年6月12日 土曜日


 高校時代の親友である玉田たまだ俊樹としきを待っていた。


「久しぶりだなー、おい!お前は昔から変わらんなー」


「おう。俊樹は...老けたな」


「当たり前だろ。もう28だぞ?おっさんだよおっさん」


「おっさんはやめてくれ。心まで老けそうだ」


 それから適当なお店に入り、昔話に花を咲かせる。

昔あんなことして怒られたよなーとか、同級生のあいつは今は何してるとか...。


 すると、俺はあることに気づいてしまう。


「お前、結婚してんのか?」


「ん?あぁ、これな。一応、2ヶ月前ぐらいに籍入れた。式はまだだけど。ちゃんと招待してやるから安心しろ。って、おっー、良かった良かった。まだ結婚してないんだな」


「そうか。おめでとう。あと、何が良かったんだよ」


「こっちの話w」


 そして、流れで恋愛の話が始まる。


 当然、俺はつい最近あったドラマのような出来事について話すと、爆笑する俊樹。

まぁ、下手に深刻な顔されるより笑い飛ばされる方が幾分かましだった。


 ひと段落ついたところで、いきなり俊樹がカメラをこちらに向けて写真を撮る。


「おい。何してんだよ」


「いやいや!ほら!SNSにあげよーかなーって。親友に久々に会いましたーって」


「あのなー。俺はそういうのをネットに載せるの嫌なんだが。そもそも俺のことなんか誰がみたいんだよ」


「いや、意外と需要あるかもだぞ。ところでさ、失恋真っ只中こお前に一個朗報があってだな...。今日お前をここに呼んだのは、まぁ久々に会いたいっていうのと、その話をするためにきたみたいなもんでな。ぶっちゃけると、お前と会いたいって言ってる子がいるんだよ」


「会いたい?w俺と?w」と、思わず半笑いが出てしまう。


「可愛い子だぞ?」


「あのなぁ...。今の話聞いたろ。しばらく誰かと付き合う予定はないぞ」


「まぁまぁ、とりあえずこの写真見れくれよ」と、携帯の画面をこちらに向ける。


 それは...高校で一番可愛かった女の子...『識宮しきみや れい』にそっくりな女の子だった。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079000110310


「いやいや...え?」と困惑していると、「覚えてるだろ?識宮玲の妹なんだよ。今でも玲とは連絡とってるんだけど、玲の妹が千に会いたいらしんだよ。てことで、今度会ってくれる?」


「いやいや、なんだよいきなり。...あんな可愛い子は無理っていうかそもそもこの子いくつだよ」


「18」


「いやいや...ダメだろ?」


「別にもう18歳だし、一応成人だから問題ないだろ。未成年が20歳から18歳に引き下がったことくらいお前だって知ってんだろ」


「でも、10歳だぞ。10歳も違うんだぞ。小学生と高校生くらい違うんだぞ?」


「子供の頃と比べるから変な話で、別に20歳差の年の差婚でも珍しくないんだし、別にいいだろ」


「いやいや、そんな芸能人の年の差婚と一般人の結婚は違うだろ。そもそも...識宮さんの妹なんて...」と、いいかけて何かを思い出しそうになる。


「なーにビビってんだよ。てかお前、玲のこと好きだったろ?じゃあ、見た目的にはタイプってことだろ?そっくりだし。てことで、お前も会いたいって言ってるってさっきの写真含めて送っていいか?」


「ちょっと待て!考えさせてくれ...」


「無理。送るからな」


「ちょい!」


 そうして、結局なんやかんやあったが、勝手に会いたいと言ってることにされ、日程を調整し、俺と俊樹と識宮さんの妹で会うことになってしまったのだった。

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