第23話ダンガ帝国
大海原で帆船が風を受けて進む、4隻による船団。
2番目に進む船から異国の服を着た男が指差す。
「あの大陸がダンガ帝国です」
「あれが、あなた方ラグーンを支配してるダンガ帝国ですか・・・戦いに明け暮れる民族だと聞き及んでいるが、本当に大丈夫ですかね。私たちを攻撃するなんて事は、なければいいのですが・・・・・・」
「ダンガ帝国の軍部が会ってみたいと招待したので大丈夫ですよ。わたしが保証しますよ」
「ダンガ帝国の怖い噂を聞いていたので心配になってしまい申し訳ない」
その時だ。
見張りの船員が大声で怒鳴る。
「船長、空から何かが飛んできてます」
「あああ、大丈夫です。ワイバーン部隊の歓迎ですよ。ダンガ帝国の戦力の
「もしやワイバーンとは、ドラゴンの劣等種のワイバーンですか」
「それでも怖い存在に間違いありません。我らも苦しめられて降伏した存在ですから」
忌々しく言う程に、憎い存在でもあったのだろう。
その時だ。
先頭を疾走する帆船上空に来たワイバーンが急降下して、船を襲いだした。
その数は5頭。
口から火を吐き甲板にいた船員の悲鳴が、ここまで聞こえて悲惨な状況だ。
「もしや騙し打ち!」
「そんなハズが有り得ない。あんなに約束したのに・・・わたしにはダンガ帝国が何を考えているのかが分かりません」
嘘は、言ってないようだ。
「面舵いっぱい。ここから逃げるぞ!大砲も放て!」
甲板の船員が慌しく面舵を切った。
準備出来た大砲が「ドカーン」と撃ちだす。
こっちに向かうワイバーンが大爆発が起きて海へ落ちてゆく。
大砲は、狙った獲物は逃さない。
頭を吹っ飛ばされたワイバーンと騎乗してた兵士も真っ逆さまに海へ・・・・・・
向こうも、ようやくヤバイと思ったらしく逃げ出した。
しかし、更に背中に当たって大爆発が起きた。
兵士も木っ端微塵だ。
最後の砲弾がワイバーンを仕留めた。
残ったワイバーンは、上空高く飛んだため大砲の角度の限界だった。
「船長、撃てません」
「仕方ないが見逃すしかない。急いで帰るぞ」
船長は、閣下に何て報告したらと思いにふけった。
屋敷の執務室で驚愕の報告を聞いていた。
「ダンガ帝国へ向かった帆船4隻で無事に帰って来れたのは3隻です。属国ラグーンに帰って調べた結果、ダンガ帝国の3男のべガールがワイバーンを使って妨害したのが原因でした。しかし、そのベガールも今回の襲撃で死にました。無茶な話ですがダンガ帝国は、責任を取れと言ってます」
「そんなバカな話があるか、仕掛けたのは向こう側だぞ。こっちは、死亡した家族に対して賠償と謝罪が先だ。そんな当たり前の事が分からないのか」
「閣下の言い分は正しい・・・しかし、ダンガ帝国のプライドが許さないとラグーン国の見解です」
3男ベガールは、ダンガ帝国でも問題児だったらしい。
長男は、帝国から帝王学を学び、次男も同じく帝王学を学んでいた。
2人には、厳しい帝王も3男には甘ちゃんだった。
今回の事件も甘やかし過ぎたバカ男の行動でしかない。
しかし、ダンガ帝国の皇帝は許せないようで俺に向かって宣戦布告を宣言。
空飛ぶワイバーンでもラストニア辺境領まで飛べないらしい。
せいぜいラグーン国が限界らしく、ラグーン国の商人から聞き出した。
どうやら中間に何度も休む島が必要だ。
それに場所も知らない。
それで戦争なんか宣言したバカだ。
しかし、このまま放置も出来ない。
死亡した家族への賠償金が必要だから、取りあえず立て替えて家族に支払った。
合同葬儀では、「ワンワ、ワンワ」泣いてた。
港街の堤防先に、慰霊碑を建てて弔うしかない。
慰霊碑に名が刻まれていて、手を添えて泣いてたよ。
死体なんか無いから仕方ない。
10027名が参列してた。
それ以外の人々は、造船所でガンガン働いてた。
戦争に向けての軍船作りをしてた。
鉄を使った軍船だ。
今の造船所は、規模も拡大されてドックでの4隻並列建造に切り替わった。
1回で4隻を造船できる。
外国にも帆船を売って儲けてるから無駄な投資ではない。
「オラオラ、しっかり働け。仲間の敵討ちのために・・・」
「わかってますよ親方」
「おい、おい、泣くな」
「お・れ・は・、泣いてない」
泣くのを堪えて働く人々。
作ってる軍船には、特徴があった。
船尾に2つのプロペラがついていた。
帆に魔道旋風で風を受けて走るなら、海中でも魔道旋風で羽を回しても走るかもと試した。
勿論、スライムパッキンで水が入らない防水対策も済ませた。
めちゃ速く走る船が完成したぞ。
なので帆を無くしてプロペラで進むこ方法を採用。
そろれも2つのプロペラだから速度もめちゃ速い。
それに前回のスライムペンキも完璧でなかった。
木材で作った船だから熱をおびて、内部から燃えてしまったからね。
その燃えない対策が鉄製だ。
しかし、熱をおびて蒸し風呂状態の船内も御免こうむりたい。
その対策にスライムペンキも魔改造したよ。
サラマンダーの皮を粉にして煉り込んだスライムペンキだ。
絶対に熱を通さないから熱対策は完璧だ。
しかしスライムペンキは、真っ赤なサラマンダーの皮だからペンキも真っ赤になってしまう。
赤い軍船の誕生で、目立ち過ぎてしかたない。
それにワイバーンを意識して、空専用の機銃をつけた。
真上からの攻撃でも対応できるよう、真上まで銃口を向けられる機銃だ。
それに連続で弾丸を発射できる。
何故、大砲でしなか・・・簡単だ。
連続で撃てて、素早く銃口を向けるためだ。
素早い動きを実現するために魔道モーターで動かす。
上手く機能するか実験済みだよ。
ハットバードを空に飛ばして、後方50メートルになびかせる旗も「ダダダダダダダッ」と簡単に撃ち落した。
「当たったぞ」
「100発100中じゃないが連続で撃てば、1、2発なら当たるぞ」
「ワイバーンが来たら頼むぞ!」
弾丸も普通の弾丸じゃない。
直径5センチの長さ8センチの弾を撃ち出す。
5センチの鉄板も簡単に貫通する貫通弾だ。
重量 4800キロ
全長 3メートル
旋回角 360度
発射速度 毎分150発
初速 1000 m/s
最大射程 5800メートル
10隻の軍船が出来上がった期間は、1ヶ月。
貿易から帰港した帆船も戦いの準備を済ませる。
帆船30隻を合わせて40隻で出航。
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