第6話武器を作った




兵士たちの朝練に荷馬車を引張って行った。


「これは閣下、何事ですか・・・」


ああ、兵士たちは、朝練にきた事で戸惑ってるようだな。


兵士の間でコソコソと会話する声も聞こえる程に、『あれれれ』俺って嫌われてるかも。


俺も、朝早くから来たくて来た訳じゃない。

作った盾や剣を荷馬車に載せたままだと支障がでるからね。

早い段階で兵士に手渡して、色々やる事があって盾と剣にカマってる暇はないだよ。


「みんな、よく聞いてくれ。昨日、鉱山へ行って材料を持って帰った。その材料で事案の盾を作ったから持ってきた。それと剣は、皆の数だけ作ったから受取ってくれ。今後の領地を盛り上げる前金だと思ってくれたらありがたい・・・」


「みなも聞いたか!閣下の御褒美だ。ありがたく受取るように・・・」


隊長のヘンリーが荷馬車から剣を取って、1人1人手渡していた。

持っている剣と見比べてるよ。

そりゃー気になるよね。タダでもらう剣で身を守れって言われても・・・・・・


ああ、剣を振り回す兵もいるぞ。

危なくて見てられない。

あれって簡単に腕まで斬りおとす、切れ味なのを知ってるのか・・・


おいおい、盾を持って戦うなよ。


「なんだ、この盾は・・・凄く軽くて頑丈だぞ」


「どれどれ、俺にも貸してみろ・・・え!軽いぞ」


おいおい、盾を振り回すなよ。


誰だ、古い盾を持出したのは・・・


「全然違う!こっちの盾が良いぞ」


なんだかヤバイ・・・俺は、足早に帰った。





昼頃には、屋敷の離れた場所に俺専用の作業小屋を建てる予定だ。


ちゃちゃと木を伐採して、ちゃちゃと丸太小屋を建ててしまえ。

木の乾燥も錬金術なら簡単だ。

木の皮もバリバリと消滅させたよ。

組み上げるための凹みも、剣で好きなように切った。


組み上げるのは、無魔法だから人の手伝いも必要ない。


あれ!なんか丸太小屋が大きくなったぞ。

まあ、大きくなってもいいや。


地下の作業部屋は、薬専用の部屋でいつも綺麗な状態でないと困る。


だから丸太小屋を建てた。爆発の恐れもあったからだ。


魔石73%、硫黄8%、木炭13%、硝石6%。

すべてを錬金術で粉々してから優しく混ぜる。

この時に魔力のマも発したらダメだ。


大爆発が起きて俺なんか死んじゃうよ。


この魔石があるとないでは、爆発力が全然違う。

それに爆発させるには、少量の魔力を込めれば爆発する仕掛けだ。


火薬みたいに火も必要ない。

湿気で爆発しないような火薬でもない。

ちょっとの魔力で爆発する魔火薬だ。


丸太小屋は、思っていたより頑丈に出来たぞ。


だから内側から鍵を掛けて、表には『立入り厳禁』をバンと貼ってある。

窓には、鉄格子で進入不可だ。




魔火薬の次はあれだ。


金属を混合しながら銃なる物を作る。

これもひらめきからのアイデアだ。


爆発だけで物を飛ばすには、限度があった。

だから回転させる必要がある。

これも作る段階での閃きだ。


長い筒の内部に螺旋状の浅い溝を作って、撃ち出す物には逆の凸を作って撃ち出す。

溝にそって回転して出るから飛距離も出て命中率もいいハズだ。


無魔法と錬金術で合金の銃をイメージ通りに作る。

板バネも作ったから弾を補充するには、バネを使って補充すればいい。


あ、持ちやすいように取っ手も付けよう。

その部分は、木でいいや。

木をちゃちゃと錬金術で作りながら無魔法で「ギュッ」と固める。

中々いいじゃん。



さあ、撃ち出す弾を作ろう。


魔火薬を包む物は、混合率は銅95%、亜鉛5%の真鍮しんちゅう合金がいいらしい。

それを口径の合わせてちゃちゃと薬莢やっきょうを作る。

実際に爆発して打ち出す弾は、鉛を真鍮で包んで溝にはまる凸を作れば完成だ。



長さは、70センチの銃を持って外に出かける。



森の中で、木に銃をロープで何重にも巻いて締め上げる。


「狙いは、こんなものかな」


