第11話新たな植物




モンスターが出る森へ出かけることになった。

それも5人の兵士を引き連れて。


俺は、1人でいいと言ったのに、隊長がダメだと言われて仕方なく。


今回の目的は、森に生えた植物が狙いだ。

ここは未開の土地だ。

まだまだ発見されてない植物があってもおかしくない。


銃を構えて今にも撃ちそうにするなよ。

こっちには、モンスター避けの携帯の薬をぶら下げてるから・・・


あ、あった。

名の無い植物で実が塩からい成分で一杯だぞ。

これなら栽培して育てて塩が出来るぞ。


俺が見つけたから勝手に名をつけるぞ。

名はシオシオ草だ。



海まで行って塩作りって大変なんだ。


塩作りで4時間、往復で2時間。

その間も俺1人ボッチだ。


海にもモンスターが居て、陸の俺に襲ってくるんだ。

俺を餌だと認識して来るからヤバイ奴らだよ。


3メートルもあるヤドカリ。

ぬるぬるの大タコ。

5メートルもあるカニ。


そんなモンスターを相手しながら塩なんて大変なんだ。


タコやカニは、持ち帰って美味しく頂いたよ。

領民も最初は、気味悪いって食わない。

俺が美味しそうに食べると「食べさせてください」と食べるんだ。

俺は、毒味役か!。



あれ!これって胡椒の実と一緒だぞ。

鑑定結果は、胡椒より数倍効果あり。

マナで成長が早い。


消化促進

血行促進

食欲増進

発汗促進

抗菌      細菌の繁殖を防ぐ抗菌

防腐      防腐効果に優れている

防虫効果    虫の多くが胡椒の香り成分を嫌う  

リラックス効果 「βカリオフィレン」が神経をリラックスさせる


一粒取って口に・・・「からっ!!ペッ」

辛過ぎだぞ。


この特別な胡椒の実を持って帰る。

栽培して肉に使ったら、生臭い肉もきっと美味しくなるハズだ。



あ、これも使えそうな草だ。

胡椒と同じ促進や効果があるぞ。

ちょうど花が咲いていて、種も実っている。

これも取ってしまえ。


こっちのも種類が違うが同じ促進と効果だ。

違うのが匂いで抜群に良いってことだ。


あれ!これって生姜だ。

ここでも育つのか・・・掘り起こして持って帰ろう。

この生姜は、肉や魚の臭みを消すのに役にたつ。

王都でも定番の材料だ。

生姜のエキスと炭酸水と砂糖で、独特の飲み物が・・・

ああ、飲みたい。



なんだ、足に絡まる草は・・・根っこまで引張った。

なんと、この草の根っこに芋がついている。

鑑定結果も甘過ぎの芋だと判明。

磨り潰して絞った汁を煮込めば、甘い砂糖が出来るらしい。


名をアマ草にした。

芋は、甘芋あまいもって名にしよう。

アマ草も甘味があって、生でも焼いても美味いらしい。



そして、甘芋を取って布で拭き拭きしてかじる。


「モグモグ・・・あまーー」


兵士の野郎、何を勝手に掘って甘芋を食ってんだ。

これって種芋になる大事な物なんだぞ。


「めちゃ甘いぞ。誕生日に食べた飴より甘い・・・」


「美味しい。こんなのがあるなんて」


おいおい、兵士全員が食べだしたぞ。


ならば勝手に超美味しくしてやる。

無魔法で空気を一気に圧縮して熱をドンドン放出。

その熱で甘芋がこんがりと焼けた。


皮も香ばしいから、そのまま食べてしまえ。

フワフワの芋で口の中でとろける感じが堪らん。

生より断然美味い。


なんだ、その顔は・・・仕方ない。

兵士の食べかけの甘芋を集めて同じく焼いてやった。



「え!さっきのと全然違うなんて・・・こっちは、蜂蜜のように甘い」


「本当にとろける甘さだ」


早くも食い終わった兵士も・・・


甘芋を植えたらスクスクと育つらしい。

ならば甘芋を全て掘るぞ。


「麻袋に甘芋を全て入れて持って帰るぞ」


「閣下、了解しました」


「持ち帰って栽培するお積りですか・・・」


「ああ、栽培するぞ」





1週間でスクスク育って収穫が出来るようになった。


2週間も経てば街中では、様々な料理店がオープン。


塩味だった味が、様々な味の料理がじゃんじゃんと出た。


胡椒や生姜やミントを肉と煮込んだ料理。


オークロースと玉ねぎの生姜焼き。


大豆を使って作った味噌は、様々な料理になってる。

ついでに海の苦汁にがりを使って豆腐まで作った。


ここの領土では、塩は貴重な物だった。

シオシオ草で豊富に使えるようになったからね。


なので空中に漂う麹菌を集めて大豆と塩を使って味噌を作った。

錬金術で熟成期間なんかあっという間だ。


その味噌から、醤油も出来るのも早かった。


だから味噌工場を建てた。

出来た味噌を近隣の領土にも売りまくった。


同じく醤油工場も建てた。


もう売れて売れて、作るのが追いつかない。

なので工場を拡張することが決定。


働き場もできて、外貨獲得もできてウハウハだよ。

大変なのが代行係りのソン。


「お願いです。わたし1人では無理です」



そんな風に泣きついて来たよ。


なので商人に適したベンジャミン23歳を雇った。

鑑定結果では、ズル賢くて会話だけで人を垂らし込む天才。

商売人の神と言っていい。


何故なら前科は、詐欺師だ。

王都で詐欺がバレて、逃げてきた。

金貨100枚を持って・・・

元々は、ここの出身だ。


ここの領土から出るのも会話だけで騙したらしい。

もう口だけで生きてる人間だ。


今は心を入れ換えて、幼馴染みのラーと結婚。

生まれて2ヶ月の赤ちゃんもいる。


俺の鑑定には、嘘も通じない。

説得したら呆気なく従うって・・・俺の行いを見て感じるものがあったのだろう。


奥さんは、縫い物が得意で布を買ってきて、服を作って売り出している。

昔なら考えられない商売だ。

だって俺が来た時は、ボロボロの服で継ぎはぎなんか当たり前だった。

今は裕福になって新しい服を買ってる。


ベンジャミンは、あっちこっちの領土に行って商売の片鱗へんりんをみせている。



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