第13話建築




流行病もあったから隣への対策に壁を作ることにした。


検問の意味で小さな砦があった場所だ。

しかし大勢の軍の前では、小さな壁ならダメに決まってる。


俺は、マジで戦争も視野に入れてるからね。

建てるなら頑丈で大きな壁がいい。



建てるなら基礎も大事だ。

2メートルも掘って基礎工事をじゃんじゃんやちゃうぜ。


掘った穴を無魔法でグイグイと押し付ける。

距離にして2キロの距離の壁になる。


木製の木枠で囲う。


図面を見て指示をだす。


「その板を使ってくれ。反らないように工夫した頑丈な板だからって乱暴に扱うなよ。何度も繰り返して使う板だぞ」


「わかってます」


「基礎が済んだら剥がして上の壁に使いまわすからな・・・」


「わかってます」


もしかしてクレーマーと思われてるかも・・・



それが済んだ太い鉄筋の配置だ。


「オーイ、そっちの鉄筋を針金で固定するのを忘れるなーー」


「わかってるよ」


「ガシャンガラ」


「何しやがる!作業中に入れるなよ!」


「すまん、すまん。つい忙しくて・・・入ってると思わなかった」


あああ、完全管理だ出来てないよ。困ったものだ。


最初は、どうなるかと思ったぜ。

それにしても教えた通りにやってる。


鉄筋と鉄筋を細い針金で器用に巻きつける。

これって中々難しいんだよね。

最初なんか蝶々結びする奴も居たからね。


そんな作業を大勢の領民でやってる。

働いたら、しっかり賃金を払う契約だ。

1000枚の金貨が有るから領民には、ガッカリさせないよ。



「生コンをぶちまけろ!」


ああ、この生コンは、砂、砂利、水、セメントの4点セットだ。


セメントの発見は、空を飛んでて火山を見つけたよ。

火山なんて本で読んだ世界だ。

もっと見たい気持ちは、抑えられなった。

火山で何か良いものがないか探した結果。


火山灰、石灰、砕石を混合したものが水で硬化した物を発見。

鑑定士の俺でなければ、成分も簡単に分からなかっただろう。

それ程の大発見だ。


今の城壁は、大きな石や小さな石を積み上げて粘土でつけたものだ。

強い衝撃を何度も受けたらボロボロに崩れる物だった。


それが薬を塗りたくって硬くなっていた。


なんでも素人集団が建てた壁だからね。

それでも薬と年月は恐ろしい。




俺の屋敷なんか石と木と土で出来てる。

だから屋敷は、2階建てだ。


4階建てにするなら高度な技術を持った職人集団に任せるしかない。

だから建築ギルドがブイブイと威張ってるの現状だよ。

特に王都は・・・



領民が足場をノシノシと上って袋をぶちまける。

中に入ってるのは、セメントだ。


3メートルの大鍋に、領民が砂利、砂、水、セメントを規定の分量でブッ込む。

スイッチONで、中の羽がかき混ぜる。


時間が経ったので違うスイッチを押す。

大鍋が徐々に傾く。

そして羽が生コンかき出す。


下にあった1輪の猫車にドサッと生コンが注がれる。


「ストップ!」


押したスイッチから指をはなした。

傾きが止まって回転も止まった。


新しい猫車が入ってきた。


「入れてくれ」


そんな1日の作業が終わって、日当が支払われる。


「明日も頑張るぞ」


「俺も頑張るよ」


「じゃー明日な」


「ああ」


そんな会話があっちこっちから聞こえてきた。





1ヶ月で高さ15メートル、幅が6メートルの壁が2キロに及んでいた。



硬化そのものは24時間。

重い物が乗れるようになるには、1週間も必要だ。

そんなに待ってられない。


せっかちな俺が生コンを入れた後で、錬金術でカチカチに乾かした。

そんな方法で1ヶ月で建てたよ。


壁の上には、砲台が10ヶ所も設置。



時短には、な魔道重機を発明も大きい。


砂利や砂を運ぶ魔道荷馬車。

ハンドル、ブレーキ、前進スイッチ、後進スイッチのシンプルな操作だ。


タイヤは、ゴムゴムの実を潰して煉ってクロクロ草の粉を煉り込んだ。

そして、型にはめて熱したらタイヤの出来上がりだ。


弾力があって6輪駆動。

タイヤを回すのは、回転に特化した魔道具を使ったよ。

6つが各自で回る仕組みだ。

バネによって大地をしっかりキャッチ。


だからタイヤの接地は、バツグンで悪路でも平気で走れる。

しかし、速度は30キロ。

事故でも起こしたら怖いからね。



重い物を吊り上げるクレーンは、油圧式で力強い仕組みだ。

大砲もクレーンが吊り上げた。


勿論、足回りは8輪駆動。

物を吊り上げる時は、長い足タイプのアームでしっかり大地を踏ん張る。

重い物を吊り上げても倒れない構造だよ。


試作品で倒れたのが教訓になったからね。





そんな魔道重機を使って建築ラッシュが起きた。

嫌、違う・・・起こした。

狭い家で暮らしてた領民は、御近所さん20人で建物を建てる計画だ。


俺が設立した建築商会だ。

建て替えからリフォームまで全てこなす。

今回の建物も、こっちの営業マンが家々を訪問。

住民の了解を取って建物の設計からローン手続きまで引き受ける。


宿屋も借り切って住んでもらって、荷物は倉庫だ。


収入がない世帯なら仕事の世話までするサービスだよ。

勿論、ローン商会も俺が設立。


金利は普通だ。

王都の金利は凄んだ。4割でも当たり前なんだ。

金貨10枚貸して4枚返せ!ああ、詰んだ話だ。



建てたら出費も多いが金貨1000枚だから余裕だ。

それにローンで金利も取ってるからウハウハだよ。


高さ10階建ての建築だ。

住むスペースも大きい。


LDK15帖

部屋10帖

部屋8帖

部屋6帖

トイレ

シャワールーム

ウォークインクローゼット3帖


住む階は、抽選だ。


日照問題もあるから大きな共同の庭もある。

魔道エレベーターも完備。



管理商会も俺が設立。

建物の魔道エレベーターや、庭のお手入れからなんでも請け負う。

困ったらすぐに飛んでゆく良心的な管理商会だよ。


そんな開発を進めながら、狭かった道を拡張。

大きな道も作った。


本来の目的はこれだ。


そうしなければ魔道重機が通れない。

曲がった道があって、入っても曲がれない。

もう、めちゃくちゃに建てた家だから道なんか狭く曲がりくねった道だ。

今まで、よく放置したもんだ。


やっと住みやすい街になったよ。

俺の苦労が報われた。



あ!俺の屋敷が・・・


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