弾を1発2発・・・・詰め込める。

そして銅線を銃に付けて5メートルも離れた。



これで準備OKだ。


銅線に「撃て!」と魔力を込める。

「バキューン」と凄い音が響く。


鳥たちが驚いて飛び立ってゆく。


当たった木には、穴が・・・鉛が歪な状態になって、開いた穴が凄いことになってた。

想像してたより凄い成果だ。これって成功だぞ。


それにしても、凄い衝撃が銃にもあった。

これを持って撃つのか・・・


改めて撃つ構えをして思った。

これって適当に向けて撃っても、遠くになれば命中率が悪くなるぞ。


距離がのびるほどに的に当たり難い。

弓が距離を稼ぐのに山なりに射るが、当てるのは至難の技だ。


あ、またまた閃いた。


スコープだ。

ガラスを加工して物を大きく見せることが可能だって・・・



早速、作業小屋に帰った。


ガラスなら錬金術を使って、ちゃちゃと作った。

嫌、ちゃちゃと作れなかった。

俺の理解が及ばない世界だった。


もうイメージしたまま作るしかない。


銃の向いた先とスコープが見た先は、基本的にズレがあるのだ。


対物レンズ、接眼レンズがあって間にフォーカスレンズ、生立レンズ群、レチクル坂(十字線の狙うポイント)。


レンズ群を動かして焦点距離を変えるって何。

見た物が逆になるって何。


もう、何、何の世界だった。


焦点に合わせて撃てば、山なり飛んで狙った位置に落下して当たる仕組みだって。



もう訳も分からん。


これって弓の知識も関係してるかも・・・・



そうだ!すべて魔法の世界と思えばいいや。



また外に出かけて狙って撃った。

もう100パーセントも当たるぜ。



距離をドンドンのばす。

400メートルなら当てられたが、距離が長くなると温度、風、自転が影響があるらしい。

そんな知識が閃いて消えてパニックだ。

自転ってなに・・・・・・これも魔法だと納得した。



それにしても外すのは、しゃくにさわるぜ。

あ!またまた閃いた。



俺は、素材倉庫に向かった。


どこに仕舞ったかな・・・シュラッシュバードのシの引き出しあった。

10センチの魔石を握って作業小屋に向かった。


作業小屋で錬金術と無魔法で魔石を粉々にする。

その粉で小さな魔石を作り出す。

その魔石を弾丸の先端に埋め込む。

出来上がった弾丸は、123発。


銃に「カチャカチャ」と装填そうてん

装填した数は、10発。


その銃を持って、モンスターが棲む森に走る。

あ!またも閃いた。


俺って無魔法を使うことで空も飛べるんじゃーないかと・・・

『飛べ』に願う。


あ、飛んだよ。

鳥のように自由に飛んだよ。


もう森の上だ。

スコープで狙う。

狙った相手は、キラーラビット。

『ロックオン』と願う。


なんと魔石からOKって・・・

ポケットから小石を取り出して、キラーラビットに投げる。


小さな音で逃げ出すキラーラビット。

物凄いスピードでジグザグに走った。


もうスコープで狙う事は無理だ。

しかし、『撃て』と魔力を込める。


「ズドーン」と音が響く。


その衝撃で薬莢が飛び出す。


走っていたキラーラビットを追尾して命中。

キラーラビットの頭を射抜いて死んでた。

100発100中だ。


シュラッシュバードは、空から狙った獲物は逃さない。

凄いスピードで降下して鋭い爪で仕留める。

どんなに逃げても追い駆けるハンターだった。


だから鑑定でも、その執念が残っていた。


豚の大きさのキラーラビット10体を浮遊さてて屋敷に帰った。


「魔石と角だけは、残してくれよ。後は好きなようにしていいから」


キッチンのコックは、ハシャギまくってた。

領民に売るに違いない。


最近の領民の顔色も良くなった。

やっぱ肉を食べてるからだ。



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