第20話マリア




薬局店に見に行った。

ローラーの妹のマリアを見るためだ。


マリアを鑑定した結果。

マリアの病気が判明したよ。


細胞が細胞を壊す病気だ。

不治の病で有名だ。


自滅病じめつびょうと呼ばれてる病気だった。

今の教会でも治せない病だ。



剣士のローラーに「治すのに2通りがあって1つは、俺が治す方法だ。しかし、再発の恐れがあるから6ヶ月後に鑑定する必要がある。再発した場合は、また治す。そんな繰り返しだ」


「もう1つの方法は、何ですか・・・・・・」


「それは、マリア自身が治す方法だ。マリアを鑑定して分かったのは、マリアにも癒し魔法が使えるってことだな。それも優れた素質を持ってるぞ」


「嘘でなく本当の話ですか・・・」


「嘘なんかつかないよ。マリア自身も知らず知らずに使ってたようだな・・・本当ならとっくの昔に死んでただろう。しかし、認識してないから本来の能力を出し切ってない状況だ。今後は、癒しを自分自身に使用して他人にも使えば、癒し魔法がレベルアップして治せるだろう。どっちがいいか君に任せる」


「え!・・・どっちが良いですか」


「そりゃ自分自身に癒しを使うのがいいよ。俺も、死ぬ恐れがあるからね」


「閣下は、わたしが守ります」


ああ、嬉しいことを言ってくれてるぞ。




癒し魔法をマリア自身知らないから、手とり足とり教えたよ。


「君の場合は、見ただけで病気の原因が分かるらしいよ。だから集中して見るんだ」


「どんな風に・・・」


「見る相手を治したいと思う力が、そうされるのかも・・・」


「何故ですか」


「それは、神のみぞ知るだな」


「わたしに、こんな魔法があったなんて・・・・・・病気に打ち勝ってみせます」



あああ、マリアが泣いたよ。


え!ローラー・・・


ローラーがマリアに駆け寄って抱いて号泣ごうきゅうしてるよ。


「マリ・・ア・・・わたしの・・・グッ・・・・・・」


こんなローラーは、初めてだ。





そんなマリアが薬局店で小さなスペースを使って、格安で癒し魔法を「ワンワン」と泣く少女に癒してた。


料理の真似事で指を包丁で「スパッ」と切断。

その切断した指も布で包んで、母親が持ってきていた。


「お母さん、いい判断でした。指があると無いとでは治りが違いますから」


「そうですか・・・娘は治りますか」


「大丈夫ですよ」


その指をつけながらブツブツと唱える。


その間も「ワンワン」泣き続ける少女。

その少女を母親は、悲しそうに押さえつけていた。


指がパワンッと光だす。

光りが消えると指は、傷跡もなくついていた。


「ドーリー、いつまで泣いてるの、指は治ってるのよ」


「え!いつの間に・・・」


あんなに泣いてた少女がケロッと笑ってた。


「ありがとう御座います。マリアさま」


「当たり前のことをしただけです」


「先生、ありがと」




次の患者は、スラムの孤児の姉妹だ。

まだ働くには幼すぎた。


だから孤児手当てを支給。

そんな姉妹もスイーツの魅力に勝てなくて買いまくって食った。


「それで何を食べたの・・・」


「みたらし大福、リンゴとクルミのアップルパイ、ホットケーキ、蜂蜜のロールケーキ」


「え!2人して食べたの・・・」


「お腹が痛くて痛くて・・・」


「それは食べ過ぎよ・・・あなたは、お姉さんだから食べ過ぎに注意しなさい」


「はい、言われたようにします。だから治して」


「じゃあ、妹から治すね」


妹の腹に手をそえてブツブツ唱える。

パワンッと光って消える。


「もう治ったわ」


「おねえちゃん、いたくなくなった」


「今度は、お姉ちゃんの番よ」


「はい」


姉の腹に手をそえてブツブツ唱える。

ボワンッと光って消える。


「お姉ちゃんの場合は、胃潰瘍いかいようになってたわ。食べ過ぎが原因だと思うから気をつけなさい」


「先生、ありがとう」


手を繋いで出て行った。


「ちょっと、お金を・・・」


「お金なんか取れないよ」


「え!それで良いの、あなたが良いのなら文句は言わないけど・・・・・・」


姉妹のマリアには、姉に苦労ばかり掛けたと思い出して涙ぐんでいた。




俺は、そんな光景を見ながら考えたよ。


たまに孤児が住む所へ大人が訪問させるだけでは、孤児にとって良くない。

やっぱ孤児専用の施設が必要だ。



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