第15話職業




俺は、目の前の新たな住民を鑑定してた。


名前

年齢

家族構成

恩恵

性格

犯罪歴



項目にそって手早く殴り書きして手渡す。

手渡したのは、ソンとベンジャミンの2人だよ。

鑑定して内容を吟味して職業まで探すなんて考えたら、いくら時間があってもかかりすぎる。

だから2人に丸投げして考えてもらう。



横では、ソンとベンジャミンが話し合ってテキパキと「君は7番へ行ってくれ」と言い放つ。

紙には、注意することがパパッと赤字で書かれているらしい。



番号先は、職業別の受付場所だ。


7番は建築商会。

面接が行なわれていた。


「やる気があるなら雇うよ。君のやる気はどうかな・・・」


「やる気はあるので頼むよ」


「それならよかった。アドラン建築商会は、日曜日が休みで1ヶ月の給金が銀貨1枚なんだよ。これも仮の雇用期間で4ヵ月後には、働き次第で銅貨50枚のアップも考えられるからね」


「え!そんなに高い給金がもらえるって」


ヘラヘラした無礼な態度だ。


面接官は、言葉使いと態度が気になったがスラム出身だと思い出した。

言葉使いと態度は徐々になおせばいいと思いなおす。

当面は現場で働かせて、慣れたら設計部に回す教育方針らしい。

無礼な態度だが頭はいい。


赤字で『現場で働かせて設計部門にまわす』と書かれてあったからに他ならない。


書類に住所を書き込んで、別紙に採用のハンコを押す。


「明日から働いてもらうから、この採用合格を持ってここにきなさい」


「わかったぜ」



次の少女が現れた。


紙には・・・


メリー

16歳

家族なし

土魔法

温厚

なし


「君は土魔法が使えるって知ってた」


「さっき聞いた」


「そうか・・・採用だ。1ヶ月の給金は、銀貨3枚でいいかな」


メリーの顔は、パッと明るくなった。


「はい」


「そのままこっちを見て」


不思議そうに見た瞬間に黒いボックスが「パシャッ」と光った。


「ジーィ、ジ、ジ」と薄い板が出て来る。


その板には、メリーの顔があった。

そしてセットして、魔道タイプライターで「カチャカチャカチャ」と打ち込む。


「これでOKだ」


手渡された板をマジに見入るメリー。


「これは、何・・・」


「領民の身分証明書であってアドラン建築商会の身分証だよ。明日から、あの門を抜ける時に門番に見せるように・・・門の向こうのアドラン建築商会へ来てくれ」


「はあ・・・」




大勢が建築か農業へ振り分けられた。



建築商会は、今は忙しくて猫の手も借りたいほどだ。

村々への道の拡張や鉱山、火山、海までの道をセッセッと作っていた。


魔道重機も使っているが数が足りない。

もう大勢の人に頼るしかない。



【海】


海のモンスターも多くめちゃくちゃ倒した。

その成果なのか海には、多くの魚が泳いでいた。

そのまま放って置くのは勿体無い。


新たに発明した『魔道地引き網』

陸から撃ち出された網が海へ落下。


その後、魔道回転ウインチで網をゆっくる引き上げる。

取った魚はさばいて天日干しすれば、保存食になって美味しくなるハズだ。


そして、モンスターが現れたら大砲をぶっ放して退治すればいい。


そのためには、どうしても道が必要だ。

今では、半分の距離まで完成している。


小船を作って魚を取る街にする予定だ。



【火山】


火山は、休火山だった。

辺境領の記録を調べて、大昔に噴火の記録が1度だけあった。

それ以降の記録はない。


俺の鑑定でも同じだ。


しかし、火山の近くにセメントの材料が豊富にあった。


それに温泉と天然ガスあった。

こんなに天然の物があるのに使わない手はない。



穴を「ガガガガ」と掘ってパイプで天然ガス取り出す。

しかし、このままの天然ガスは使えない。

多くの水と油と砂が混じってるからだ。

なので魔道タンクで取りさればいい。


2回目のタンクで二酸化炭素を取ってやる。


3回目で魔道冷却で残った水と油を取ったら天然ガスは完成だ。


その天然ガスをパイプで街に送る。

ガスを使った登り窯やガラス工場でじゃんじゃんと商品を作るぞ。


それを売って儲ける。


その登り窯やガラス工場で使うレンガは特殊だ。

だから俺が一生懸命に作ったよ。

火を操るモンスターの魔石を使って。


鉄を作る苦労からしたら、これぐらい楽な仕事だ。

毎日作る生活用品だ。見た目もいいよにしてじゃんじゃん売りまくる。


耐熱レンガに持って来いの素材の草もあった。

しかし、栽培中で間に合いそうにない。




2回目の二酸化炭素も有効に使うよ。

マイマイ草は、大量な二酸化炭素で成長する草だ。

大きい物で3メートルに成長。


その繊維は麻より細く手触りは最高だ。

だから織物すれば高く売れるに違いない。


なのでガラスで温室を作ったよ。

二酸化炭素をドンドン送り込んで成長を促す。


夜も魔道照明でガンガン照らしす。

成長がめちゃ早い。


10日後には、収穫だ。

パイプを止めて、魔道旋風で二酸化炭素を追い出す。


中に人が入って刈り取るだけだよ。


まさに絹のような糸だよ。


絹は、輸入品だから高いんだ。

リウス帝国が輸出先だ。


リウス帝国単位、絹1デナ(328グラム)が金貨10枚必要。


農場労働者の1日の賃金は、銅貨2枚。


銅貨100枚=銀貨1枚

銀貨10枚=金貨1枚




ああ、温泉も領民の憩いの場になってるよ。

大きな湯船が、タイル張りの部屋にある。

それに外にも大きな湯船があって外の景色を眺められる。

温泉を使った蒸し風呂もあって、川から引いた水風呂も完備だ。

それも男女別々だ。


温泉の施設には、宿屋も勝手に建ってた。

スラムの連中が建てた宿屋だ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る